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更新日:令和5(2023)年4月25日
ページ番号:23645
答申第86号
平成20年3月28日
千葉県知事様
千葉県個人情報保護審議会
会長原田三朗
異議申立てに対する決定について(答申)
平成18年8月11日付け障第466号の2による下記の諮問について、別添のとおり答申します。
記
平成13年6月25日付けで異議申立人から提起された、平成18年5月11日付けで行った自己情報不存在等通知の取消しに伴い、同日付け障第128号で行った自己情報部分開示決定及び同日付け障第129号で行った自己情報開示決定に係る異議申立てに対する決定について
諮問第61号
|審議会の結論|異議申立ての経緯|異議申立人の主張要旨|実施機関の説明要旨|審議会の判断|附言|審議会の処理経過|
千葉県知事(以下「実施機関」という。)が、平成18年5月11日付け障第128号で部分開示決定及び同日付け障第129号で開示決定(以下両決定を併せて「本件決定」という。)した異議申立人の開示請求に係る別表に掲げる文書(以下「本件文書」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
(1)実施機関が本件決定において非開示とした次の部分は開示すべきである。
(2)実施機関が行ったその他の決定については妥当である。
異議申立人は、平成13年6月7日付けで実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例の一部を改正する条例(平成17年千葉県条例第17号)による改正前の千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「私の退院請求に関する調査担当者(2名)としての千葉県精神医療審査会に対する報告書」、「上記審査会としての総まとめの意見書」及び「私の退院請求に関して今日までに私に開示されていないすべての文書」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
本件請求の対象は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「精神保健福祉法」という。)第33条の規定により△△年△月に医療保護入院となった異議申立人が、精神保健福祉法第38条の4の規定により提出した退院請求に基づき、同年●月に千葉県精神医療審査会(以下「医療審査会」という。)が行った当該医療保護入院の要否の審査に関する個人情報である。
実施機関は、上記(2)に関する△△年度の医療審査会関係文書を保存期間(5年)の経過により廃棄していることから、平成13年6月18日付け障第301号で自己情報不存在等通知(以下「当初不存在決定」という。)を行ったため、異議申立人は平成13年6月25日付けで異議申立てを行った。
上記(3)の異議申立てに対し、実施機関において保有文書を再度調査したところ、□□年度の公文書・自己情報開示請求関係の簿冊中に△△年当時の異議申立人の退院請求に係る文書の写しが存在していたため、当初不存在決定を取消し、本件文書を特定したうえで、本件文書の非開示部分は条例第15条第2号又は第4号に該当するとして本件決定を行った。
実施機関は、当初不存在決定は取消したものの、その後に行った本件決定にも当初の異議申立ては及ぶものと判断し、千葉県個人情報保護条例の一部を改正する条例(平成17年千葉県条例第17号)による改正後の千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「現条例」という。)第46条第1項の規定により、平成18年8月11日付け障第466号の2により審議会に諮問(以下「本件諮問」という。)したものである。
本件決定の取消しを求めるものである。
概ね以下のとおりである。
本件文書は、異議申立人から△△年●月●日付けで受理した退院請求に基づき、医療審査会に意見を求め、医療審査会の意見聴取担当委員2名が病院に出向き、意見聴取を行った結果を△△年▲月▲日の第1合議体において報告し、医療保護入院の要否について審査を行い、その結果を医療審査会会長から実施機関に答申し、実施機関から当該退院請求に係る審査結果を異議申立人、保護者、病院管理者あてに通知したこと等に関する一連の文書の写しである。文書名及び決定区分は別表のとおりである。
本号に該当するとして非開示とした項目及び理由は次のとおりである。
ア項目
イ非開示とした理由
上記アの項目は開示請求者以外の個人の個人情報である。
