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更新日:令和6(2024)年10月29日
ページ番号:23666
答申第149号
平成28年1月18日
千葉県病院局長矢島鉄也様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成25年6月3日付け○○第○○号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。
記
平成25年5月20日付けで異議申立人から提起された、平成25年5月14日付け○○第○○号で行った自己情報不開示決定に係る異議申立てに対する決定について
諮問第130号
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県病院局長(以下「実施機関」という。)が平成25年5月14日付け○○第○○号で行った自己情報不開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
(1)実施機関が本件決定において不開示とした症例検証意見(以下「本件文書」という。)のうち次の情報は、開示すべきである。
(2)実施機関が行った本件決定のその他の部分は、妥当である。
(1)異議申立人は、平成25年5月1日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「平成○年○月○日付特定県立病院○○○○院長業務連絡記載の『貴職の3症例に関する外部検証意見』」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)本件請求に対し実施機関は、対象文書を本件文書と特定した上で本件決定を行った。
これに対し異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成25年5月20日付けで本件異議申立てを行った。
(3)本件異議申立てを受けて、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成25年6月3日付け○○第○○号で審議会に諮問した。
「本件決定を取り消す。」との決定を求める。
「開示しない部分及び開示しない理由」は本件に該当しない。仮に該当するとしても、不利益処分の重大性に鑑みて合理性を欠く。
平成25年5月27日付けで異議申立人が実施機関に対し任意に提出した異議申立理由書において、概ね次のとおり主張している。
「異議申立人(開示請求者)以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別でき、第三者の権利権益を侵害するおそれがあるため」は虚偽である。
「異議申立人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる。」は真実である。しかし、「第三者の権利権益を侵害するおそれがあるため」は虚偽である。「第三者の権利権益を侵害するおそれ」はない。
そして、同号ただし書に全て該当する。
「イ慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」(同号ただし書イ)
「ロ人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」(同号ただし書ロ)
「ハ当該個人が地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員・・・である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の当該職務遂行の内容に係る部分」(同号ただし書ハ)
「ニその他開示することにより当該開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがない情報」(同号ただし書ニ)
「県の機関の内部における審議等に関連して作成された情報であって、開示することにより、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」は虚偽である。
「県の機関の内部における審議等に関連して作成された情報である。」は真実である。しかし、「開示することにより、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」は虚偽である。「開示することにより、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」はない。
「評価等に関する情報であって、開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあるため」は虚偽である。
