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千葉県議会 > 本会議・委員会 > 常任委員会 > 県内調査報告/県外調査報告 > 令和5年度総合企画企業常任委員会県外調査報告書
更新日:令和6(2024)年1月23日
ページ番号:629759
令和5年10月25日
千葉県議会議長伊藤 昌弘 様
総合企画企業常任委員長 宮坂 奈緒
本委員会が県外調査を実施したところ、その概要は下記のとおりでした。
記
(1)日時:令和5年10月18日(水曜日)15時~16時15分
(2)調査項目:水資源の適正な管理及び有効活用について
(3)経過
初めに、宮坂委員長から調査協力に対するお礼の挨拶を行い、南畑・五ケ山ダム管理出張所副長から水資源の適正な管理及び有効活用について説明があり、質疑応答の後、五ケ山ダムを見学した。
(4)概要説明
五ケ山ダム下流沿川では、平成11年6月、平成15年7月、平成21年7月をはじめ幾度となく洪水の被害を受けてきた。また、昭和53年、平成6年には長期の給水制限が行われるなど記録的な渇水の被害を受けてきた地域でもある。また、昭和53年、平成6年には長期の給水制限が行われるなど記録的な渇水の被害を受けてきた地域でもある。五ケ山ダムは、これらの水害や渇水の被害を軽減し、県民の安全・安心な生活を守ることを目的として、全国初の渇水対策容量も有するダムとして建設され令和3年1月に供用開始した。
ダムの主な役割は、まず、洪水調節として、ダム地点で基本高水流量440毎秒立方メートルのうち、370毎秒立方メートルの洪水調節を行い、那珂川沿岸地域の水害を軽減する。2点目に、既得取水の安定化及び河川環境の保全として、那珂川が日照りなどで枯れ、人々の生活だけでなく動植物、水質景観等に支障が生じないように貯めた水を放流する。3点目に、水道用水の確保として、福岡地区水道企業団(福岡都市圏)への水道用水として新たに日量10,000立方メートルを開発し、取水を可能にする。4点目に、異常渇水時の緊急補給として、異常渇水時に備えて、福岡都市圏の水道用水・かんがい用水など、生活に与える影響を抑えるため、1,660万立方メートルの緊急用水を確保する。
また、ダム建設以前の五ケ山地域は、ほとんど水田や田畑であった。水田にはトンボやカエルが生息し、これらを餌にする蛇や猛禽類(鷹、フクロウの仲間)が生息していた。環境への取組として、このような生き物たちが、ダム建設後も五ケ山地域で暮らすことができるように、生活環境を整えたビオトープをはじめとした様々な環境保全に取り組んでいる。
(5)主な質疑応答
問:ダム建設後の浸水被害の発生状況はどうか。また、ゲートレスにしたのはなぜか。
答:ダム建設からあまり年数が経っていないが、今のところ浸水被害はない。ゲート方式だと点検が必要であったり、専門的な職員や技術が必要となる。また、年数が経過すればゲートの補修も必要となってくる。
問:施工業者及び総事業費について伺いたい。
答:施工業者は鹿島・飛島・松本特定建設工事共同企業体であり、計画段階からの総事業費は約1,050億円である。
(1)日時:令和5年10月19日(木曜日)10時20分~11時40分
(2)調査項目:水道事業の統合・広域連携について
(3)経過
初めに、宮坂委員長から調査協力に対するお礼の挨拶を行い、経営企画課長から水道事業の統合・広域連携について説明があり、質疑応答の後、白鳥浄水場(仮称)を見学した。
(4)概要説明
田川市、川崎町、糸田町、福智町は、平成元年に安定した良質な水源を求め、「田川地区水道企業団」を設立し、伊良原ダムを水源とした用水供給事業を展開してきた。その後、平成31年4月に企業団と1市3町の給水事業が経営の一体化を行い、名称を「田川広域水道企業団」に変更した。令和5年4月には事業統合を行い、1市3町における水道料金の統一を実施した。
田川広域水道企業団は行政区域面積140.79平方キロメートル、給水区域面積83.15平方キロメートルであり、行政区域内人口は91,040人、給水人口としては88,804人である。(令和3年度時点)
当企業団における水道広域化の背景として、当地区では人口減少等による料金収入の減少が続く中で、水道施設の老朽化・耐震化への対応が求められており、更新費用の発生によって水道料金の引き上げが避けられない状況であった。値上げによる住民負担の増加を最大限に抑制するため、抜本的な対応手段として、平成20年に水道事業の広域化の調査研究が開始された。
