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更新日:令和5(2023)年9月14日
ページ番号:23679
答申第163号
平成28年7月15日
千葉県公安委員会
委員長岩沼静枝様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
審査請求に対する裁決について(答申)
平成26年4月2日付け公委(○警)発第1号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。
記
平成26年2月27日付けで審査請求人から提起された、千葉県警察本部長が平成26年2月13日付け○警発第37号で行った自己情報部分開示決定に係る審査請求に対する裁決について
諮問第146号
|1.審議会の結論|2.審査請求の経緯|3.審査請求人の主張要旨|4.諮問実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成26年2月13日付け○警発第37号で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の判断は妥当である。
(1)審査請求人は、平成26年2月3日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「私が平成○年○月○日に○○銀行とのトラブルのことを○○警察署の○○△△さんに話した内容が記載された文書」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)本件請求に対し実施機関は、対象文書を「警察相談票平成○年○月○日付け受理番号○○○○」(以下「本件文書」という。)と特定した上で、本件決定を行った。
これに対し、審査請求人は行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会に対し、平成26年2月27日付けで審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。
(3)本件審査請求を受けて、条例第46条第2項に規定する諮問実施機関となる千葉県公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、同条第1項の規定により、平成26年4月2日付け公委(○警)発第1号で審議会に諮問した。
審査請求書及び意見書において、審査請求人は概ね次のとおり主張している。
本件決定の取消しを求める。
審査請求人は、警察職員を告訴するにあたり本件文書の全部開示を求めている。
なお、審査請求人は、次の点についても審査請求書及び意見書で主張している。
ア親族から犯人扱いされた事例を挙げ、当該警察職員の相談対応の悪さを指摘し許すことができないとしている点
イ権利証のやりとりに関して、銀行に嘘をつかれ、届出をした警察署からも不誠実な対応をされ、なにを頼ればよいのかと主張している点
ウ○○とのトラブルについての過去の相談を摘示し、その当時の当該警察職員、その他の警察職員及び保健所職員の対応の悪さを指摘している点
警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務としており、「千葉県警察相談取扱規程」(平成25年本部訓令第3号。以下「訓令」という。)により、警察に対し、指導、助言、相手方への警告、検挙等、何らかの権限行使その他の措置を求めるものを「警察相談」と位置付け、受理した相談に対しては、問題解消のためのアドバイスや関係機関の紹介を行うほか、相談内容によっては事件の立件やパトロールを強化する等の対応を行うものであり、様式については訓令で「警察相談票」を定め、受理した相談の内容や対応結果を明らかにしておくために作成している。
本件文書は、○○警察署の生活安全課の相談係員である警察官が「○○銀行で住宅ローンの借り換え手続をしたが権利証を返してくれない」との相談を審査請求人から受理し、相談受理者が審査請求人から聴取した内容やその対応状況等について記載したものである。
本件文書は、決裁欄、受理所属欄、受理番号欄、受理時対応欄(受理日時欄、受理窓口欄、受理態様欄、取扱者欄)、継続対応欄(措置日時欄、措置窓口欄、措置態様欄、取扱者欄)、件名欄、内容分類欄、内容詳細欄、相談者欄、相手方欄、指揮伺い欄、所属長指揮事項欄、危険性欄、相談の要旨欄及び措置結果欄等から構成されている。
警部補以下の階級にある警察官の氏名であり、条例第17条第2号及び千葉県個人情報保護条例第17条第2号ハの警察職員を定める規則(平成17年千葉県規則第65号。以下「警察職員規則」という。)で定める警察職員の氏名に該当するため不開示とした。
なお、受理時対応欄の取扱者の氏名については、審査請求人が開示請求に際し「私が平成○年○月○日に○○銀行とのトラブルのことを○○警察署の○○△△さんに話した内容が記載された文書」という請求をしており、相談受理者が警察相談を受理する際に自らの姓を名乗ったことから姓である「○○」を知り得たものと思われるが、名については判然としないものの何らかの事情により知り得たものであると思われ、字句については知らない状況にあることから、名についてのみ不開示とした。
職員番号は、警察職員個々に付与された番号であり、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報として、条例第17条第2号に該当するため不開示とした。
開示請求者以外の法人に関する情報並びに危険性及び緊急性の有無等により、区分した以後の取扱方針等が記載されており、当該法人の正当な権利利益を害するおそれのある情報であるとともに、開示することにより関係者に誤解や憶測を招き、警察業務への信頼関係が損なわれるなど、相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報として、条例第17条第3号イ及び第6号ハに該当するため不開示とした。
(ア)受理時対応欄の警電番号
開示することにより、当該内線電話の開設目的とは異なる架電を誘発したり、関係者から抗議を受けるなど、相談業務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報として、条例第17条第6号ハに該当するため不開示とした。
(イ)相談者の参考事項欄
警察官が判断した内容が記載されており、開示することにより、関係者に誤解や憶測を招き、以後の相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報として条例第17条第6号ハに該当するため不開示とした。
ア実施機関は、本件請求に対して上記2(2)のとおり、本件文書を特定して本件決定を行った。
イ審議会で確認したところ、本件文書は、次の(ア)及び(イ)からなる。