「評価等に関する情報である。」は真実である。しかし、「開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあるため」は虚偽である。「開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれ」はない。
「人事管理に関する情報であって、開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため」は虚偽である。
「人事管理に関する情報である。」は真実である。しかし、「開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため」は虚偽である。「開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」はない。
平成25年6月1日付けで異議申立人が実施機関に対し任意に提出した「異議申立書(修正及び追加)」において、概ね次のとおり主張している。
「外部検証結果報告書」は、特定県立病院(以下「特定病院」という。)○○○○院長(以下「院長」という。)の異議申立人に対する「業務停止命令」に関する「不当性」もしくは「違法性」を明らかにするものである。院長の「非開示決定処分」は、「業務停止命令」に関する「不当性」もしくは「違法性」を、「隠蔽」しようとする院長の意思を明らかにするものである。
そして、「非開示決定処分」は、条例第21条第3項によれば、「実施機関は、開示請求に係る個人情報の全部又は一部を開示しないときは、その理由を前各項に規定する書面に記載しなければならない。」とされており、最高裁判例に鑑みて、「具体的な処分事由の明示」の要件を満たさない本件決定は、取り消されるべきである(警視庁情報非開示決定処分取り消し請求事件、最判H4.12.10)。
a条例第17条第2号に該当しない。
「異議申立人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別でき、第三者の権利利益を害するおそれがあるため」は虚偽である。
「『開示請求者以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる。』は真実である。」との主張(上記(2)イ(ア))を撤回する。
異議申立人の個人に関する情報である。「異議申立人が作成した公文書の内容」及び「その公文書に記載されている内容に基づき判断した異議申立人の行為」に関する「外部機関」である「第三者機関」による「『異議申立人』を評価した公文書」であり、異議申立人の個人に関する情報である。
そして、「異議申立人以外の個人に関する情報」は、「異議申立人が作成した公文書の内容」であり、そもそも異議申立人が作成している。したがって、「異議申立人以外の個人に関する情報」が含まれているであろうことは、推測できる。しかし、「異議申立人以外の個人に関する情報」は、異議申立人が開示を求めている情報では全くない。異議申立人は、すでにその情報を保有しており、開示を必要としないし、そして請求をしない。
「異議申立人が作成した公文書の内容」を明らかにしなければ、特定の個人を識別できない。したがって、「第三者の権利利益を侵害するおそれがあるため」は虚偽である。「第三者の権利利益を侵害するおそれ」はない。
異議申立人は、「異議申立人が作成した『異議申立人以外の個人に関する情報』」そのものの開示を求めているのではない。
「外部検証」本来の趣旨である「異議申立人が作成した公文書の内容」及び「その公文書に記載されている内容に基づき判断した異議申立人の行為」に関する第三者機関が下した「異議申立人の評価」の情報の開示を請求しているのである。
「第三者機関が下した『異議申立人に関する評価』」の情報の開示を求める。
そして、同号ただし書イ~ニに全て該当する。
(a)同号ただし書イ
また、「異議申立人以外の個人に関する情報」は、異議申立人が作成したものであり、当然に、異議申立人はすでにその情報を知っている。異議申立人に関する「不利益処分」の根幹となる理由であり、上記(ア)ですでに主張したように、不利益処分事由は、具体的に明示されなければならない。
(b)同号ただし書ロ
(i)異議申立人の「医師」、「○○医」、「○○医」及び「○○医」としての「職業生命」を守り、(ii)「生活の糧」を得るのみならず、(iii)「○○医」及び「○○医」として厳しい修練を経て獲得された「高度な『技術』及び『資格』という財産」、そして(iv)不当な「不利益処分」による精神的苦痛から免れることによる「健康」保護のため、必要である。
また、異議申立人が「○○医」及び「○○医」として、○○市人口約○○万人のみならず、周辺人口○○~○○万人の○○病にて苦しむ患者さんの「生命」及び「健康」を守る職務を遂行することにより、患者さんの「生活」ひいては「財産」を保護することが可能となる。