その後、平成30年3月に「田川地域水道事業の統合に関する覚書」を1市3町で締結し、平成31年4月に田川広域水道企業団が設立され、令和5年4月には事業統合と料金統一を実施した。
事業統合に当たっては、施設について「適正規模とした上で、新浄水場の建設、既存施設の統廃合による拠点施設の縮減を図る」ことを基本方針とし、浄水場は、伊良原ダムを水源とする既存の大内田浄水場と新たに建設する浄水場の2つに集約し、新浄水場の水源は、規模の大きな既存水源のうち4水源を活用し、取水量の安定化を図ることとした。また、緊急時の対応として、2つの浄水場を送水連絡管で繋ぎ、バックアップ体制を確保した。
この結果、施設全体として、現状との比較で施設の43%を削減することとなり、大幅な施設の統廃合を行うことから、効率的な水道事業の運営が期待される。
また、統一後の新料金は、口径13mm、一か月あたりの使用水量を20立方メートルとした場合、4,054円(税抜)であり、改定率は、田川市において統一前の令和4年度3,630円から11.7%増、川崎町は令和4年度4,382円から7.5%減、糸田町は令和4年度4,405円から8.0%減、福智町は令和4年度4,069円から0.4%減となっており、3町より人口の多い田川市において値上げとなることとなった。
しかし、田川市においても、統合しなかった場合と統合した場合では、統合しなかった場合の方がより高額となる推計であり、全4市町にメリットがあると考えられる。
なお、現状よりも値上げとなる場合には、5年間の経過措置を設けて料金を据え置くこととし、令和10年度から統一料金が適用される。
当該企業団は、50年後、100年後を見据え、安全で安心できる水道事業であり続けるために、「田川地域における住民生活や社会活動を支えるライフラインとして、安全で良質な水道水を供給する安定的かつ強靭な水道を確保するとともに、持続可能で効率的な供給体制を構築する」ことを基本理念に掲げて取り組んでいく。
(5)主な質疑応答
問:4市町の水道事業の統合に当たり、どのような課題があったか。
答:一番の課題は料金の統一化であった。現状の料金から値上げとなる田川市の住民に対し、統合した場合の料金と統合しなかった場合の料金を示し、統合による効果の説明を重ねて合意に至った。
(1)日時:令和5年10月19日(木曜日)14時30分~16時
(2)調査項目:安全で安定した給水対策について
(3)経過
初めに、宮坂委員長から調査協力に対するお礼の挨拶を行い、福岡地区水道企業団海水淡水化センター運転管理係長から安全で安定した給水対策について説明があり、質疑応答の後、センターを見学した。
(4)概要説明
福岡都市圏は、地域内に一級河川を持たないことから渇水が繰り返されてきており、平成6年の大渇水を契機として、天候に左右されない水資源を確保するため福岡地区水道企業団を事業主体として海水淡水化の導入が検討され、平成17年6月から、海の中道奈多海水淡水化センターの供用を開始した。当該施設は海水から生活用水を生産する国内最大の施設であり、敷地面積は約46,000平方メートル、最大生産能力は50,000立方メートル/日となっている。
当該施設では、淡水化の方法に、使用エネルギーが少なく、経済性に優れている「逆浸透法」を導入しており、これは、真水は通すが塩分は通さない特殊な性質を持つ半透膜で真水と塩水を仕切ると、真水が塩水の方に移動する浸透現象を逆に利用し、浸透圧以上の圧力を塩水側に加え、塩水中の水だけが半透膜を通して真水側に押し出される逆浸透現象により、塩水から真水を得る方法である。
また、取水方式には、海底に埋設した取水管により取水する「浸透取水方式」を採用しており、これにより、構造物が露出しないため漁業等に影響を与えず、さらに、砂の層を利用したろ過作用により、きれいな海水を安定的に取水することが可能であり、一日最大約100,000立方メートルの海水が取水可能である。
玄界灘から浸透取水方式により取水された海水は、導水管を通り取水井で貯水された後、逆浸透法により淡水化処理が行われる。これには高い圧力をかけることが必要であり、当該施設では高圧ROポンプによって高圧力をかけ、高圧RO膜装置へ送水し、中空糸型の半透膜に透過させることで塩分を取り除き淡水化している。この過程によって、海水から60%の真水を取り出すことが可能である。
さらに、淡水化された水を低圧RO膜装置に通すことで、より良い水質に調整された後、混合施設にて浄水場の水と混合した上で、一般家庭に給水される。
