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更新日:令和5(2023)年8月3日

ページ番号:23586

答申第116号

答申第116号
平成24年3月22日

 

千葉県教育委員会委員長様

 

千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊

 

異議申立てに対する決定について(答申)

 

平成22年6月25日付け教職第172号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。

平成22年3月5日付けで異議申立人から提起された、平成22年2月24日付け教職第1441号で行った自己情報不開示決定に係る異議申立てに対する決定について


諮問第96号

答申第116号

1.審議会の結論2.異議申立ての経緯3.異議申立人の主張要旨4.実施機関の説明要旨5.審議会の判断6.審議会の処理経過

1.審議会の結

千葉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が異議申立人の開示請求に係る「平成○○年○月○日及び○月○日に行われた請求人に対する聞き取りの記録並びにその報告等これに関連する行政文書」(以下「本件文書」という。)を保有していないとして、平成22年2月24日付け教職第1441号で行った自己情報不開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。

  • 実施機関の決定は結論において妥当である。

2.異議申立ての経

異議申立人は、平成22年2月15日付けで実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「○○○○年○月○○日及び○月○○日に行われた請求人に対する聞き取りの記録並びにその報告等これに関連する文書」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

本件請求に対して実施機関は、「開示請求に係る行政文書を保有していないため。(当該文書は保存期間を過ぎ廃棄されているため。)」として本件決定を行ったため、異議申立人は、平成22年3月5日付けで実施機関に対し異議申立てを行ったものである。

3.異議申立人の主張要

(1)異議申立ての趣旨

本件決定の取消しを求めるものである。

(2)異議申立ての理由

異議申立人が、異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての理由は、概ね以下のとおりである。

  • ア千葉県教育委員会行政文書管理規則(平成13年千葉県教育委員会規則第14号。以下「文書管理規則」という。)によると、「職員の任免、賞罰及び履歴に関する文書(教育総務課及び教職員課所管のもの)」の保存期間は、「長期」と定められているが、本件文書は職員の懲戒処分に係る文書であるばかりでなく、司法判断を覆す重要な内容が含まれており、これに該当する。保存期間が「長期」であるにもかかわらず、作成から約2年しか経過していない現在、同文書が「保存期間を過ぎ廃棄されている」とはとうてい考えられない。よって、本件処分は条例第17条(個人情報の開示義務)に反する文書秘匿行為であり、違法である。
  • イ本件文書は名誉毀損行為に係る損害賠償事件の判決を受け、異議申立人の訴訟代理人が提出した懲戒処分を求める上申書を契機として委員長が行った調査に係る文書であり、「軽易なもの」ではありえない。
  • ウ公文書等の管理に関する法律第4条では、行政機関の職員は、経緯も含めた意思決定に至る過程等を合理的に跡付け、検証できるよう軽微な事案を除き、文書を作成しなければならないと定めているが、同法成立に当たりなされた参議院の附帯決議では、「軽微性を理由とした文書の不作成が恣意的に行われないようにするとともに、文書の組織共用性の解釈を柔軟なものとし、作成後、時間を経過した文書が不必要に廃棄されないようにすること。」とし、文書の不作成とともに廃棄が恣意的に行われることのないよう求めている。
  • エ本件文書に係る名誉毀損事件は、結果的に嫌疑不十分で不起訴となったが、検察庁では「記録事務規程(法務省訓令)」で、不起訴記録の保存期間を定めており、名誉毀損の不起訴理由が「罪とならず」、「嫌疑なし」又は「嫌疑不十分」である場合、不起訴記録は3年間保存することとなっている。
  • オ本件文書は、「個人に関する情報」を含むものの、聞き取りに係る報告等総体としては「県教委に関する情報」であり、条例第9条第3項に該当しない。
  • カ本件処分は、条例上の問題ではなく、文書管理規則上の問題である。上記ウのとおり、国においては、文書の作成・管理を求めているが、このことは、地方公共団体にも求められ、本件のような懲戒処分を行わなかった場合にも「しない」という「意思決定に至る経過」について当然説明されなければならない。本件に限らず「意思決定に至る経過」を「軽易なもの」として廃棄し、説明責任を果たさない県教委の体質が教員の不祥事を根絶できない要因である。
  • キ本件処分は違法である。
  • ク仮に本件文書が廃棄されていたとすれば、文書管理の適正を欠いたものであり、関係者に何らかの処分を行うとともに、文書管理のあり方を早急に正すべきである。

4実施機関の説明要

本件文書を不開示とした理由は以下のとおりである。

(1)行政文書の保存期間

行政文書の保存期間については、教育庁本庁各課にあっては、文書管理規則別表第一に定める基準に従い、長期、10年、5年、3年、2年及び1年の種別によるものとしており、保存期間の起算日は、当該行政文書による事務の処理が終わった日の翌日としている。結果的に実施機関は、懲戒等の処分を行わなかったことから、本件文書は「職員の任免、賞罰及び履歴に関する文書」とはならずに「人事一般に関する文書で軽易なもの」として、文書管理規則第10条の規定により、保存期間を1年として保存していたものである。

