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千葉県議会 > 本会議・委員会 > 常任委員会 > 県内調査報告/県外調査報告 > 令和5年9月定例会農林水産常任委員会県内調査報告書
更新日:令和5(2023)年11月6日
ページ番号:614508
令和5年10月2日
千葉県議会議長伊藤昌弘 様
農林水産常任委員長小路正和
本委員会が所管事務調査のため、県内調査を実施したところ、その概要は下記のとおりでした。
記
(1)日時:令和5年10月2日(月曜日)13時30分から14時40分
(2)調査項目:農林総合研究センター本場における試験研究成果について
(3)経過
農林総合研究センター本場に到着後、同センター長からあいさつがあり、センター内を視察しつつ、説明を受けた。
(4)概要説明
当センターでは、本県農林業の振興に寄与するため、農林業に関する試験研究等を行っている。
研究のテーマは、生産者や農業事務所からの要望、研究員の発想に基づいて立案され、3~5年の期間で実施している。今年度は177件の研究課題に取り組んでおり、昨年度に普及した技術は62課題になる。研究成果について、生産者等に直接伝える試験研究成果発表会を毎年行っており、昨年度は生産者を招いて10回の開催で、延べ539名が参加した。また、令和3年度からは本格的にYouTubeによる動画配信を実施し、今後も積極的に動画配信を行っていきたいと考えている。
研究以外にも生産者の方から病害虫の診断依頼や栽培管理の相談が日常的にある。昨年度の病害虫の診断は288件、その他農業に関する相談や問い合わせは1,225件であった。
主な研究成果として、令和2年9月にデビューしたお米の新品種「粒すけ」を育成した。茎が短く倒れにくいという性質、大きさも「こしひかり」より粒が大きく作りやすいため、徐々に面積も広がってきているところである。また、今年から本格運用を始めた水稲生育予測システム「でるた」は、スマホを使ったアプリで米の品種と田植えの日を入力するとその後の出穂期を予測して追肥などの作業適期を計算する。本日までのアクセス件数は17,431件で、昨年の12,340件に比べ5,000件増加した。
具体的な試験研究の内容としては、「水田および畦畔におけるナガエツルノゲイトウの個体群維持機能の解明と駆除・管理技術の開発」を農研機構と県による共同研究で進めていて、今年度中に総合対策のマニュアルの作成を進めている。試験場所は八千代市米本地区の本田と畦畔である。本田では、萌芽前または萌芽始期のピラクロニル、萌芽始期から生育期間のフロルピラウキシフェンベンジルの効果が確認され、畦畔では、グリホサートカリウム塩液剤の複数回処理、特に水稲収穫後から降霜前が効果的であることが確認された。
最重点プロジェクト研究室では令和元年から今年度までの5ヵ年は、スマート農業に関する研究をしており、主にドローンによる撮影画像や、気象データを使用した作物の生育予測を行っている。ドローンによるサツマイモの地上部の画像解析データとサツマイモの貯蔵性との関係も判明しつつある。
(5)主な質疑応答
問:「粒すけ」の食味向上について研究していると聞いているが、研究の進捗状況はどうか。
答:良食味生産には「粒すけ」に適した生育量となるように管理することが重要であり、過度な収量を得ようとすると食味が低下することが分かっている。現在「粒すけ」の5月下旬植えの晩植栽培の良食味生産技術確立に取り組んでいる。
問:水田や畦畔の防除について、現場では河川や沼からの流入が問題となっているが、研究成果は河川や沼などでも同じ考え方ができるのか。
答:当センターでは水田と畦畔における防除技術の確立を担当し実施している。河川の管理は河川環境課が担当であり、ナガエツルノゲイトウの物理的防除を実施し、自然保護課などとも連携して対策に当たっている。具体的には、河川の入水口にネットを張るなどし、水路への侵入を防いでいる。水田や畦畔の管理技術については、当センターが主体となって技術指導資料を作成し、関係者に技術普及を行っている。
(1)日時:令和5年10月2日(月曜日)15時25分から16時
(2)調査項目:農林総合研究センター森林研究所における試験研究成果について
(3)経過