「業務停止命令」が不当であることを明らかにして、「業務停止命令」を「取り消す」ためには開示することが必要である。
(c)同号ただし書ハ
異議申立人の「医療行為」遂行という「当該職務遂行」の内容に係る部分にまさしく該当する。
(d)同号ただし書ニ
異議申立人以外の個人は、すでに「医療行為」を必要としていない。したがって、当該異議申立人以外の個人の権利利益を害するおそれは全くない。
b条例第17条第5号に該当しない。
「県の機関の内部における審議等に関連して作成された情報であって、開示することにより、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」は虚偽である。
「県の機関の内部における審議等に関連して作成された情報である。」は真実である。しかし、「開示することにより率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」は虚偽である。「開示する」ことにより、「率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」はない。
「県の機関の内部」という表現は不適切である。「千葉県」の問題ではなく、あくまで「特定病院」の問題である。「特定病院」の観点から、「外部」であるのか「内部」であるのかがキーポイントである。そもそも、「外部検証」の名前が示すように。特定病院の立場からすれば、「外部組織」であり、「第三者機関」である。したがって、「率直な意見交換」や「意思決定の中立性」が可能な「機関」が選択されている。そして、公開されても何ら恥じるところがないよう作成されているはずである。
c条例第17条第6号ハに該当しない。
「評価等に関する情報であって、開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあるため」は虚偽である。
「評価等に関する情報である。」は真実である。しかし、「開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあるため」は意味不明である。
「当該事務の目的」は、院長が異議申立人の「冤罪」をでっち上げることにより、院長がいわゆる「仕事外し」・「飼い殺し」という手段方法によって、遂行しようとしている「退職強要」に対して、「虚偽の正当性」を付与することである。そのような、「当該事務の目的」及び「将来の同種の事務の目的」は、社会的通念上正義を欠いており、達成されるべきではない。当該事務は公正性がなく、不正で不当であり、そのような当該事務が「円滑」に執行されるようなことがあってはならない。
そもそも「外部検証」の名前が示すように、特定病院の立場からすれば、「外部組織」であり、「第三者機関」である。したがって、公正性及び公平性は確保されていると考えられる。そして、公正性及び公平性が確保された外部第三者機関が作成した情報は、公開されても何ら恥じるところがないよう作成されているはずである。社会常識に照らせば、公正性及び公平性が担保された情報により、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれは生じないと考えられる。
したがって、当該事務及び将来の同種の事務の目的がそもそも不当もしくは違法な目的であることを強く推認させる。
d条例第17条第6号ホに該当しない。
「人事管理に関する情報であって、開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため」は虚偽である。
「人事管理に関する情報である。」は真実である。しかし、「開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため」は虚偽である。開示していないために、院長は、不当な人事管理を、異議申立人に対する悪意をもって実施した。開示することにより、はじめて院長の恣意的人事管理を抑制することが可能となり、公正かつ円滑な人事が確保できるのである。
実施機関の理由説明書(下記4)を受けて平成26年1月24日付けで異議申立人が審議会に対し提出した意見書において、概ね次のとおり主張している。
a(a)平成△年△月△日及び▲日付け「院長業務命令」について
平△年△月△日及び▲日付け「院長業務命令」(以下「本件院長業務命令」という。)の内容・趣旨は、単なる異議申立人の「診療業務の一部制限」ではない。
本件院長業務命令は、特定病院に○○医として任用された○○医である異議申立人に対して、その主たる業務である「○○」を「禁止する」という「不利益処分」である。「○○禁止」という「不利益処分」は、異議申立人の○○医の名誉・信用を著しく毀損し続けている。その上に、「○○」ができなくなることによって、厚生労働省が認めている「専門医」「資格」の再取得・更新が不可能となる。そのことは、「専門医」の「資格」喪失を招来し、○○医としての「身分」を失い、○○医生命を絶たれることになる。よって、本件院長業務命令は、重大な「制裁・懲戒処分」である。
