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千葉県議会 > 本会議・委員会 > 常任委員会 > 県内調査報告/県外調査報告 > 令和4年度県土整備常任委員会県外調査報告書
更新日:令和5(2023)年1月20日
ページ番号:550793
令和4年10月25日
千葉県議会議長佐野 彰 様
県土整備常任委員長秋本 享志
本委員会が県外調査を実施したところ、その概要は下記のとおりでした。
記
(1)日時:令和4年10月19日(水曜日)14時50分~15時25分
(2)調査項目:災害対策について
(3)経過
初めに、秋本委員長からあいさつの後、熊本県土木部道路都市局道路整備課長から阿蘇大橋の復旧事業について概要説明があり、その後、阿蘇大橋(斜面崩落対策)を視察した。
(4)概要説明
旧阿蘇大橋は、1971年に開通した国道325号の黒川を跨ぐ橋である。2016年4月の熊本地震により、熊本県の管理する道路は、震源付近である益城町、阿蘇市、南阿蘇村、西原村等を中心に、道路法面の崩壊、落石、道路陥没等が起こり、多くの箇所が寸断された。
南阿蘇村立野地区における大規模な土砂災害により国道57号や国道325号が遮断、阿蘇大橋は落橋し、熊本市内から阿蘇方面に通じるルートがすべて通行止めとなった。
落橋した国道325号阿蘇大橋は、熊本県と大分県を結ぶ国道57号から宮崎県高千穂町につながる国道325号を分岐した地点にあり、南阿蘇への玄関口として物流や観光など重要な役割を担っており、早急な復旧が求められていた。
熊本地震本震から20日後の2016年5月から、大規模崩壊地の斜面災害を防止するために緊急的な復旧工事を開始。
被災のメカニズムは、地震により橋脚を支える地盤の位置が右岸側、左岸側で橋を圧縮する形でずれ、橋のアーチ部が破壊されるほどの力がかかり、落橋に至ったと考えられている。
土砂崩れの影響については橋を落橋させるほどではなく、落橋の主原因ではないと分析された。
落橋した阿蘇大橋の架け替えにあたり、熊本県は国に災害復旧代行事業を依頼し、有識者等で構成される技術検討会において架け替え位置の検討が行われ、検討の結果、元の位置から600m下流側に架け替えを行う案が採用された。
工事は、24時間施工や工期短縮する施工技術(大型インクラインの導入、竹割り型土留め工法の採用、ACLセルフクライミングシステム工法、鉄筋プレファブ化、超大型移動作業車による片持ち架設工法)が採用され、約1年4カ月の工期短縮が図られ、2021年3月7日に開通した。
(5)主な質疑応答
問:早期復旧をするために、県で協力したことはあるか。
答:村道復旧や町の区画整理などは地元町村ではマンパワーが足らず難しいため、県が行うなど、国と県で役割分担をし、早期復旧を図った。
問:復旧に向け、国費はいくらかかったのか。
答:阿蘇大橋は約160億の施工費である。
問:資材や業者の調達が大変だったと思うが、どのような工夫をしたのか。
答:資材が不足する場面もあったが、それよりも業界の技術者、マンパワーが足りなかった。そのため、業者選定条件緩和や入札の指名制度の金額も3千万円から7千万円に引き上げるなど、さまざまな緩和制度を行った。
(1)日時:令和4年10月20日(木曜日)10時10分~11時05分
(2)調査項目:道路インフラの整備について
(3)経過
初めに、秋本委員長からのあいさつの後、有明海沿岸国道事務所長から代表者のあいさつ及び道路インフラの整備について概要説明があり、質疑応答が行われた。
その後、有明海沿岸国道事務所工務課長の案内のもと、有明早津江川大橋を視察した。
(4)概要説明
有明海沿岸道路は、延長約55kmの地域高規格道路であり、沿線都市間の交流促進や三池港等の広域交通拠点へのアクセス性向上によって「地域の発展」を支援し、更には、一般道路の混雑緩和や安全性向上によって「生活の利便性向上」にも寄与する道路である。
現在、37.5km(福岡県27.5km、佐賀県10km)が開通しており、将来的には主要な都市や重要な空港・港湾である九州佐賀国際空港及び三池港を連絡するなど、高速自動車道路を含め、これと一体となって九州の広域道路ネットワーク計画の一翼を担う高規格道路として機能していく。
近年、豪雨等による浸水被害が増加し、令和2年7月豪雨時には大牟田市で大規模な浸水が発生した。その際、主要な幹線道路は冠水したが、道路高が高い有明海沿岸道路は浸水の影響を受けず、災害時の代替路として機能した実績もある。
地域開発の面では、有明海沿岸道路の開通により、沿線地域では、九州縦貫自動車道、九州新幹線等のアクセス性も良く、企業、商業施設、大学等、計100社が新たに進出・増設するなど、沿線開発が加速している。
物流の効率化と利便性の向上の面では、福岡県南部の重要港湾「三池港」との広域物流ネットワークが強化されることで、物流の効率化が図られ、その結果、三池港の国際コンテナの取扱貨物量は、令和2年対平成18年比で、約26倍までに増えている。