また、淡水化の際に塩分濃度の濃い濃縮海水が発生するが、下水処理水と混合し、塩分濃度を薄めて博多湾に放流しており、海洋環境への影響は非常に少なくなっている。
(5)主な質疑応答
問:福岡地区水道企業団における給水量のうち、当該施設で淡水化した水が占める割合は何%か。
答:福岡地区水道企業団の安定供給水量は268,100立方メートル/日、当施設の最大給水能力は50,000立方メートル/日であり、当企業団の給水数量のうち、当施設の占める割合は約20%となっている。しかし、淡水化はコストが高いため、河川の状況が良い場合は河川取水を優先しており、実際には、10%弱の供給となっている。
問:海水を淡水化する場合と河川取水による場合では、水道水を生産するコストはどの程度の差があるのか。
答:昨年度の実績では、1トンの水を生産するコストは当施設では350円だったが、当企業団の筑後川を原水とする牛頸浄水場では90円であり、約3~4倍の差がある。
(1)日時:令和5年10月20日(金曜日)9時30分~10時20分
(2)調査項目:福岡空港の整備等について
(3)経過
初めに、宮坂委員長から調査協力に対するお礼の挨拶を行い、第二工務課長及び福岡空港整備推進室長から福岡空港の整備等について説明があり、バス車内から滑走路を見学した後、質疑応答を行った。
(4)概要説明
現状として、福岡空港は福岡市の中心部に隣接(地下鉄で博多駅まで5分、天神駅まで11分)しているため市街地へのアクセスが良く、利便性に優れている。南北に配置された2,800メートルの滑走路の東側に国内線、西側に国際線のターミナル地区を配置している。また、24時間空港であるが、航空機騒音の影響に配慮し午前7時から午後10時の利用時間となっている。
旅客数及び発着回数の推移として、平成23年度以降、新規路線開設・増便が相次ぎ、旅客数及び発着回数ともに増加傾向であった。新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度から旅客数及び発着回数に影響が出始め、令和元年度に対し、令和2年度は旅客数が約7割減、発着回数が約5割減となった。令和4年度は、令和2年度に対し旅客数は約3倍、発着回数は約2倍となり回復傾向にある。
滑走路について、現在の滑走路処理能力は1時間当たり38回である。実際の運航では遅延便等により38回以上の離発着がある場合があり、その時間帯を中心に混雑や遅延が発生している状況である。
そこで、平成27年度より滑走路増設事業に着手しており、現在、令和7年3月末の供用開始を目指し整備を進めている。供用開始後の滑走路処理能力は、1時間当たり40回の離発着が可能となる。具体的には、現滑走路(2,800メートル)の西側に増設滑走路(2,500メートル)を設け、併せて着陸帯、誘導路、場周道路、排水施設等の整備、既存施設の移転を行う。これらの整備は、現滑走路による飛行場施設の運用を行いながら段階的に施工する。施工は、関連施設のセットバックののち、既設の誘導路及びエプロン(航空機が駐機する場所)をセットバックして新滑走路を整備する。航空機の運航に支障が出ないよう、現滑走路と国際ターミナル間の航空機の地上走行動線等を確保しながら、段階的に工事を進めており、夜間工事(22時半~6時)が中心となる。
(5)主な質疑応答
問:滑走路の工事に当たる事業者は特別な資格やノウハウは必要なのか。
答:特別な資格は必要ないが、空港関係の工事に長けた事業者が工事に当たることが多い。
(1)日時:令和5年10月20日(金曜日)10時30分~11時15分
(2)調査項目:福岡空港の整備等について
(3)経過
初めに、宮坂委員長から調査協力に対するお礼の挨拶を行い、総務本部担当課長、国際施設開発課長並びに国内施設開発推進部長から福岡空港の整備等について説明があり、質疑応答を行った。
(4)概要説明
現在の福岡空港における人手不足の状況として、一時期よりは改善状況にあるものの、グランドハンドリング業務、保安検査業務等を中心に人材が不足している企業が多い状況である。雇用確保対策として、福岡空港合同企業説明会の開催や、空港内事業者及び物販・飲食店舗等の求人採用ホームページを本年2月に開設した。