(2)本件文書の廃棄について

文書管理規則第13条第1項の規定により、「保存期間を経過した行政文書であって文書管理責任者が保存しているものは、当該文書管理責任者が廃棄するものとする」とされている。なお、個人情報の廃棄については、条例第9条第3項に「実施機関は、保有する必要のなくなった個人情報を確実に、かつ、速やかに廃棄し、又は消去しなければならない」と規定されている。

上記(1)で説明したとおり、本件文書の保存期間は1年であり、保存期間経過後に廃棄処分を行ったため、異議申立人が自己情報の開示請求を行った平成22年2月15日時点では、本件文書は担当課の書庫に存在していなかったものである。

5.審議会の判

(1)本件文書の不存在について

実施機関は、本件文書は保存期間の経過により廃棄されていたため本件決定を行ったと説明するが、廃棄による不存在の説明の合理性については、保存期間を経過したことだけではなく、本件文書の廃棄に至る状況等も含め判断する必要があるため、以下検討する。

ア廃棄手続について

本件文書に係る廃棄手続については、文書管理規則第13条第1項の規定により「保存期間を経過した行政文書であって文書管理責任者が保存しているものは、当該文書管理責任者が廃棄するものとする。」とされている。また、千葉県教育庁等行政文書規程(昭和61年4月1日教育委員会訓令第2号。以下「行政文書規程」という。)第50条第1項の規定により「文書管理責任者が廃棄した行政文書にあっては文書主任が当該行政文書を廃棄した旨の記録を行うものとする。」とされ、同条第2項で当該記録の保存期間は10年とされている。

イ廃棄状況について

本件文書の廃棄状況について確認したところ、以下のとおりであった。

(ア)当時の関係職員から聞き取り調査をした上での実施機関の説明

  • (1)本件文書は1冊のフラットファイルにまとめられ保存されていた。
  • (2)本件文書の保存期間の起算日である事務の処理が終わった日の翌日は、平成20年3月31日である。
  • (3)廃棄した日は、平成21年4月1日から4月10日までの間で、担当者が所属部署にあるシュレッダーで直接処理し廃棄した。

(イ)審議会事務局職員が平成23年10月28日に行った担当課書庫の調査結果

  • (1)本件文書の綴られたフラットファイルは確認できなかった。
  • (2)処分関係のその他の簿冊の中に、本件文書は確認できなかった。
  • (3)本件文書に係る廃棄の記録は確認できなかった。

ウ本件文書の廃棄による不存在について

上記(1)イ(イ)のとおり、担当課の書庫を調査した結果、本件文書は確認できなかったことから、実施機関の説明にあるように、保存期間が経過しているので、廃棄された可能性は否定できない。また、他に本件文書の存在を窺わせる特段の事情も見当たらない。

(2)文書管理上の問題点について

  • ア行政文書の管理については、文書管理規則第9条第1項の規定により「文書管理責任者は、行政文書を系統的に分類しなければならない。」とされ、同条第3項の規定で、その分類結果を文書主任が総合文書管理システムに登録することとなっている。また、廃棄手続については、上記(1)アのとおりである。しかし、実施機関は、本件文書について行政文書分類をせず、当該システムにも登録しないまま保存し、廃棄した際には廃棄した旨の記録を行っていなかった。さらに、担当課の書庫を調査した際に、保存されていた処分関係の文書の中に行政文書分類をせず、当該システムに登録していないものが現在も存在していることが認められた。このことから、今後実施機関においては、文書管理規則に従い適切な文書管理を行うよう努められたい。
  • イまた、実施機関は、結果的に懲戒等の処分を行わなかったことから、本件文書を文書管理規則別表第一に定める基準の中の「人事一般に関する文書で軽易なもの」に該当するとして保存期間を1年としたとするが、懲戒等の処分を行うか行わないかの判断に関する本件文書を「軽易のもの」として廃棄したことには、疑問を持たざるを得ない。
  • ウ条例では、その目的として「個人の権利利益の保護を図るとともに県政に対する信頼の確保に資すること」(第1条)を掲げている。実施機関の行った上記アの行政文書に係る不適切な取扱いは、こうした個人情報保護制度の目的を損ないかねないものであり、審議会としては大変遺憾である。

(3)結論

以上のことから「1審議会の結論」のとおり判断する。

異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。

6.審議会の処理経

審議会の処理経過は別紙のとおりである。


別紙

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成22年6月25日

諮問書の受理

平成22年8月6日

実施機関の理由説明書受理

平成22年9月24日

異議申立人の意見書の受理

平成23年1月25日

異議申立人の補充意見書の受理

平成23年9月8日

審議(第199回審議会)

平成23年10月13日

審議(第200回審議会)

平成23年11月24日

審議(第201回審議会)実施機関口頭理由説明

平成23年12月22日

審議(第202回審議会)

平成24年1月26日

審議(第203回審議会)


答申第116号(平成24年3月22日付け)(PDF:49KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

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