そもそも、本件院長業務命令は、「異議申立人を特定病院から排除する。」という不当な動機・目的をもってなされたものである。本件院長業務命令発令の理由・根拠は、○○○○△△△△(以下「△△△△」という。)の「○○願」に記載されていた「異議申立人の医療行為がでたらめであり、医療過誤・医療事故である。」との事実無根の捏造・虚偽にある。本件院長業務命令には、社会通念上の合理性は存在しない。よって、本件院長業務命令は、「合理的処分事由がない重大な制裁・懲戒処分の発令」という、極めて重大な「不法行為」である。
院長の「本件院長業務命令が正当である」との前提事実は虚偽である。したがって、「本件院長業務命令が正当である」との前提事実に基づき展開される院長の論理は、全て誤りであり、全て虚偽である。
(b)「本件文書は、診療業務の制限の継続を検討するにあたり、異議申立人の担当した患者症例について、その氏名及び内容を公表しないことを条件として、病院外の医師に当該症例の評価・意見を依頼して作成されたものである」については虚偽である。
(c)本件文書「作成の目的」について
本件文書作成の目的は、「診療業務の制限の『継続』の検討」ではない。本件文書作成の目的は、「○○禁止懲戒処分の根拠とされた、△△△△による異議申立人の医療行為についての『評価』が虚偽である」ことを、立証することである。
つまり、「異議申立人の医療行為が、医療過誤・医療事故に該当するものではないこと」及び「『○○禁止』処分には、社会通念上の合理性は、存在しないこと」を、異議申立人が立証する目的にて、本件文書作成を院長に要請し、院長がこれを受け入れたのである。
(d)本件文書「作成条件」について
「病院外の医師による当該症例の評価・意見の作成依頼の条件」として、「その『氏名』及び『内容』を『公表』しないこと」は存在しないので、虚偽である。病院外の医師は「○○○○○○」であり、その内容は「異議申立人の医療行為の内容が医療過誤・医療事故に該当するものでない」である。院長は、対象文書が「公表」されると、「異議申立人を特定病院から排除する」という不当な動機・目的の遂行が不可能となるばかりでなく、△△△△の「偽計業務妨害罪」及び「名誉棄損罪」に関する「証拠隠滅罪」の不法行為が暴露される。そこで、公表を阻止するという「隠ぺい工作」をしているに過ぎない。
b院内の医療安全管理委員会について
特定病院内の医療安全管理委員会(以下「委員会」という。)の構成メンバーには、○○医も○○医も入っていない。したがって、○○医である異議申立人の医療行為を正当に評価できる構成メンバーは一人もいない。要するに、委員会は、○○医である異議申立人の医療行為を正当に評価できない。院長は、○○医である異議申立人の医療行為を正当に評価できる能力が存在しない委員会を悪用し、しかも恣意的にコントロールし、院長の「異議申立人を特定病院から排除する」という不当な動機・目的に正当性を付与したうえで、その不当な動機・目的を遂行しようとしたにすぎない。
しかも、平成○年○月○日に開催された委員会(以下「本件委員会」という。)には、委員会委員長は不在であり、医師はほとんど出席していない。そのため、委員会の構成メンバー以外の一般行政事務局の職員を出席させ、あたかも、本件委員会が成立したかのように欺いている。本件委員会が成立していない。しかも、上記偽装工作は不法行為である。「本件委員会からの意見を踏まえた」は虚偽である。全ての本件委員会の意見は、院長一人の恣意的な意見であり、委員会構成メンバーの意見ではない。上述した経緯により、平成□年□月□日付け院長業務命令は、不法に発令され、「○○禁止」処分は、不当に、現在も継続している。
なお、「外部の専門医」の報告結果は、本件委員会の意見と称されるものと正反対である。そして、本件委員会の意見と称されるものは、「外部の専門医」の報告結果を完全に無視して作成されている。「外部の専門医」の見解を、委員会が否定できる権限も能力も存在しない。したがって、平成□年□月□日付け「○○禁止継続」院長業務命令は極めて悪質な不法行為であり、「公務員職権濫用罪」に該当する。
c「当初」の委員会の設置目的と千葉県病院局医療安全管理指針について
「当初」の委員会の設置目的と千葉県病院局医療安全管理指針(以下「指針」という。)については、「現在」の特定病院の実態からかけ離れている。「現在」の委員会の役割は、院長の恣意的かつ不当な特定病院運営方針を遂行するための道具になり下がっている。
d「現在」の委員会の能力について
