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更新日:令和5(2023)年9月14日
ページ番号:23684
答申第168号
平成28年11月11日
千葉県公安委員会
委員長岩沼静枝様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成26年10月15日付け公委発第23号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第150号
平成26年9月24日付け(同月16日受付)で異議申立人から提起された、平成26年8月20日付け公委発第17号で行った自己情報部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について
諮問第150号
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県公安委員会委員長(以下「実施機関」という。)が平成26年8月20日付け公委発第17号で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の判断は、妥当である。
(1)異議申立人は、平成26年8月14日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「私が平成○年○○署の対応について、公安委員会に苦情を申し立てたことに関して、千葉県警察本部長から報告された文書」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)本件請求に対し、実施機関は、次のとおり対象文書を特定した上で、本件決定を行った。
ア「苦情処理票平成○年○月○日付け受理番号○○○○」(以下「本件文書1」という。)
イ「公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答)平成○年○月○日付け広発第11号」(以下「本件文書2」といい、本件文書1及び本件文書2を総称して「本件各文書」という。)
(3)これに対し、異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成26年9月24日付けで異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(4)本件異議申立てを受けて、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成26年10月15日付け公委発第23号で審議会に諮問した。
平成26年9月24日付け「異議申立てと共に求める、公安委員○○殿捜査の記録」と題する文書(同月16日受付)、平成26年9月20日付け異議申立書及び「異議申立書添付け作文」と題する文書(同月22日受付)並びに平成27年1月16日付け意見書(同月26日受付。以下これらを「異議申立書等」という。)において、おおむね次のとおり主張している。
本件決定を取り消し、不開示とされた全ての部分の開示を求める。
異議申立人は、本件各文書について、「警察官刑事の語る警察組織の匿いと解明される千葉県警察本部長作文であ」り、「事件の方向性を変える為の偽造作文で有」り、「官僚に対する隠蔽作文と思料」したため、本件異議申立てを行った。
なお、異議申立人は、以下のようなことも異議申立書等に記載している。
警察署の刑事四名は、異議申立人の内縁の妻を拉致・誘拐・不当監禁した。警察は、一般市民に罪を被せてそれを隠すため、虚偽公文書作成等様々な罪を犯した上、裁判所や○○、検察庁特別刑事部等にも様々な罪を犯させ、犯罪を拡大した。このように悪質な組織犯罪が行われているので、全捜査記録を一般公開すること、事件の真実をメディアに報道すること、及び罪を犯した警察官らを拘束し、裁判を開廷すること等を求める。
理由説明書において、実施機関はおおむね次のとおり主張している。
異議申立人が警察法(昭和29年法律第162号)第79条の規定に基づき公安委員会あてに申し出た苦情(以下「本件苦情」という。)について、実施機関より県警本部長あてに行った調査依頼に対して、県警本部長から実施機関あてに回答された文書である。
(ア)本件文書1
本件文書1は、公安委員会決裁欄(委員長、委員)、受理番号欄、受理日回付日欄、調査結果調査所属欄、件名欄、申出人欄、調査結果欄、要旨欄、処理伺欄、報告日決裁欄、指示内容欄、通知日欄、通知区分欄、担当者欄、処理のてん末欄及び備考欄から構成されている。
(イ)本件文書2
本件文書2は、千葉県警察本部長から千葉県公安委員会委員長あての文書であり、申出人、申出の主旨、過去における申出人からの相談受理状況、申出人及び内妻に対する対応状況、その後における申出人との対応状況、調査結果及び結論から構成されている。
条例第17条第2号及び千葉県個人情報保護条例第17条第2号ハの警察職員を定める規則(平成17年千葉県規則第65号。以下「警察職員規則」という。)の該当性について不開示とした「担当欄の氏名」は、警部補以下の階級にある警察官の氏名であり、警察職員規則によって不開示とされる警察職員の氏名に該当するため当該箇所を不開示とした。
(ア)条例第17条第2号及び警察職員規則の該当性について
不開示とした「警察官の氏名」は、警部補以下の階級にある警察官の氏名であり、警察職員規則によって不開示とされる警察職員の氏名に該当するため当該箇所を不開示とした。
(イ)条例第17条第2号の該当性について
不開示とした「警察官の年齢」は、開示請求者以外の特定の個人を識別できる情報又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがある情報に該当するため当該箇所を不開示とした。
(ウ)条例第17条第2号及び同条第6号の該当性について
不開示とした相手方に対する対応状況や聴取内容は、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報であるとともに、開示することにより、関係者に誤解や憶測を招き、警察業務への信頼関係が損なわれるなど、保護活動等の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報に該当するため当該箇所を不開示とした。