(ア)平成○年○月○日に審査請求人が○○警察署に対して行った相談(以下「本件警察相談」という。)の内容及び対応結果を記載した「警察相談票」(その1~その3)(以下「本件相談票」という。)
(イ)本件警察相談の際に審査請求人が持参し提出した文書(37枚)
ウこれにつき審査請求人は、上記3(1)のとおり、本件文書の全部開示を求めており、本件決定においては上記(ア)記載の情報について不開示部分があるので、以下、これについて検討する。
ア審議会で本件文書について見分したところ、本件決定における不開示部分は、下表のとおりである。
No. |
文書名 |
本件決定における不開示部分 |
|
---|---|---|---|
(1) |
本件相談票 |
1枚目 |
決裁欄の係長の印影 |
(2) |
本件相談票 | 1枚目 | 「受理時対応」欄の「取扱者」職員番号 |
(3) |
本件相談票 | 1枚目 | 「受理時対応」欄の警電番号 |
(4) |
本件相談票 | 1枚目 | 「受理時対応」欄の「取扱者」名 |
(5) |
本件相談票 | 1枚目 | 「相談者」欄中「参考事項」欄の記載内容 |
(6) |
本件相談票 | 1枚目 | 「相手方」欄中「参考事項」欄の記載内容 |
(7) |
本件相談票 | 1枚目 | 「所属長指揮事項」欄の右端部分 |
(8) |
本件相談票 | 1枚目 | 「危険性」欄の記載内容 |
イ上記アについては、次のとおり分類することができる。
(ア)本件警察相談における対応者等の名及び決裁欄の係長印影
表中の(1)及び(4)(以下「本件氏名情報」という。)
(イ)本件警察相談における対応者の職員番号
表中の(2)(以下「本件職員番号」という。)
(ウ)本件警察相談における対応者の警電番号
表中の(3)(以下「本件警電番号」という。)
(エ)本件警察相談における警察官の判断に係る情報
表中の(5)から(8)まで(以下「本件警察判断情報」という。)
諮問実施機関は、本件氏名情報について、条例第17条第2号及び警察職員規則に該当すると主張する。
審議会で見分したところ、これらの情報は、警察官の氏名に係る情報であり、審査請求人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものであるから、条例第17条第2号本文前段に該当する。
同号ただし書についてみると、まず、警察職員規則第1号に該当することから、同号ただし書ハには該当しない。また、同号ただし書イ、ロ又はニに該当する事情も認められない。
また、開示請求時においては、相談受理者の名について審査請求人は判然としていなかったと判断した諮問実施機関の説明に特段不合理な点は認められない。
したがって、本件氏名情報は、条例第17条第2号及び警察職員規則第1号に該当し、不開示が相当である。
諮問実施機関は、本件職員番号について、条例第17条第2号に該当すると主張する。審議会で見分したところ、かかる情報は、審査請求人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものであるから、同号本文前段に該当する。また、同号ただし書イ、ロ、ハ又はニに該当する事情は認められない。
したがって、本件職員番号は条例第17条第2号に該当し、不開示が相当である。
諮問実施機関は、本件警電番号について、開示することにより、当該内線電話の開設目的とは異なる架電を誘発したり、関係者から抗議を受けたりするなど、相談業務の公正又は円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第17条第6号ハに該当すると主張する。
本号は、県の機関や他の地方公共団体等の事務又は事業に関する情報であって、開示することにより当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものは不開示とすることを定めたものである。かかる趣旨から、本号ハの「当該事業若しくは将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれ」の有無は、事務又は事業の根拠となる規定・趣旨に照らし、客観的に検討して判断することが必要である。
これについて審議会で見分したところ、本件警電番号は、本件警察相談を担当する警察官に割り当てられた警察電話番号である。
警察電話は、本来的に機密性が要求される警察業務の特殊性から、内部でのみ利用することを目的として設置された警察独自の情報通信網の一つであり、その番号は同通信網構成上の固有情報である。そうすると、これが開示されることにより警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められ、警察相談業務もかかる警察業務の一つであることに変わりはない。
したがって、本件警電番号は、条例第17条第6号ハに該当し、不開示が相当である。
諮問実施機関は、本件警察判断情報について、相談の取扱方針や警察職員の判断結果が記載されており、開示することにより、関係者に誤解や憶測を招き、警察業務への信頼が損なわれるなど、以後の相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第17条第6号ハに該当すると主張する。
これについて審議会で見分したところ、本件警察判断情報は、本件警察相談を担当する警察官による事件の危険性等についての判断に係る情報である。そして、これらの情報を開示すると、相談者から誤解や憶測を招き、警察相談業務への信頼が損なわれ、また、県民が実施機関に対して不信感を抱き、相談をためらうことにつながるといえることから、警察相談の事務の目的が達成できなくなり、又は当該事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
したがって、本件警察判断情報は、条例第17条第6号ハに該当し、不開示が相当である。なお、このほか、諮問実施機関は本件警察判断情報のうち、上記(2)アの表の(6)、(7)及び(8)について、同条第3号イにも該当すると主張するが、第6号ハに該当することから、その該当性について判断するまでもない。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、審査請求人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成26年4月4日 |
諮問書の受理 |
平成26年5月14日 |
諮問実施機関の理由説明書受理 |
平成26年7月30日 |
審査請求人の意見書受理 |
平成28年5月24日 |
審議(第258回審議会) |
平成28年5月31日 |
審査請求人の意見書受理 |
平成28年6月28日 | 審議(第260回審議会) |
答申第163号(平成28年7月15日付け)(PDF:181KB)
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