「現在」の委員会は、各科専門医が構成員になっていない。したがって、各科個別の院内の医療安全における重大な問題への対応や医療事故の分析及び再発防止策の検討や医療事故防止のための啓発、教育は不可能である。
病院長、○○○○長、○○○○長などは、各科個別の院内の医療安全における重大な問題への対応や医療事故の分析及び再発防止策の検討や医療事故防止のための啓発、教育をする能力がない。したがって、啓発、教育は不可能である。
したがって、「外部の専門医」に対して、本件事案において○○科の医療安全における重大な問題の存否及び医療過誤・医療事故の存否の分析、及び、仮に重大な問題及び医療過誤・医療事故が存在すると仮定した場合におけるその対応及び分析を依頼したのである。単に、中立性・公平性・公正性のために依頼したのではない。
a条例第2条について
条例第2条第1号には、「個人情報」について、「『生存』する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」と定められている。したがって、「死人」には条例は適用されない。上記2(1)の『貴職の3症例』は全員「死人」であり、条例は適用されない。
b予備的に以下の反論をする。
(a)条例第17条第2号
「氏名のイニシャル・年齢・受診歴」のみを不開示とすればよい。「病名・治療状況」も場合によれば、不開示としてもよい。異議申立人が「公表」を希望している情報は、「○○科個別の医療安全における重大な問題及び医療過誤・医療事故が存在しなかった。」との評価・意見のみである。
(b)条例第17条第5号
「本件文書は、委員会で、異議申立人である医師の診療状況の検討・評価を行うために作成されたものである」は虚偽である。委員会は、異議申立人である医師の診療状況の検討・評価を行う能力はない。そこで、「外部の専門医」の評価・意見作成を依頼したのである。
「現在も診療制限は継続させている」ことは、院長の行為の正当性の根拠ではなく、院長の「公務員職権濫用罪」及び「証拠隠滅罪」に該当する重大な不法行為そのものである。因みに、「診療制限」ではなく、制裁・懲戒処分である「○○禁止」不利益行政処分である。
「今後も委員会において診療制限の継続等について検討を行うことが想定される」は虚偽である。委員会は、異議申立人である医師の診療状況の検討・評価を行う能力はなく、検討を行うことはあり得ないし、あってはならない。「当該文書を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」は、捻じ曲げた作話ともいえる虚偽である。「率直な意見交換や意思決定の中立性」は、現在、院長により、すでに毀損されており、存在しない。院長の恣意的なコントロールの呪縛から解放して、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な院長の影響を与えるおそれを排除する目的のために、開示すべきである。院長は、刑法上の訴追を受けるおそれがあることから不開示としたのである。
(c)条例第17条第6号ハ
「当該事務」とは、「異議申立人を、合理的理由なく、特定病院から排除する」ことであり、不法行為である。「将来の同種の事務」とは、「院長が排除したいと思う職員を、合理的理由なく、特定病院から排除する」ことであり、不法行為である。不法行為の目的の達成は、社会通念上許されない。現在すでに、特定病院では、事務の「公正」及び「円滑」な執行は支障をきたしている。本件文書を「開示」することのみにより、「公平性」、「公正性」及び「透明性」が確保され、事務の「公正」及び「円滑」な執行は回復される。
(d)条例第17条第6号ホ
「『対象文書』は、異議申立人である医師に対して、業務命令として発した診療制限の『根拠』となる」は捻じ曲げた作話ともいえる虚偽である。「『対象文書』は、異議申立人である医師に対して、院長が業務命令として発した診療制限が「不当」及び「不法」であることを立証するものとなる」が真実である。
当該文書を開示して、初めて、公正かつ円滑な人事の確保ができる。公正かつ円滑な人事の確保に支障をきたさない目的の遂行のために、当該文書を開示すべきである。
a本件決定において、不開示決定理由を「具体的に」示していない。
b上記(イ)aの「条例第2条について」において、「上記『貴職の3症例』は全員「死人」であり、条例は適用されない」と、異議申立人の主張は明らかにされている。
c予備的主張を下記にする。
(a)条例第17条第2号
「氏名のイニシャル・年齢・受診歴」のみを不開示とすればよい。「病名・治療状況」も場合によれば、不開示としてもよい。異議申立人が「公表」を希望している情報は、「○○科個別の医療安全における重大な問題及び医療過誤・医療事故が存在しなかった」との評価・意見のみである。当該文書の上記情報のみ開示した場合、第三者の権利を侵害するおそれはない。
そして、同号ただし書イ~ニに全て該当する。
(1)同号ただし書イ
