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千葉県議会 > 本会議・委員会 > 常任委員会 > 県内調査報告/県外調査報告 > 令和5年度農林水産常任委員会県外調査報告書
更新日:令和6(2024)年1月23日
ページ番号:629921
令和5年11月22日
千葉県議会議長伊藤昌弘 様
農林水産常任委員長小路正和
本委員会が県外調査を実施したところ、その概要は下記のとおりでした。
記
(1)日時:令和5年10月24日(火曜日)15時~16時30分
(2)調査項目:スマート農業の研究について
(3)経過
初めに、小路委員長が調査協力に対するお礼のあいさつを行い、続いて、北海道大学大学院農学研究院准教授から歓迎のあいさつが行われた。
あいさつの後、同准教授から調査事項について説明があり、その後、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター技術専門員の案内により施設を視察し、随時質疑応答を行った。
最後に、坂下副委員長がお礼のあいさつを行った。
(4)概要説明
日本の食料自給率は低く、それを担っている農家の方々も減少している上に、平均年齢も高くなっているが、土地の利用は大きく減少はしておらず、1人当たりの経営耕地面積が1965年に比べると2倍以上になり、労働時間も比例して長くなっている。その中で食料を生産していかないといけないが、これまでのような生産の体系を維持することはできないため、ロボットなどの先端技術を活用するスマート農業、またSociety5.0を実現するため研究を進めている。
ずっと研究しているロボットカーは、1992年に第1号機を作った。当時はGPSが使えないので、上の方にライトをつけ、それをイメージカメラで認識し、その時の回転角から位置を計算しておくるという方式だった。現在はGPSやGNSSを利用し、作業機をトラクターが通信しながらロボットで作業ができる状態まで進んでいる。このような作業ができるようになってきた後、現在進められているのが、データに基づくという形になる。ドローンでは高解像度で上からの画像を取ることができるが、稼働時間が短くバッテリーの充電時間がかかるため、リアルタイムで大量のデータを集めるのは難しい。それに対して、衛星画像は広範囲を一気にとることができる。そのため、地上、上空、衛星からのセンシングをうまくリンクさせると一層広範囲で正確なデータを集めることができる。衛星画像、地上画像、位置情報を上手く組み合わせることにより、まるで地上で植物を見たような衛星画像を作ることができ、実際どれくらいの蛋白含量があるかまで評価できるようになる。また、無人のトラクターを遠隔監視制御できる仕組みを、令和2年度からNTT東日本と共同で実証をしている。
また、スマート農業教育拠点として、農家または農家を目指している人への研修やオンライン講座等の教育プログラムを行っている。農業大学校や農業高校で教えている人達に対しても、教えるための教材づくりや研修を実施している。また、一昨年は4回、農家への講習会、ドローン活用・相談等を行い、営農支援システムに関してはメーカーにて実施したりしている。
北方生物圏フィールド科学センターは、学生教育だけでなく、オープンラボとしての役割もあり、メーカーや企業に実験室を貸し出し、共同で研究を行っている。
(5)主な質疑応答
問:ロボットトラクターの道路走行と畑の中の走行は自動で変わるのか。
答:設定すれば自動的に切り替わる。また、例えば防風林でGNSSが受けられなくなると自動的に止まるようになっている。
問:ロボットトラクターは広さを設定すると、自動的に動くのか。
答:事前に直線の作業経路は作成しないといけない。ただ、全部の走行経路を与えているわけではなく、圃場内の経路に入るための経路や次の経路に入るための経路は自分で生成して走っている。
(1)日時:令和5年10月25日(水曜日)9時30分~10時30分
(2)調査項目:農福連携について
(3)経過
初めに、小路委員長が調査協力に対するお礼のあいさつを行い、続いて、代表社員から歓迎のあいさつが行われた。
あいさつの後、調査事項について説明を受けながら施設の見学を行い、随時質疑応答が行われた。
最後に、小路委員長がお礼のあいさつを行った。
(4)概要説明
合同会社竹内農園は農園近郊の就労継続支援B型事業所などから、知的障害等を持つ利用者を中心とした10名程度を施設外就労として受け入れ、野菜約15種類を栽培している。当該農園では農業と福祉双方にとって有益のある関係性を構築しており「農福連携」の取組を進めている。
(ア)ねぎの出荷調整(屋内作業)
この作業では、根切り作業や出荷用にねぎを一定の長さで切ることが求められる。特に、根切り作業においては、根を長すぎず、また短すぎず切る必要があり、その作業ができる人材を適材適所で配置している。