異議申立人が開示すべきと主張している不開示とした部分については、警察本部総務部総務課公安委員会補佐室において苦情を受理した警察官の氏名、○○警察署において申出人の相談等を受理した警察官の氏名及び年齢並びに異議申立人以外の特定の個人から異議申立人とのトラブルについて、警察官が聴取した内容等が記載されており、条例第17条第2号及び同条第6号柱書の不開示情報に該当することは明らかである。
条例第17条第2号は、同号本文に該当するものであっても、ただし書イ、ロ、ハ又はニに該当する場合は、開示しなければならない旨規定していることから、以下、ただし書の該当性について検討する。
(ア)ただし書イについて
本件は、異議申立人とトラブルになっている第三者からの聴取内容やその第三者に対する警察官の対応状況であり、その様な情報をトラブルの相手方に教示する法令等の規定や事務の慣行性は認められないことから、ただし書イには該当しない。
(イ)ただし書ロについて
ただし書ロの該当性の判断にあたっては、「当該情報を不開示にすることの利益と開示することの利益の調和を図ることが重要であり、開示請求者以外の個人の権利利益よりも、開示請求者を含む人の生命、健康等の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないこととするものである」とされており、当該情報にあっては、開示請求者以外の権利利益と比較した場合に、開示請求者の利益が優先されるとは考えられず、ただし書ロには該当しない。
(ウ)ただし書ハについて
公務員の職務の遂行に係る情報のうち、当該公務員の職、氏名及び職務遂行の内容に係る部分については、開示することを規定している。
ただし、括弧書きにより、「警察職員であって規則で定めるものの氏名は除く。」としており、警察職員規則には、第1号の「警部補以下の階級にある警察官」、第2号の「前号の階級に相当する職にある警察官以外の職員」の一定の階級にある警察官及び同階級に相当する職にある警察職員の氏名は不開示とすることを規定している。前記のとおり、条例第17条第2号で不開示としている警察職員の氏名は、ただし書ハで開示の対象とする公務員の氏名から除外される階級にあり、したがって本号ハに規定された開示対象には該当しない。
(エ)ただし書ニについて
ただし書ニは、イ、ロ及びハに該当しない情報であり、かつ開示することによって個人の生命、身体、財産その他の利益を侵害するおそれがないことが、開示請求者と開示請求者以外の個人の関係や個人情報等の内容等から客観的に判断できる情報を開示する規定である。
したがって、一般的には個人情報を他人に明らかにすることは不利益であると考えられることから不開示とすることとなるが、例えば、自己の個人情報に含まれる第三者に関する情報で開示請求者が既に知っていることが明らかであり、当該第三者も開示請求者に了知されていることを認識していると考えられ、かつ当該第三者と開示請求者が利害を共通にする立場にある場合は、当該情報を開示しても第三者の権利利益を侵害することはなく、当該情報は開示されるものである。
本件においては、開示請求者と当該第三者の利害が共通している場合にあるとはいえないことから、ただし書ニには該当しない
ア実施機関は、本件請求に対して上記2(2)のとおり、対象文書を本件各文書と特定して本件決定を行った。
イ審議会で見分したところ、本件文書1は、本件苦情の処理担当者が、平成○年○月○日に、本件文書2を別添した上で、本件苦情及びその調査結果の要旨等を記載して公安委員会に処理を伺い、それに対する公安委員会の指示内容が記載された文書である。本件文書2は、実施機関より本件苦情について調査を指示された千葉県警察本部長が、平成○年○月○日に、実施機関に対して調査の結果を回答した文書である。
ウこれにつき、異議申立人は、異議申立書等(上記3(1)ア)において、不開示とした部分の全てについて開示を求めているので、本件決定において実施機関が不開示とした情報について、以下、その妥当性を検討する。
ア審議会において本件各文書について見分したところ、本件決定における不開示部分は、別表のとおりである。
イ本件決定における不開示部分は、次のとおり分類することができる。
(ア)別表の(1)
本件苦情の処理担当者の氏名に係る情報(以下「本件不開示情報1」という。)
なお、理由説明書3ページ16行目において、不開示部分についての説明中「苦情を受理した警察官の氏名」との記載がある(上記4(3)アの3行目)が、実施機関に説明を求めたところ、「苦情を処理した警察官の氏名」と記載すべきところを誤記したものであることが確認された。
(イ)別表の(3)~(7)、(9)及び(10)
千葉県警察本部長が調査した結果、過去に異議申立人に対応したものとされる警察官らの氏名及び年齢に係る情報(以下「本件不開示情報2」という。)
(ウ)別表の(2)、(8)及び(11)
異議申立人以外の者から聴取した内容やその者に対する警察官の対応等に係る情報(以下「本件不開示情報3」という。
実施機関は、本件不開示情報1について、条例第17条第2号及び警察職員規則に該当すると主張する。
当審議会で確認したところ、本件不開示情報1は、警部補の階級にある警察官の氏名であり、異議申立人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものであるから、条例第17条第2号本文前段に該当する。
そこで、同号ただし書についてみると、警察職員規則第1号で定める警部補以下の階級にある警察官であるため、条例第17条第2号ただし書ハには該当せず、また、同号ただし書イ、ロ又はニに該当する事情も認められない。
したがって、本件不開示情報1は、条例第17条第2号に該当するため、不開示が相当である。
実施機関は、本件不開示情報2のうち、氏名については条例第17条第2号及び警察職員規則に該当し、年齢については条例第17条第2号に該当すると主張する。