1999年に供用開始した国際線ターミナルは、当時は約250万人だった旅客数も2018年度には690万人に達し、出到着機能や店舗サービス等の不足、施設の狭隘化が課題となっている。マスタープランで「国際線年間旅客数1,600万人」を掲げており、空港ターミナル容量を拡大するとともに、利便性の向上と魅力ある施設づくりなどを実現するため取り組んでいる。具体的には、空港ターミナル容量は現行約73,000平方メートルに対し、今後、ターミナルを拡張し増改築後は約136,000平方メートルと約2倍にする計画になっている。また、手荷物預け機の導入、保安検査場検査レーンの増設、免税店エリアの規模拡充、アクセスホールの整備、内際連絡バス専用道の整備、立体駐車場の整備等により利便性の向上を図り、空港サービスの質の向上などを目指している。
国内線地区については、今後、国内線ターミナルと一体となった商業、ホテル、バスターミナル、空港機能を複合した施設を新設する予定であり、旅客利便の更なる向上を図るとともに、空港ならではの新たな魅力を発信することで、一般客にも気軽に足を運んでもらえる複合施設を計画している。複合施設の竣工は2026年を予定しており、面積は約47,000平方メートル、地上11階建てで1階から4階が商業施設、5階から11階がホテルとなる。立体駐車場は2024年の竣工を予定しており、駐車台数は現在の約2倍となる1,600台としている。また、二次交通の再配置として、バスターミナルの新設、一般車乗降場の整備等により利便性の向上を図ることとしている。
(5)主な質疑応答
問:現在の空港全体の雇用者数はどのくらいか。
答:令和4年度の調査では約6,500人、以前(コロナ前)は約8,000人であった。
問:福岡空港まではどのような交通手段を利用する方が多いのか。また、空港までのアクセス向上に向けた取組は行っているのか。
答:空港までは地下鉄で来られる方が多い。国際線に関しては、国内線と国際線の間に滑走路があり離れているため、地下鉄を降りた後にバスに乗る必要がある。内際連絡バス専用道の整備によりバス所要時間の短縮を図るなど、アクセス向上に向けて取り組んでいく。
問:空港が市街地にあるが、騒音対策はどのように行っているのか。
答:現在、騒音対策は国において実施しており、令和11年3月を目途に国から引き継がれる予定となっている。
職名 | 氏名 | 会派 |
---|---|---|
委員長 | 宮坂奈緒 |
自民党 |
副委員長 |
伊豆倉雄太 |
自民党 |
委員 |
本間進 |
自民党 |
委員 |
武田正光 |
自民党 |
委員 |
茂呂 剛 |
自民党 |
委員 |
小野崎正喜 |
自民党 |
委員 | 守屋貴子 | 立憲民 |
委員 | 伊藤ちかこ | 立憲民 |
委員 | 秋林貴史 | 公明党 |
委員 |
石川りょう |
千政団 |
委員 | 天野行雄 | 国 民 |
委員 | 秋葉就一 | リベ民 |
所属・職名 | 氏名 | 備考 |
---|---|---|
企業局長 | 吉野美砂子 |
- |
総合企画部次長 |
横山尚典 |
- |
総合企画部政策企画課副課長 | 嶋田善康 | 議事課主幹(併任) |
企業局管理部総務企画課副課長 | 渡邉一博 | 議事課主幹(併任) |
議会事務局議事課副主査 |
平出哲朗 | - |
議会事務局政務調査課主事 |
益田武 | - |
10月18日
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
成田空港 |
- |
10時30分 |
GK507 |
福岡空港 |
12時40分 |
- |
- |
五ケ山ダム |
15時 |
16時15分 |
調査 |
宿舎 |
- |
- |
- |
10月19日
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
宿舎 |
- |
- |
- |
田川広域水道企業団(川崎町役場) |
10時20分 |
11時40分 |
調査 |
海の中道奈多海水淡水化センター |
14時30分 |
16時 |
調査 |
宿舎 |
- |
- |
- |
10月20日
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|
宿舎 |
- |
- |
- |
福岡空港 |
9時30分 |
11時15分 |
調査 |
福岡空港 |
- |
13時40分 |
GK506 |
成田空港 |
15時30分 |
- |
- |
お問い合わせ
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