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千葉県議会 > 本会議・委員会 > 常任委員会 > 県内調査報告/県外調査報告 > 令和元年度環境生活警察常任委員会県外調査報告書
更新日:令和5(2023)年3月9日
ページ番号:354499
令和2年3月6日
千葉県議会議長阿井伸也様
環境生活警察常任委員長中村実
本委員会が県外調査を実施したところ、その概要は下記のとおりでした。
記
(1)日時:令和2年2月4日(火曜日)13時30分~15時00分
(2)調査項目:災害対策について
(3)経過
初めに、中村委員長からの調査協力に対するお礼のあいさつの後、高知県警察本部警備部長から歓迎のあいさつに続いて、警備部災害対策課課長補佐から南海トラフ地震等大規模災害発生に備えた県警察の取組についての説明があり、質疑応答が行われた。
その後、高知東警察署警備課長の案内により高知東警察署三里交番を見学した。
(4)概要説明
高知県は11市17町6村の自治体で構成され、面積は約7,105平方キロメートルと全国で18番目に広く、豊かな森林に恵まれ、713キロメートルの長い海岸線を有している。県都の高知市は、沿岸部に経済整備が整い住宅も多いという特徴が、東日本大震災で大きな被害が出た宮城県石巻市に似ているともいわれている。
南海トラフ地震は、今後30年以内に70~80%の高い確率で発生するといわれている。マグニチュード8クラス以上の、現時点の最新の科学的知見に基づいて発生し得る最大級の地震が発生した場合、県内全市町村の77%の26市町村で震度7、残りの8市町村でも震度6の強い揺れに襲われ、浦戸湾の一部などを除く全ての海岸線で10メートルを超える津波が発生することや、都市機能が集中する高知市の中心市街地が地盤沈降のため40日以上浸水することなどが予想されており、平成25年に高知県が発表した被害予想は、死者数約42,000人、負傷者数約36,000人、全壊建物約153,000棟などとなっている。
高知県警察本部では、令和2年の運営指針を「高知県の安全・安心を守る強く優しい警察」と定め、5つの重点目標のひとつに「南海トラフ地震や大規模警備等に向けた諸対策の推進」を掲げ、災害対処能力の向上と官民連携の推進に取り組んでいる。災害対処能力向上のためには、災害対処能力に優れた人材育成が必要であることから、組織的に人材育成のレベルアップに努めている。
初めに、取組体制の強化として、平成26年4月に災害対策課を設置し、課長以下7名で南海トラフ地震対策や災害警備全般、緊急事態の初動措置などを行っているほか、高知県危機管理部への出向制度により県との連携強化を図っている。また、災害対策技能員制度により、機動隊OB等を各種の災害警備訓練に派遣して組織的に技能を伝授するなど、災害対策の向上に努めている。
次に、災害警備訓練の実施として、各警察署では、自治体、学校、地域住民との協働の避難訓練を実施しており、令和元年中は、県内12警察署で合計250回の訓練を実施した。また、地盤沈下により長期浸水が予想される高知市では、自治体、消防等関係機関と地域住民との合同で、ボートを活用した救助訓練を実施した。このほか、消防、海上保安庁、自衛隊等と合同で、ヘリによるつり下げ救助や潜水捜索等、津波浸水域での活動に特化した訓練を平成26年から継続的に実施している。
次に、警察官個々の災害対策技能の向上として、機動隊、第二機動隊の若手警察官を対象とした装備資機材取り扱いの基本訓練や、模擬倒壊家屋や廃車を使った応用訓練を毎年実施しているほか、各警察署では、配置されている装備資機材を使った取扱訓練を実施しており、令和元年中は県内12警察署で合計305回の訓練を実施した。また、災害や事故現場における救助活動に必要な知識や技術の習得のため、高知県消防学校の専科である救助科を機動隊員に受講させている。
次に、装備資機材の整備・充実として、平成28年3月に直立浮遊式ライフジャケットを350着配備した。通常のライフジャケットは255着、救助用ボートには146着を備え付けており、十分に足りている状況である。発動発電機は、警備本部に13基、信号機の滅灯用発電機は61基配備している。また、全国に先駆けてプロペラボートを導入した。これは、直径2メートル程のプロペラの駆動により前進するもので、特殊な樹脂が使われた平らな船底により浅瀬や陸地への乗り上げが可能である。防災用具セットは、シャベル、防塵マスク、ヘッドライト等11品目、439組を県警察本部、機動隊、各警察署に配備している。
次に、警察関連施設の整備として、津波浸水区域に存在している高知東警察署三里交番を平成26年4月に建て替え、高層化した。災害時の活動拠点兼避難場所として活用する、災害対応型交番である。このほか、機動隊舎の新築運用、県警航空隊ヘリ格納庫かさ上げなどを行っている。