(イ)人参の収穫(屋外作業)
この作業では、手掘りする者、収穫した人参をかごに入れる者などねぎの出荷調整同様に就労者に役割分担をしている。収穫については、ハーベスターを使用して、一括で収穫することも可能であるが、農園の面積や就労者の能力などの実情によりこの方法としているところである。また、就労者の賃金においては、福祉事業所と協議の上、「グループ」に対して対価を支払うことで、障害の程度の重い者も就労に参加が可能となるよう工夫をしている。
(ウ)農山漁村振興交付金を活用したマニュアル整備(作業改善)
農山漁村振興交付金を活用したマニュアルの整備について、民間企業と業務委託契約を締結し、農作業のマニュアル化や作業改善を目指している。
(5)主な質疑応答
問:冬季の農作業の業務は減ると考えるが、その間においても福祉事業所と連携しているのか。
答:ご指摘のとおり農作業の業務は減るが、就労者が農業から離れないようにする取組が必要と考えている。一方、福祉事業所においては、利用者1人が一日来所したことに対して、2分の1が国、4分の1が道及び市からそれぞれ支払われる仕組となっていることから福祉事業所は利用者に来所してもらいたいと思う取り組みが必要となる。そのため、本農園は、例えば、降雪した農園を開放するなどをし、利用先の「場」の提供に寄与することで双方にとって有益な関係を構築していると考えている。
問:マニュアルの取扱い等について、例えば、内容の情報提供などを行っているのか。
答:マニュアルの内容については、当該農園の状況に応じたマニュアルとなっており、他の農園とは状況が異なる可能性があるが、視察等で直性訪れた方には、お見せしているところである。特に当該マニュアルは作業改善につながる内容に記載があるなど特徴があるため、千葉県においても、国の交付金事業を活用するなどし、マニュアルの整備等をしてみてはどうか。
(1)日時:令和5年10月25日(水曜日)13時45分~15時5分
(2)調査項目:6次産業化の取組について
(3)経過
初めに、小路委員長が調査協力に対するあいさつを行い、次に取締役次長から歓迎のあいさつがあり、引き続き調査事項について説明があった後、質疑応答を行い、施設の見学を行った。
(4)概要説明
大野ファームは、十勝平野で約4,000頭の肉牛を育てる大規模農場である。健康な人づくり、健康な土づくり、健康な牛づくりの三本柱に加え、牛を育てて堆肥を作り作物を栽培し餌とする、地域内循環型の農業生産を実践している。また、農場内に直売所やカフェを開いて生産物を直接提供しているほか、自家製牛肉や地元野菜を使用した商品の開発にも取り組んでいる。
現代表取締役である大野泰裕氏は4代目にあたり、先代から受け継がれてきた循環型農業を継続しつつ、カフェの開業や自社牛肉を用いた商品の開発など、これまでにはない新たな試みを展開してきた。
三本柱に共通する健康については特に注力している部分で、遺伝子組換えの飼料用穀物ではなくIP飼料を牛に与える、穀物は基本的に輸入品だけではなく国産(道産)穀物を多く使用することで過剰な資材投入、農薬の利用を減らすなどといった自然のサイクルに沿った農業を徹底することで、人にも環境にも優しい農業を実践している。
また、SDGsへの取組みにも注力している。地域内循環型の農業生産は自社内だけでなく地域にも目を向けており、農場で使用している堆肥の原料は自家製のものだけでなく、町内農家産の麦わらも使用している。そこから完成する完熟堆肥を用いて牛を育て、また堆肥を作り、地域の畑の土となり、農作物を育てるといった循環が出来上がっている。地域も含め、環境に配慮した持続可能な畜産業を実現している。
また、嫌気性微生物を利用して牛のふん尿を発酵させてバイオガスを生成、生成したガスを燃やして電気と熱を作り出す「バイオガス発電」も展開している。発電のみならず、発酵した堆肥は農作物の肥料や牛舎の敷料等に使用するなど、無駄のない資源活用を行っている。
(5)主な質疑応答
問:餌を安く抑えられているというのは、なぜか。
答:自給粗飼料と言われる自分達の畑で作っている牧草等を使用しているためである。
(1)日時:令和5年10月26日(木曜日)9時20分~10時30分
(2)調査項目:藻場の創出とブルーカーボンについて
(3)経過
初めに、小路委員長が調査協力に対するお礼のあいさつを行い、続いて、釧路港湾事務所長から歓迎のあいさつが行われた。
あいさつの後、築港課上席築港専門官及び釧路港湾事務所計画・保全課課長から調査事項について説明があった後、質疑応答を行った。
最後に、坂下副委員長がお礼のあいさつを行った。
(4)概要説明