「異議申立人の○○医としての生命を絶つ」不利益行政処分であり、憲法31条の適正手続の具体的な処分理由を知る権利がある。
(2)同号ただし書ロ
「異議申立人以外の個人に関する情報」は不開示とすればよい。
(3)同号ただし書ハ
「異議申立人以外の個人情報」は、不開示とすればよい。
(4)同号ただし書ニ
「仮に、異議申立人以外の個人が「医療行為」を必要としていないとしても、当該情報を開示することにより権利利益は害されるおそれがあると考える」は、条例の法令解釈に誤りがある。医療行為を必要としない理由は「死亡」である。
(b)条例第17条第5号
「外部」とは何か。「圧力や干渉等の影響」とは何か。明らかにするよう求める。
「率直な意見交換」や「意思決定の中立性」は、現在すでに、不当に損なわれている。「率直な意見交換」や「意思決定の中立性」が不当に損なわれている原因・理由は、院長の地方公務員法第32条に基づく「上司の職務命令」の濫用にある。地方公務法の法制上、特定病院「内部」では、院長の職権濫用を抑制できない。
院長の行為を「外部」に透明に明らかにすることにより、「率直な意見交換」や「意思決定の中立性」が回復される。
(c)条例第17条第6号ハ
「開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがある」は虚偽である。院長の行為を外部に透明に明らかにすることにより、「率直な意見交換」や「意思決定の中立性」が回復されるのである。「外部」の評価・意見である「外部の医師の評価」を開示すべきである。
(d)条例第17条第6号ホ
「本件文書は、異議申立人に対して、業務命令として発した診療制限の根拠となる『人事管理』に関する情報である」は、捻じ曲げた作話である。「本件文書は、異議申立人である医師に対して院長が業務命令として発した診療制限が、「不当」及び「不法」であることを立証するものとなる」が真実である。
法治国家である日本の法令を蔑ろにして、「組織の維持」及び「組織の独自性を確保」する目的遂行のために、異議申立人を、人事管理のもとに、汚名・汚辱のぬれ衣を着せ、でっち上げの冤罪の犯人に仕立て上げ、しかも、そのでっち上げの作話であることの証拠である本件文書を隠ぺいする目的から、院長職権にて本件文書を不開示とすることは、国家に対する重大な不法行為である。
平成25年12月3日付けで実施機関が審議会に対し提出した理由説明書において、概ね次のとおり主張している。
特定病院は、本件請求に係る病院外の医師による症例検証意見についての行政文書(本件文書)を保有している。
ア特定病院では、異議申立人に対し、平成△年△月△日及び▲日付けの院長の業務命令により一部診療業務の制限を行っている。
本件文書は、診療業務の制限の継続を検討するにあたり、異議申立人の担当した患者症例について、その氏名及び内容を公表しないことを条件として、病院外の医師に当該症例の評価・意見を依頼して作成されたものである。
イ異議申立人に対する診療制限については、本件委員会からの意見を踏まえて、平成□年□月□日付けの院長の業務命令により現在も継続している。
ウ委員会とは、県立病院の医療安全管理体制を確立し、快適で良好な医療の提供に資することを目的として、千葉県病院局において制定した指針に基づき、設置されたものである。
エ委員会は、病院長、○○○○長、○○○○長などを構成員とし、院内における医療安全管理の全般を統括するものであるが、特に、院内の医療安全における重大な問題への対応や医療事故の分析及び再発防止策の検討や医療事故防止のための啓発、教育などを取り扱うものである。
本件文書の中には、院内で治療を行った患者に関する情報について、氏名のイニシャル・年齢・受診歴・病名・治療状況など、複数の情報を組み合わせることで、患者個人又は患者家族を特定できる情報が記載されており、当該文書を開示した場合、患者及び患者家族等の第三者の権利を侵害するおそれがあることから不開示とした。
本件文書は、委員会で、異議申立人である医師の診療状況の検討・評価を行うために作成されたものであるが、現在も診療制限は継続しており、今後も委員会において診療制限の継続等について検討を行うことが想定され、当該文書を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあること、また、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあることから不開示とした。
本件文書は、異議申立人が担当した患者症例についての診療行為に係る評価等に関する情報である。当該文書を開示した場合、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示とした。