次に、広報啓発活動の推進として、各種機会を通じて県民に対し防災、減災に係る広報啓発活動を実施している。自助共助の必要性を訴えるとともに、地域の防災力を高めるため、農業や漁業に従事する外国人研修生に対する出前式防災講座、外国語パンフレットの配布、高齢者等に対する防災講座などを行っている。また、自治体広報誌や各種イベントを通じた広報活動も積極的に行っている。
次に、マニュアル関係として、子供でも興味を持てるような内容の警察職員家族向け災害対応マニュアルや、災害警備活動要領を写真つきで解説した第二機動隊員のための応急救助マニュアル、高知県災害警備活動マニュアル等、部内向け、隊員向けマニュアルを作成し、それらの資料を活用した訓練を実施している。
また、津波被害が予想される地域を管轄している8交番、35駐在所には、津波避難マニュアルを常備し、有事に備えている。マニュアルは、東日本大震災で多くの消防官や警察官が犠牲になったことを教訓に、具体的な距離や時間を掲載し、住民を誘導しながら警察官みずからも移動し避難するということが分かるように作成している。
(三里交番)
三里交番には、現在8名の警察官が配置され、3交代制で勤務している。建物は鉄筋コンクリート造りの4階建てで、1、2階は通常の交番施設で、3、4階、屋上が地震、津波対策を講じたスペースとなっている。3階は災害活動拠点としてのスペースの必要性から会議室が設置されており、通常でも交番連絡協議会等の会議に利用できる。備蓄食糧は3階の保管倉庫に備蓄している。地震発生時には、4階と屋上を津波からの避難場所として利用でき、110人が避難可能となっている。
地域住民が避難時に使用する階段は、幅を広く、一段の高さを低くすることで、高齢者や子供が安全に避難できるよう設計されている。4階出入ロの扉は、通常は施錠しているが、震度5以上の揺れで自動的に解錠する設備を設けており、警察官の不在時でも確実に施設内に避難することができる。
平成26年5月に高知市と「津波発生時における緊急避難場所としての施設の使用等に関する協定」を締結、津波避難ビルの指定を受け、ゴムボート、救命胴衣、ヘルメット、簡易トイレ等、高知市の資機材を配備している。
屋上には非常用照明設備が整備され、停電時でも2日間、非常用照明が点灯可能となっているほか、可搬式発電機の電源ロを設置しており、備えつけの発電機により、3、4階に電気を供給することができるようになっている。
(5)主な質疑応答
問:災害発生時、国や他の自治体と、どのように連携していくのか。
答:災害発生時に拠点となる総合指揮室に要員を収集し、状況を把握して、管区警察局を通じて県外に人員や機材の応援を要請していくことになる。
問:警察官は、災害発生後にやるべき業務も多く、災害発生時にはみずからを犠牲にするのではなく生き延びることが大切と思うがどうか。
答:住民の安全を守ることが警察官の任務であるが、自分が生き残らないと人は助けられないので、みずからの命を守りながら住民を避難させることが分かるようにマニュアル等を作成している。
問:平成25年に県が発表した被害予想は死者数約42,000人とのことであるが、各種対策による減災効果はどうか。
答:平成20年4月に制定された「高知県南海地震による災害に強い地域社会条例」により、県警を含む高知県庁の全部局が一体となり、平成21年に「第1期南海トラフ地震対策行動計画」を策定した。この計画は3年単位で見直しを行い、現在は第4期の政策に取り組んでいる。この間、県警を含む県全体の取組により2019年の被害予想は死者数約11,000人となった。
問:三里交番について、地域住民には避難方法をどのように周知しているのか。
答:地域住民は防災に対する意識が高く、自分自身が避難するには、どれくらいの時間がかかるかを考えながら、1年に1回は必ず建物に上がる訓練を実施している。
問:三里交番を災害発生時の避難場所として活用することとなった経緯は、どのようなことか。
答:三里交番の周辺地域には、あまり高い建物がないことから、住民からの避難場所についての要望があり、また、交番も老朽化が進んでいたことから、住民からの要望を踏まえ、災害時の活動拠点兼避難場所として活用する交番を建設することとなった。
(1)日時:令和2年2月5日(水曜日)10時00分~11時00分
(2)調査項目:環境負荷軽減の取組について
(3)経過
初めに、中村委員長からの調査協力に対するお礼のあいさつの後、土佐グリーンパワー株式会社取締役から歓迎のあいさつがあり、施設概要を紹介したDVDを視聴した。その後、管理部長の案内により発電所の概要及び所内の設備について施設見学及び説明を受け、質疑応答が行われた。
(4)概要説明
当施設は、未利用材100%を使用した木質資源の新たな需要先として熱利用に着目し、経済価値の高い電力へ変換する発電事業を推進することにより、林業の活性、地域雇用を促進し、資源循環型社会の実現に貢献できると確信し、出光興産、とさでん交通、高知県森林組合連合会が共同で立ち上げた木質バイオマス発電所であり、2015年4月から運転稼働している。