また、条例15条第2号ただし書では、「当該開示請求者以外の個人の権利利益を侵害するおそれがないときを除く。」と規定されているが、医療保護入院は本人の同意を得ることなく入院させるものであり、上記アの項目は、いずれの場合もその氏名が開示されれば審査結果等への不満から開示請求者以外の個人の日常生活に影響を及ぼすような追及等がなされるおそれを否定できないことから、その権利利益を侵害するおそれがあるものとして非開示としたものである。
本号に該当するとして非開示とした項目及び理由は次のとおりである。
ア項目
イ非開示とした理由
上記(1)及び(4)は医学的診断に関する評価・判断、(2)は入院者の日常行動や身体の症状等に関して述べた評価・判断、(3)は入院者等からの意見聴取や入院者を診察した医学的診断に関する評価・判断に関する情報であるが、いずれも開示を前提とせずに記録された評価等に関する情報であり、開示した場合、正確な情報、意見の記録又は適正な診断、審査が行われなくなることも考えられ、医療保護入院及び医療審査会審査事務の適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるため非開示としたものである。
本件請求のうち、「私の退院請求に関して今日までに私に開示されていないすべての文書」とあることから、本件文書の特定の妥当性について検討する。
異議申立人は、退院請求に関する文書について2回にわたり自己情報開示請求を行っている。1回目の開示請求は□□年□月になされ、実施機関は部分開示決定等を行っており、2回目が本件請求である。
審議会が確認したところ、実施機関が現在保有している異議申立人の退院請求に係る一連の文書の写しについては、この2回の開示請求を通じて全て開示若しくは部分開示されており、他に本件請求に該当する文書があるという積極的な根拠も指摘できないところから、本件文書を対象文書として特定した実施機関の判断は妥当と認められる。
本号は、開示することにより、開示請求者以外の第三者の権利利益を損なうことを防止するために定められた非開示情報である。
そして、本号に該当するためには当該情報が開示請求者以外の個人の個人情報であって、かつ、本号ただし書に該当しないことが必要である。
そこで、以下検討する。
ア実施機関は、本件文書のうち次の項目について本号に該当するとして非開示としている。
イ上記アの項目は、いずれも開示請求者以外の個人の個人情報である。
ウしかしながら、実施機関は、異議申立人の提訴による民事訴訟に関する証拠書類として、医療審査会の意見聴取担当委員及び第1合議体委員長の氏名(以下「委員個人情報」という。)が記載された医療審査会第1合議体の議事録(以下「議事録」という。)を裁判所に提出しており、異議申立人は当該議事録を○○年○月に入手している。この客観的事実から、実施機関は異議申立人に委員個人情報が了知されることを勘案したうえで当該委員の権利利益の侵害のおそれがないと判断していたと考えられる。よって、本件において当該委員個人情報を開示することで、日常生活に影響を及ぼすような追及等がなされるおそれがあるという実施機関の主張には合理的根拠が欠けていると言わざるを得ない。
エしたがって、上記アの(1)及び(2)の項目については、意見聴取担当委員の権利利益を侵害するものとまでは言えず、本号ただし書に該当するものとして開示が相当である。
オ上記アの(3)、(4)及び(5)については、本号ただし書に該当する事情は見受けられず、当該情報は非開示が相当である。
本号は、指導、相談、選考、試験、診療その他の評価等の適切な執行を確保するために定められた非開示情報である。
そして、本号に該当するためには、評価又は判断を伴う事務事業に関する情報であり、かつ、当該情報を開示することにより、当該事務事業の適正な執行に著しい支障が生ずるおそれがあることが必要である。
そこで、以下検討する。
ア実施機関は、本件文書のうち次の項目について本号に該当するとして非開示としている。
イ上記(1)及び(4)は医学的診断に関する評価又は判断、(2)は入院者の日常行動等に関して述べた評価又は判断、(3)は入院者等からの意見聴取や入院者を診察した医学的診断に関する評価又は判断に関する情報である。
(4)のうち「生活歴及び現病歴」欄の陳述者氏名及び続柄以外の部分については、客観的な事実を記載したものであって、評価又は判断を伴うものではなく、本号に該当しないため開示することが相当である。