本件文書は、異議申立人である医師に対して、業務命令として発した診療制限の根拠となる人事管理に係る情報であり、当該文書を開示した場合、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあることから不開示とした。
異議申立人が主張する理由は、以下に要約されると考える。
ア「具体的な処分事由の明示」(上記3(2)ウ(ア))の要件を満たさない本件決定は、取り消されるべきである。
イ(ア)条例第17条第2号に該当しない。
本件文書は、異議申立人個人に関する情報であり、第三者の権利を侵害するおそれはない。「異議申立人が作成した公文書の内容」及び「その公文書に記載されている内容に基づき判断した異議申立人の行為」に関する、第三者機関が下した「異議申立人の評価」の情報の開示を、請求しているのである。
そして、同号ただし書イ~ニに全て該当する。
(1)同号ただし書イ
「異議申立人以外の個人に関する情報」は、異議申立人が作成したものであり、当然に、異議申立人はすでにその情報を知っている。
(2)同号ただし書ロ
異議申立人の「職業生命」を守り、「生活の糧」を得るのみならず、「高度な技術及び資格という財産」、精神的苦痛から免れることによる「健康」保護のため、必要である。また、異議申立人が「○○医」等として職務遂行することで、患者さんの「生活」ひいては「財産」を保護することが可能となる。「業務停止命令」が不当であることを明らかにして、「業務停止命令」を「取り消す」ためには、開示することが必要である。
(3)同号ただし書ハ
異議申立人の「医療行為」遂行という「当該職務遂行」の内容に係る部分にまさしく該当する。
(4)同号ただし書ニ
異議申立人以外の個人は、すでに「医療行為」を必要としていない。したがって、当該異議申立人以外の個人の権利利益を害するおそれは全くない。
(イ)条例第17条第5号に該当しない。
「開示することにより、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」は虚偽である。「外部組織」、「第三者機関」において意見交換等を行っているため、「開示する」ことにより、「率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれる」おそれはない。
(ウ)条例第17条第6号ハに該当しない。
「開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあるため」は意味不明である。当該事務は公正性がなく、不正で不当であり、そのような当該事務が「円滑」に執行されるようなことがあってはならない。
(エ)条例第17条第6号ホに該当しない。
「開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため」は、虚偽である。開示することにより、はじめて院長の恣意的人事管理を抑制することが可能となり、公正かつ円滑な人事が確保できるのである。
ア本件決定においては、不開示決定理由を明示している。
イ(ア)条例第17条第2号
本件文書は、異議申立人個人に関する情報であるとともに、患者個人又は患者家族等を特定できる情報が記載されており、当該文書を開示した場合、第三者の権利を侵害するおそれがあると考える。
そして、同号ただし書イ~ニのいずれにも該当しない。
a同号ただし書イ
「異議申立人以外の個人に関する情報」は、委員会において、異議申立人である医師の診療状況の検討・評価を行うために作成されたものであり、異議申立人が作成した情報そのものではない。
b同号ただし書ロ
「異議申立人以外の個人に関する情報」が記載されており、当該第三者の権利利益を優先して保護する必要があると考える。
c同号ただし書ハ
異議申立人以外の個人情報は、公務員の職務遂行に係る情報ではないため、該当しない。
d同号ただし書ニ
仮に異議申立人以外の個人が「医療行為」を必要としていないとしても、当該情報を開示することにより権利利益は害されるおそれがあると考える。
(イ)条例第17条第5号
「外部組織」や「第三者機関」であっても、開示することにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受ける可能性はある。異議申立書等(上記3(2)イ(イ)、ウ(イ)及びエ(イ)b(b))には「率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれはない」とする具体的な理由が示されていない。
(ウ)条例第17条第6号ハ
本件文書は、異議申立人が担当した患者症例についての診療行為に係る評価等を行うことを目的に作成されたものであり、開示することにより、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示としたものである。
(エ)条例第17条第6号ホ