また、九州佐賀国際空港と大牟田市間の所要時間は有明海沿岸道路の開通前(国道208号等を利用)では、約90分かかったが、令和2年度に大川東IC~大野島ICが開通し、所要時間は約半分に短縮された。今後の延伸により更なる短縮が期待される。
さらに、有明海沿岸道路の整備が進むことにより、広域的な観光活動の活発化が期待され、令和4年6月に、福岡、佐賀、長崎、熊本各県にある11の観光団体により「環有明海観光連合」が設立された。
有明海沿岸道路の整備効果等に関する意識をウェブ調査で実施した。(約800人が回答)地域住民からは、有明海沿岸道路の必要性について、約85%が必要と答えており、今後の延伸整備への要望が概ね8割と高く、地域住民から産業振興や周遊観光、災害に強い道路等、道路による地域振興への期待も高い。
(5)主な質疑応答
問:道路整備にあたり用地買収等でスケジュールを組むことが難しい場合があると思うが、どのようにスケジュールを組んでいるのか。
答:用地買収については、地元の佐賀市や大川市に協力してもらい、理解をしてもらっている。それでも数件残る場合があるが、土地収用法の事業認定という形で進め、妥結している。
問:橋梁のデザインについては、どのように決めているのか。
答:地元の委員会(大学教授等)に議論してもらい、その際は軟弱地盤等、地形への配慮もした上で、デザイン等を決定している。
問:55kmの全線開通が決まったのはいつ頃なのか。
答:昭和63年度にバイパスとして計画をしていたが、計画を見直し、地域高規格道路となった。
(1)日時:令和4年10月20日(木曜日)13時55分~16時05分
(2)調査項目:港湾の整備と利用促進について
(3)経過
初めに、秋本委員長からあいさつの後、福岡市港湾空港局港湾企画課長から代表者のあいさつ及び博多港の概要について説明があった。次に、福岡市経済観光文化局クルーズ課長からクルーズ振興についての説明があり、質疑応答が行われた後、中央ふ頭を視察した。
その後、コンテナターミナルに移動し、博多港ふ頭株式会社からコンテナターミナルの概要について説明があり、質疑応答が行われた後、コンテナターミナルを視察した。
(4)概要説明
【博多港の概要】
博多港の特徴は、輸出より輸入が多く、福岡市や福岡市周辺の消費を支える生活型港湾という位置づけとなっている。
令和3年度のコンテナ取扱数は89万TEUであり、コロナの影響により取扱数が減少している。
輸出入の相手方は東アジアが中心であるが、最近では生産地が東南アジアのものが多くなっており、ベトナムやタイとの取引も増えてきている。
人流としては、令和3年度は乗降人員約58万2千人となっているが、外国航路については令和2年2月以降クルーズ船が止まっているため0人となっている。
【博多港のクルーズ振興】
平成19年あたりからクルーズ船が寄港するようになり、平成27年に急激に寄港数が伸び、平成27年から平成30年のクルーズ船寄港回数は日本一となっている。また、クルーズ船が2隻寄港できるよう岸壁の延伸工事を行い330メートルの岸壁を整備し、平成30年に全面供用している。
クルーズ船利用者は、主に団体客が多数を占めているが、平成29、30年度からFIT(個人旅行)が増えてきており、福岡市としても個人旅行の誘致をすすめ、福岡都市圏や周辺自治体と連携し、リピーターの増加や地元の経済効果の広がりに繋げる取組を行っている。
コロナの影響で受入れ停止となっていたクルーズ船は、本年6月から受入れを再開し、11月に再開後初となる、クルーズ船の寄港を予定している。
クルーズ船誘致のために、博多港オリジナルの「福岡クルーズ会議」や「博多港クルーズ船受入関係者協議会」を設置し、大型クルーズ船社幹部との情報交換や交通渋滞対策などの取組について協議している。
【コンテナターミナルの概要】
博多港の貨物取扱量は、日本の5大港に次ぐ6番目となっている。博多港の貨物取り扱いの歴史は浅く、1980年代になってから取り扱いを始めた後発の港である。後発の港であるにもかかわらず、取扱量が6番目となった理由として、他の港では取り組んでいないことに取り組もうと福岡市と博多港ふ頭株式会社と物流業者が三位一体となり様々な事業に取り組んだことである。
その一つに、HiTSというシステムがある。このシステムができるまで、コンテナターミナルにおけるトラックの渋滞が問題となっていた。原因を調査したところ、トラックの運転手はコンテナの通関状況などを把握せずコンテナを取りに来ていたため、なかなかコンテナを回収できずに渋滞が発生していることが判明した。そこで、コンテナターミナルで持っている情報をウェブを通じて提供することで無駄な渋滞をなくせるのではないかと思いこのシステムを開発した。利用料は無料としており、コンテナ番号などを入力してもらえば必要な情報を取得することができる。適宜利用者にアンケートを行い、利用しやすいシステムとなるよう改良を行っている。
また、エコなコンテナターミナルを目指し、ストラドルキャリアのハイブリッド化やトランスファクレーンの電動化を進め、CO2排出量の削減を行っている。