当審議会で見分したところ、本件不開示情報2は、警部補以下の階級にある警察官2名の氏名、姓及びうち1名の年齢(別表(3)~(7))並びに警部補の階級にある警察官1名の名及び年齢(別表(9)・(10))であり、各警察官の所属する部署名及び階級は開示されている。なお、警察官1名の姓が開示されている理由について実施機関に確認したところ、本件苦情申出文書の記載内容から異議申立人が当該警察官の姓を既に知っていることが明らかであったため、開示したとのことである。
各警察官の氏名、姓、名及び年齢は、全体として、異議申立人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものである。特に、姓が開示されている警察官の名及び年齢は、個人識別性をより高める情報である。したがって、条例第17条第2号本文前段に該当する。
そこで、同号ただし書についてみると、本件不開示情報2のうち氏名、姓及び名については、警察職員規則第1号で定める警部補以下の階級にある警察官であるため、条例第17条第2号ただし書ハには該当せず、また、同号ただし書イ、ロ又はニに該当する事情も認められない。本件不開示情報2のうち年齢についても、同号ただし書イ~ニに該当する事情は認められない。
さらに、条例第18条第2項による部分開示について検討すると、氏名、姓及び名は個人識別部分であり、部分開示の余地はない。また、年齢は、上司、部下、同僚等の一定範囲の関係者には個人を特定する手掛かりになる情報であり、異議申立人以外の個人の権利利益が侵害されるおそれがある情報と認められるから、部分開示できない。
したがって、本件不開示情報2は、条例第17条第2号に該当するため、不開示が相当である。
実施機関は、本件不開示情報3について、条例第17条第2号及び同条第6号に該当すると主張する。
当審議会で見分したところ、本件不開示情報3は、異議申立人とトラブルになっている第三者からの聴取内容やその第三者に対する警察官の対応状況について記載したものであり、開示請求者以外の個人に関する情報であって、開示請求者以外の特定の個人を識別できるものであり、条例第17条第2号本文前段に該当する。また、同号ただし書イ~ニに該当する事情も認められない。
したがって、本件不開示情報3は、条例第17条第2号に該当することから、同条第6号に該当するか否かについて判断するまでもなく、不開示が相当である。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成26年10月15日 |
諮問書の受理 |
平成26年12月15日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成27年1月26日 |
異議申立人の意見書受理 |
平成28年9月27日 |
審議(平成28年度第1回第2部会) |
平成28年10月25日 |
審議(平成28年度第2回第2部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
石井徹哉 |
千葉大学副学長 |
|
中曽根玲子 |
國學院大學専門職大学院法務研究科教授 |
部会長 |
藤岡園子 |
弁護士 |
部会長職務代理者 |
No |
文書名 |
本件決定における不開示部分 |
|
---|---|---|---|
(1) |
苦情処理票 |
「担当者」欄の氏名 |
|
(2) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) |
1枚目 |
「2申出の主旨」の記載内容の一部 (22~23行目及び29行目の7~16文字目) |
(3) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) | 2枚目 |
「3過去における申出人からの相談受理状況(2)受理者」の警部補の氏名(6行目) |
(4) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) | 2枚目 |
「3過去における申出人からの相談受理状況(3)受理状況」の警部補の姓 (13行目及び20行目) |
(5) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) | 2枚目 |
「4申出人及び内妻に対する対応状況(2)取扱者」の巡査部長の氏名(27行目) |
(6) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) | 2枚目 |
「4申出人及び内妻に対する対応状況(2)取扱者」の巡査部長の年齢(27行目) |
(7) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) | 2~3枚目 |
「4申出人及び内妻に対する対応状況(3)保護状況」の巡査部長の姓(2枚目の33行目、3枚目の12行目及び17行目) |
(8) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) | 3枚目 |
「4申出人及び内妻に対する対応状況(3)保護状況」の記載内容の一部(2~4行目、6行目の27文字目~11行目、12行目の13文字目~13行目の4文字目及び20~27行目) |
(9) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) | 3枚目 |
「5その後における申出人との対応状況(1)告訴状提出時の対応イ対応者」の警部補の名 (33行目) |
(10) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) | 3枚目 |
「5その後における申出人との対応状況(1)告訴状提出時の対応イ対応者」の警部補の年齢 (33行目) |
(11) |
公安委員会あて苦情申出に対する調査結果について(回答) | 5~6枚目 |
「6調査結果(3)『○○を隔離して話し合いをさせようとしないことは、○○警察署そのものが犯罪に等しい』について」の記載内容の全部 (5枚目の34行目~6枚目の3行目) |
答申第168号(平成28年11月11日付け)(PDF:172KB)
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