ウ次に、事務事業への支障について検討すると、入院者本人の意思に関係なく、保護義務者の同意と指定医の診断結果によって入院となる医療保護入院の性質上、当該情報を開示した場合、その内容をめぐり種々の軋轢や紛争を生じさせる可能性を否定することはできない。そして、トラブルを未然に避けるために、記載内容が簡略化されるなど形骸化され、ひいては医療保護入院の要否を適正に判断することができなくなり、医療保護入院及び退院請求審査事務の適正な執行に著しい支障が生ずる可能性があることは否定できない。
エ以上のことから、上記アのうち、(4)の「生活歴及び現病歴」欄の陳述者氏名及び続柄以外の部分を除いた項目については非開示とすることが相当である。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
異議申立人及び実施機関双方のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
(1)文書管理上の問題点について
「2異議申立ての経緯」で述べているとおり、△△年当時の異議申立人の退院請求に関する文書の原本は、保存期間(5年)の経過により廃棄されており、平成13年6月の本件請求時にはこれを理由に当初不存在決定がなされていた。
しかしながら、当該文書は、実施機関から医療審査会に審査を求めるという事務の性質から、△△年度当時の文書保存基準である千葉県文書規程(昭和61年千葉県訓令第13号)第43条第1項別表第4の「諮問、答申等に関する文書」に該当するものとして、保存期間を10年として取り扱うべきであったと思われる。事実、実施機関は平成14年度から当該文書の保存期間を10年に変更していることからも、文書管理に適切さを欠いていたと考えざるを得ない。
(2)本件諮問の遅延について
開示決定等に対する不服申立てを受けた実施機関は、速やかに審議会に諮問を行うこととされているが、本件諮問は、平成13年6月25日に異議申立てを受けてから5年余りが経過した平成18年8月11日に行われている。
実施機関の説明によれば、事務引継ぎの不備により当該異議申立ての存在が平成16年度まで失念されており、その後も関係機関との協議等に時間を要したため本件諮問が平成18年度に至ったということである。
(3)現条例は、その目的として「個人の権利利益の保護を図るとともに県政に対する信頼の確保に資すること」(第1条)を掲げている。この「権利利益」には、自己の秘密が公開されない利益等のほかに自己の情報を知る権利利益も含まれ、また、これら権利利益の保護を的確に図ることが「県政に対する信頼の確保」に結びつくものであるとされている。実施機関の一連の対応はこうした個人情報保護制度の目的を損ないかねないものであり、審議会としては大変遺憾である。
実施機関においては上記(1)及び(2)に係る対応を改めて検証し、再発防止に努められたい。
審議会の処理経過は別紙のとおりである。
文書記号 |
文書名 |
本件決定区分 |
---|---|---|
(a) |
意見聴取結果報告書(1) |
部分開示決定 |
(b) |
意見聴取結果報告書(2) |
部分開示決定 |
(c) |
意見書(病院管理者分,(b)の別紙) |
部分開示決定 |
(d) |
意見書(保護義務者分,(b)の別紙) |
部分開示決定 |
(e) |
別紙1退院請求等の受理・審査の概要 |
部分開示決定 |
(f) |
医療保護入院者の入院届 |
部分開示決定 |
(g) |
審査結果通知書 |
開示決定 |
(h) |
「退院等の請求にかかる審査結果について」の起案文書(表・裏) |
開示決定 |
(i) |
「退院等の請求にかかる審査結果について」の案の2(保護義務者あて) |
開示決定 |
(j) |
「退院等の請求にかかる審査結果について」の案の3(病院管理者あて) |
開示決定 |
(k) |
同意書 |
開示決定 |
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成18年8月11日 |
諮問書の受理 |
平成19年2月16日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成19年3月16日 |
異議申立人の意見書受理 |
平成19年10月15日 |
審議(第157回審議会) |
平成19年11月19日 |
審議(第158回審議会) |
平成19年12月17日 |
審議(第159回審議会) |
平成20年1月21日 |
審議(第160回審議会) |
平成20年2月18日 |
審議(第161回審議会) |
平成20年3月24日 |
審議(第162回審議会) |
答申第86号(平成20年3月28日付け)(PDF:147KB)
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