(5)主な質疑応答
問:中央ふ頭の水深はどれくらいか。
答:現在は水深11.5メートルであり、計画では12メートルまでにする予定である。なお、コンテナターミナルについては、水深15メートルである。
問:クルーズが来ることによる福岡市の経済効果はどれくらいか。
答:一人当たり8万円の経済波及効果があると算出している。
問:カーボンニュートラルポートに向けた取組は何か。
答:ストラドルキャリアのハイブリッド化などの他に、冷凍冷蔵コンテナを置く場所に屋根を設置し、温度の上昇を抑えて消費電力を抑える取組などを行っている。いずれも国土交通省の実証実験という形で導入している。
(1)日時:令和4年10月21日(金曜日)9時20分~10時30分
(2)調査項目:都市公園の整備について
(3)経過
初めに、秋本委員長からあいさつを行い、国営海の中道海浜公園事務所長から代表者のあいさつがあった後、現地を回りながら都市公園の整備について説明があった。
(4)概要説明
海の中道海浜公園は、北部九州のレクリエーション利用拠点として整備する国営公園であり、全体計画面積約540ヘクタール有しており、そのうち約350ヘクタールを供用している。
主な公園施設として、青少年海の家や水族館、ホテルなどがあり、利用者は家族連れが中心となっているが、幅広い年代の方が訪れ、年間約200万人が利用する主要な観光施設となっている。
官民連携の事業として、国営公園としては初となるPFI事業を導入し、平成元年にオープンしたマリンワールド海の中道を平成28年に、昭和62年にオープンしたホテルザ・ルイガンズを平成30年に、それぞれ管理運営を開始している。
また、平成29年度に創設された官民連携による新たな公園整備手法であるPark-PFI事業の導入に向け、平成30年度から方針の策定などを開始した。
まず、民間事業者から事業アイデアや事業条件等を提案してもらい、それぞれの希望を把握。その後、公園全体における官民連携の方針を定め、方針を具体化するための短期的な取組みとして、事業者からの提案が多く、利用者の少ないB地区などの利用促進を本Park-PFI事業に位置付けた。事業の基本的方向性として、「公園の個性・ポテンシャルを活用して魅力増強」「既存の魅力の維持、継承」「自然や健康をメインテーマにした事業展開」の3つを掲げた。B地区が着目された理由として、他地区に比べて利用者は少ないが博多湾を望む景観が魅力であり、パークツーリズムの提案で新たな利用者層の獲得が見込めるためである。
官民連携推進方針を踏まえ、設置管理に必須となる条件などを決定し、公募設置等指針を策定した。策定した公募設置等指針を公表の上公募し、有識者委員会の審議を経て、公募設置等予定者を選定した。事業期間は令和3年7月から令和23年7月までの20年間となっており、主な施設として、宿泊施設、BBQ施設、レストラン売店等が整備されている。
(5)主な質疑応答
問:米軍から返還された後は、国が跡地利用について決めたのか。
答:跡地利用については、地元住民から全体を公園にしてほしいとの要望があったため公園とすることにした。
職名 | 氏名 | 会派 |
---|---|---|
委員長 |
秋本享志 |
自民党 |
副委員長 |
石井一美 |
自民党 |
委員 |
宇野裕 |
自民党 |
委員 |
阿井伸也 |
自民党 |
委員 | 瀧田敏幸 | 自民党 |
委員 | 山本義一 | 自民党 |
委員 |
高橋浩 |
立憲民主・千葉民主の会 |
委員 |
松戸隆政 |
立憲民主・千葉民主の会 |
委員 |
秋林貴史 |
公明党 |
委員 |
大崎雄介 |
千翔会 |
所属・職名 | 氏名 | 備考 |
---|---|---|
県土整備部長 | 池口正晃 | |
県土整備部県土整備政策課長 | 青柳徹 |
|
県土整備部県土整備政策課副課長 | 島田昌信 | 議事課主幹(併任) |
議会事務局政務調査課主査 |
櫛田佳緒里 | |
議会事務局議事課主事 |
勝村典貴 |
月日 |
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|---|
10月19日 |
羽田空港 |
|
10時15分 |
JAL627便 |
熊本空港 |
12時05分 |
|
|
|
阿蘇大橋 |
14時50分 |
15時25分 |
調査 |
|
宿舎 |
|
|
|
|
10月20日 |
宿舎 |
|
|
|
有明海沿岸道路 |
10時10分 |
11時05分 |
調査 |
|
博多港中央ふ頭、 |
13時55分 |
16時05分 |
調査 |
|
宿舎 |
|
|
|
|
10月21日 |
宿舎 |
|
|
|
国営海の中道海浜公園 |
9時20分 |
10時30分 |
調査 |
|
福岡空港 |
|
15時00分 |
JAL318便 |
|
羽田空港 |
16時45分 |
|
|
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