農林総合研究センター森林研究所に到着後、同所長からあいさつがあり、センター内を視察しつつ、説明を受けた。
(4)概要説明
業務としては、大きく分けて試験研究と育種事業の2つある。育種事業は、少花粉スギ、少花粉ヒノキ、抵抗性クロマツの選抜や種子生産などを行っている。種子については、森林課が需給調査をし、県内生産事業者へ無償で種子を配付している。
研究所の施設は大きく分けて3つあり、旧管理棟、第1研究棟、第2研究棟、うち2つが築50年以上経過し、雨漏り等の老朽化が進んでいて、執務室が分散していた。組織の合併等が進み、職員を一同に集めることのできる執務室がなかったため、施設の集約をかねて管理棟の建て替えを実施した。令和5年の3月に竣工し、同年4月21日から供用を開始し、旧管理棟と第2研究棟に分かれていた執務室を新管理棟に集約した。木造平屋で延べ面積は267.2立方メートル、使用木材は114.79立方メートルでうち78.71立方メートルの約69%が県産木材になっていて受付カウンターは、所内にあったモミジバフウを伐採して使用している。
県内によくあるサンブスギは、幹が腐って溝ができてしまう非赤枯性溝腐病が非常に大きな問題となっている。県内のサンブスギ林の約3分の2が被害率75%以上と報告されている。こうなると、木材として利用するのが非常に難しく、チップにして燃料利用などの利用方法しかない。県では、対策として、被害木を伐採し、植え替える事業を進めている。また、予防として、病原菌は枯れ枝から侵入するため、枯れ枝が生じないように適期に枝打ちをしている。しかし実際ほとんどのサンブスギは病気に罹っているため予防的な対策を今から実施しても現実的な対策にはならない。今後新しく植えるスギについては、この病気に罹りにくいスギを植えることが根本的な対策になる。森林研究所ではこの病気に罹りにくい品種を明らかにして種苗生産に生かしていくことを目的に研究をしている。具体的な抵抗性品種の選抜としては、成長が良く、花粉が付かない県内のスギの品種の中から選んでいく。
森林調査や森林整備事業に関する色々な情報を集めるためにドローンを活用している。何十枚か撮った写真から作成したオルソ画像や点群データを使って立体的に表示した画像を解析することにより、現地の距離や面積、斜距離や傾斜などを測定できる。また、これを活用することによって実際に災害が起きた場合、現地の地形の把握に活用できる可能性があり、現在はこれらの活用方法について試験を行っている。
(5)主な質疑応答
問:接ぎ木の方が挿し木より生育がいいと聞いたが、接ぎ木でスギ品種を増やさないのか。
答:挿し木の方がコスト・手間がかからないので、挿し木で増殖している。
なお、スギでは挿し木と接ぎ木で成長に違いはない。
職名 |
氏名 |
会派 |
---|---|---|
委員長 | 小路正和 |
自民党 |
副委員長 | 坂下しげき | 自民党 |
委員 | 酒井茂英 | 自民党 |
委員 | 木下敬二 | 自民党 |
委員 |
伊藤昌弘 | 自民党 |
委員 | 實川 隆 | 自民党 |
委員 | 安藤じゅん子 | 立憲民 |
委員 | 田村耕作 | 公明党 |
委員 | 西尾憲一 | 平和党 |
委員 | 折本たつのり | 有 志 |
委員 |
西ケ谷正士 | 無所属 |
所属・職名 |
氏名 |
備考 |
---|---|---|
農林水産部長 |
前田敏也 |
- |
農林水産部農林水産政策課長 | 室田秀明 | - |
農林水産部担い手支援課長 | 板倉孝一 | - |
農林水産部森林課長 | 佐藤哲也 | - |
農林水産部農林水産政策課副課長 | 田下健一郎 | 議事課主幹(併任) |
議会事務局総務課班長 | 大澤和巳 |
- |
議会事務局議事課主事 | 檜垣沙希 | - |
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
県議会 | - | 13時 | - |
農林総合研究センター本場 | 13時30分 | 14時40分 | 調査 |
農林総合研究センター森林研究所 | 15時25分 | 16時 | 調査 |
県議会 | 16時45分 |
- | - |
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