本件文書は、異議申立人に対して、業務命令として発した診療制限の根拠となる人事管理に関する情報である。人事管理に関する情報は、組織の維持、また組織の独自性を確保する観点から、一定の範囲で不開示にする必要があると考える。
審議会で本件文書を見分したところ、本件決定における不開示部分は、次のとおり分類することができる。
なお、イニシャル等については、意見書によれば、異議申立人は開示することを求めていないものと認められるので、ケース番号、診断内容等及び外部医師意見について検討する。
ア本号は、開示することにより開示請求者以外の第三者の権利利益を損なうことを防止するために定められたものである。そして、同号に該当するためには、当該情報が開示請求者以外の個人に関する情報であって、開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(本文前段)又は開示請求者以外の特定の個人は識別できないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの(本文後段)であり、かつ、同号ただし書に該当しないことが必要である。
イケース番号について
審議会で見分したところ、本号に該当する情報が含まれていないことは明白である。
ウ診断内容等について
審議会で見分したところ、開示請求者たる異議申立人以外の第三者である患者を識別できる情報は含まれていないが、当該患者の権利利益を害するおそれのある情報であると認められる(本号本文後段該当)。
もっとも、審議会が調査したところ、本件院長業務命令について、平成●年●月●日に特定病院が異議申立人に対して意見聴取を実施しており、そのやり取り等から、診断内容等は、本件請求時点において既に異議申立人に知らされていたものと認められる。
よって、同号ただし書イに該当し、結果として、同号には該当しない。
エ外部医師意見について
審議会で見分したところ、異議申立人以外の第三者を識別できる情報や当該第三者の権利利益を害するおそれのある情報が含まれていないことは明らかであるから、本号には該当しない。
オしたがって、ケース番号、診断内容等及び外部医師意見は、本号に該当しない。
ア本号は、県の機関や他の地方公共団体等の事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、評価等に係る当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを不開示とすることを定めたものである。
これについて、実施機関は、本件文書の情報を開示することにより、外部医師が忌憚のない意見を報告しづらくなり、結果として、委員会の事故原因究明等の機能に支障が生じるおそれがあると説明する。
イケース番号、診断内容等及び外部医師意見について審議会で見分したところ、ケース番号は、便宜的に付した番号に過ぎないものと認められる。また、診断内容等は、平成●年●月●日に特定病院が異議申立人に対して実施した意見聴取におけるやり取り等により、本件請求時点において既に異議申立人に知らされていた内容であると認められる。さらに、外部医師意見は、当該外部医師の名前や所属を明らかにすることなく記載されているものであり、また、専門的見地から記載されているものであると認められる。
そうだとすれば、これらの情報について、外部医師による忌憚のない意見の交換が妨げられるという実施機関の説明には、合理性があるものとは認められない。
ウしたがって、ケース番号、診断内容等及び外部医師意見は、本号ハに該当しない。
また、ケース番号、診断内容等及び外部医師意見について、条例第17条第5号又は第6号ホに該当する事情があるとも認められない。
以上のことから、「1.審議会の結論」のとおり判断する。
なお、異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成25年6月3日 |
諮問書の受理 |
平成25年12月4日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成26年1月30日 |
異議申立人の意見書受理 |
平成26年10月3日 |
審議(第237回審議会) |
平成26年11月7日 |
審議(第238回審議会)実施機関口頭理由説明 |
平成27年1月22日 |
審議(第241回審議会) |
平成27年2月26日 |
審議(第243回審議会) |
平成27年5月26日 |
審議(第247回審議会) |
平成27年6月23日 |
審議(第248回審議会) |
平成27年7月21日 |
審議(第249回審議会) |
平成27年9月15日 |
審議(第250回審議会) |
答申第149号(平成28年1月18日)(PDF:234.9KB)
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