高知県は県土の84%が森林に覆われる日本有数の森林県である。現在、高知県の森林は戦後に植林された森林が成熟期を迎え、利用される時期へと差し掛かっている。この豊富な資源を活用するにあたって、適正な管理のために重要とされているのが間伐作業である。森林の間伐は、成長に伴い混み合ってきた木々を適度に間引き、生育を促すための伐採のことである。また、間伐により木々の間から地面に太陽光が届くようになり、下草が生育しやすい環境ができ、土壌の流出防止にもつながることから、土砂災害防止のためにも重要視されている作業である。
これらの間伐作業で生じた1本の木からは、約70%が丸太材、パルプ材として出荷されるが、残り約30%や細木、曲がり材は利用されない木材、つまり未利用材となっている。近年、この未利用材を有効利用できないかと考えられたのが、木質バイオマスへの活用である。木質バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料を除く)のことであり、伐採や造材で生じた建築材に適さない曲がった原木、枝葉、端材などの林地残材などが含まれる。木質バイオマスの燃料は化石燃料と異なり大気中の二酸化炭素を増加させないため、木質バイオマスは循環的に利用している限り、持続的に再生可能な資源、クリーンなエネルギー源であると言える。
発電に用いる燃料は、高知県内で生じた未利用材を年7~8万トン使用し、高知県森林組合連合会の共販所や貯木場、県内全域の素材生産業者から、林地残材や伐採後の未利用材を搬入している。送電出力は5,650kWであり、年間送電量は約4,000万kWhとなり、これは約11,000世帯分である。作られた電気は公共施設や業務用施設、地域に供給されている。また、再生可能エネルギーによる発電事業で年2万トンのCO2を削減し、伐採、運搬、破砕、発電などで計130名の雇用創出、電力の地産地消により地域活性化に貢献している。
当施設の特徴は、高知県産の未利用材100%利用、日本初の破砕から発電までの一体型発電所、粉塵対策や排水対策など周辺環境に配慮した発電所、重要設備は地上5メートル以上に設置するなど、南海地震等の地震・津波対策に配慮した安心・安全な発電所が上げられる。
(5)主な質疑応答
問:未利用材の購入単位と単価はどうか。また仕入れはどのように行っているのか。
答:購入単位はトンであり、1トン当たり8,000円程度である。仕入れは高知県森林組合連合会から仕入れている。
問:タービンの廃熱は利用しているのか。
答:タービンが小さく熱量が少ないため有効に活用することができず、現在は利用していない。
問:建設費総額と補助金はどれくらいか。
答:総額約36億円であり、うち県及び市から補助金が約16億円、残り約20億円は3社からの出資と銀行からの借り入れである。
問:未利用材100%で運用していくには、貴社の規模程度がちょうど良いのか。
答:地元の資源を利用するなど、その地域の特徴にあった事業規模とすることが重要である。また、売上金には上限があるため、いかにコストを削減するかということが課題である。燃料である未利用材の需要が高まることで価格が上昇すると、事業が苦しくなるという懸念がある。
職名 | 氏名 | 会派 |
---|---|---|
委員長 | 中村実 |
自民党 |
副委員長 |
茂呂剛 |
自民党 |
委員 |
河上茂 |
自民党 |
委員 |
信田光保 |
自民党 |
委員 |
江野澤吉克 |
自民党 |
委員 | 鈴木衛 | 自民党 |
委員 | 木名瀬訓光 | 自民党 |
委員 | 河野俊紀 | 立憲民主党 |
委員 |
鈴木陽介 |
千葉民主の会 |
委員 |
藤井弘之 |
公明党 |
委員 | 小宮清子 | 社民党 |
委員 | 伊藤とし子 | 市民ネットワーク |
所属・職名 | 氏名 | 備考 |
---|---|---|
環境生活部次長 | 松本貴 | |
警察本部総務部長 | 古川等 |
|
環境生活部環境政策課副課長 | 高岡宏冶 | 議事課主幹(併任) |
警察本部総務部理事官 | 堀和博 | 議事課主幹(併任) |
議会事務局総務課副主幹 |
常枝のり子 | |
議会事務局議事課主事 |
伊藤恵祐 |
月日 |
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|---|
2月4日 |
羽田空港 |
|
9時20分 |
JAL493 |
高知空港 |
10時50分 |
|
|
|
高知警察本部 高知東警察署三里交番 |
13時00分 |
15時00分 | 調査 | |
宿舎 |
|
|
||
2月5日 |
宿舎 |
|
|
|
土佐グリーンパワー株式会社 |
10時00分 |
11時00分 |
調査 |
|
高知空港 |
|
15時20分 |
ANA568 |
|
羽田空港 |
16時35分 |
|
|
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