釧路港は、1635年に釧路川上流に漁場が開かれ、場所が設けられた。釧路港は硫黄積み出し港として利用していたのが、貿易港としての始まりとなる。1899年に釧路港は普通貿易港に指定され8月4日に開港し、今年で124周年となる。釧路港の取扱貨物は約9割を西港区で取り扱っている。西港区の各埠頭の主な役割は以下の通り。第一埠頭は東北海道地域への石油製品の供給を支えている。第二埠頭は国際バルク戦略港湾として穀物輸入のための大水深岸壁を整備するなど、背後圏の酪農業を支えている。第三埠頭は国際コンテナターミナル。第四埠頭は国際物流ターミナルとして石炭バイオマス発電所で使用する木質ペレットの輸入などを行う。
釧路港の島防波堤は、エコポート事業(コストを抑えて環境と共生する港の整備)として、平成10年から整備を始めた防波堤であり、ブルーカーボンのために整備したものではないが、この事業で創出した藻場がブルーカーボンの効果があるとして注目されている。通常の防波堤はケーソンで防波堤の本体を作り、その前面に波消しブロックを置くなどして波に対するが、島防波堤は防波堤の後ろに船舶入港を可能とするための航路、泊地を整備するために浚渫した土砂を利用したマウンドを作ることで、防波堤本体の断面のスリム化や土砂処分コストの縮減など、エコノミー(コスト削減)になるとともに、水深が浅くなり日光が入るようになることで水生動植物の生息環境を創出し、エコロジー(環境との共生)となる。
ブルーカーボンとは、海藻等の海の生物により海中に取り込まれる炭素のことで、海水中に溶け込んだ二酸化炭素を海藻等による光合成により吸収し、枯れた後に海底へ堆積することなどで炭素を貯留する。釧路港島防波堤では、創出した藻場によりどれだけ二酸化炭素を吸収しているのか試算をしたところ、森林面積で比較すると、2.4倍の二酸化炭素の吸収効果があると推計できた。
(5)主な質疑応答
問:島防波堤などの沖合でのブルーカーボンの実施はメンテナンスが大変だと思うが、どうか。
答:釧路港島防波堤では、ブルーカーボンの効果を高めるような取り組みを行っていないため、メンテナンスを行っていないが、ブルーカーボンの効果を高めるためにはメンテナンスが必要になると思われる。クレジット化して企業等から資金を調達し、それをメンテナンス代にあてることで持続可能な取組になるので、クレジット化は重要になってくる。
問:炭素の吸収が森林より2.4倍の効果があると推計されたが、なぜこんなに高いのか。
答:炭素貯留量とは、光合成で吸収するだけでなく、植物が成長してその中に閉じ込める量であり、海藻は2年程度で成長して生え替わっていくため、森林に比べて成長量が大きいためではないかと思われる。
職名 | 氏名 | 会派 |
---|---|---|
委員長 | 小路正和 |
自民党 |
副委員長 |
坂下しげき |
自民党 |
委員 |
酒井茂英 |
自民党 |
委員 |
木下敬二 |
自民党 |
委員 |
伊藤昌弘
|
自民党 |
委員 |
實川 隆 |
自民党 |
委員 |
安藤じゅん子 |
立憲民 |
委員 |
田村耕作 |
公明党 |
委員 |
西尾憲一 |
平和党 |
委員 | 折本たつのり | 有 志 |
委員 | 西ケ谷正士 | 無所属 |
所属・職名 | 氏名 | 備考 |
---|---|---|
農林水産部長 | 前田敏也 |
- |
農林水産部農林水産政策課長 |
室田秀明 |
- |
農林水産部農林水産政策課副課長 |
田下健一郎 |
議事課主幹(併任) |
議会事務局総務課班長 |
大澤和巳 |
- |
議会事務局議事課主事 |
檜垣沙希 |
- |
10月24日
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
羽田空港 |
- |
11時10分 |
ANA59 |
新千歳空港 |
12時45分 |
- |
- |
北海道大学大学院農学研究院ビークルロボティクス研究室 |
15時 |
16時30分 |
調査 |
宿舎 |
- | - |
- |
10月25日
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
宿舎 | - | - | - |
合同会社竹内農園 |
9時30分 |
10時時30分 |
調査 |
株式会社大野ファーム |
13時45分 |
15時5分 |
調査 |
宿舎 |
- | - |
- |
10月26日
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
宿舎 | - | - | - |
釧路港 |
9時20分 |
10時30分 |
調査 |
釧路空港 |
- |
13時25分 |
ANA742 |
羽田空港 | 15時10分 | - | - |
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