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更新日:令和5(2023)年4月25日
ページ番号:23676
答申第159号
平成28年3月30日
千葉県知事鈴木栄治様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成25年11月19日付け市整第454号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。
記
平成25年10月22日付けで異議申立人から提起された、平成25年8月23日付け市整第280号で行った自己情報開示決定に係る異議申立てに対する決定について
諮問第143号
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県知事(以下「実施機関」という。)が平成25年8月23日付け市整第280号で行った開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の判断は、妥当である。
異議申立人は、平成25年8月9日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「○○地区市街地再開発事業における権利変換計画の認可申請の際に添付された○○の同意書(他の共有者の同意書に記載されている私にかかる情報を含む)」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
本件請求に対し実施機関は、「市街地再開発事業の権利変換計画認可(○○)」(○年○月○日付け異議申立人作成名義の同意書)を対象文書として本件決定を行った。
本件決定に対し異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成25年10月22日付けで本件決定の取消しを求め、異議申立てを行った。
これを受けて実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成25年11月19日付け市整第454号で審議会に諮問した。
本件決定を取消し、対象文書の全部を開示するよう求める。
(ア)異議申立人は、平成25年8月9日付けで、条例第16条第1項に基づいて、自己の作成名義の同意書とされる「○○市街地再開発事業における権利変換計画の認可申請の際に添付された○○○○の同意書(他の共有者の同意書に記載されている私に係る情報を含む)」とともに、別紙として、伴わせて「○,△の地権者(○/○)なのに地上「建物移転補償」の欄に/(異議申立人注:斜め線のこと)となっている。一方、○,△の共有者の一人(○○)のところだけに補償が書いてある。代表してまとめて受領していながら、他の共有者に分配していない。分配を求めたが金額が分からないので開示されたい。」との弁護士○○○○名義の注釈書面を添付して、これらを開示請求する自己の個人情報の内容として本件請求をした。
つまり、異議申立人としては、異議申立人作成名義の同意書の他、上記権利変換計画の認可申請における他の共有者の同意書の開示も伴わせて開示を求めるものである。
(イ)また「写し等の交付」を求める開示の方法等としては、千葉県知事鈴木栄治に自己の個人情報の開示を請求した。
(ア)異議申立人の本件請求は、同日付で千葉県に受領され、平成25年8月23日、千葉県知事鈴木栄治より、本件決定を受けた。
その内容は、「市街地再開発事業の権利変換計画認可(○○)」を開示請求に係る個人情報を記録する行政文書の件名として、「写し等の交付」を開示の実施の方法として、開示することを決定したものである。
(イ)なお、この自己情報開示決定通知書に添付されていた異議申立人の開示請求書には、開示請求時に開示請求書に添付されていた上記弁護士○○○○作成名義の別紙は添付されていなかった。
したがって、決定するうえで、上記弁護士○○○○作成名義の別紙が斟酌されていないものと思われる。
(ア)異議申立人は、開示通知の指定日時・場所に基づき、平成25年○月○日△時、千葉県庁中庁舎1階、情報公開・個人情報センターに、開示書面の写し等の交付に訪れた。
(イ)しかしながら、異議申立人に開示された書面は、異議申立人が開示請求時に求めた「○○地区市街地再開発事業における権利変換計画の認可申請の際に添付された○○○○の同意書(他の共有者の同意書に記載されている私に係る情報を含む)」ではあるものの、各同意書の内容は、自己作成名義の同意書の記載や、○○○○など他の共有者の同意書については、書面の内容のみならず署名・押印部分まで多々マスキングがされており、一部非開示の扱いとなっていた。
(ウ)開示を求めた書面は、○年当時、異議申立人が○○地区第一種市街地再開発事業(以下「本件事業」という。)の際に、自己の施行地区に所有する権利として、○市○丁目○番地の○及び同番地の△の持分を変換する権利変換計画に関して同意した書類等である。
異議申立人は、もともと○市○丁目○番地の○及び同番地の△の持分を有していたにもかかわらず、異議申立人や他の共有者の同意書には建物移転補償等の記載がなく、○○○○の同意書のみに建物移転補償等の記載があったのである。つまり、○○地区市街地再開発組合(以下「本件組合」という。)(代表理事○○○○)に、上述の権利変換にかかる自己持分の上記土地についての建物移転補償等を代表して受け取る形となっていた。また、異議申立人は、本件事業についての権利変換にかかる自己持分の上記土地について、権利変換計画に関する同意書面を作成したことはなかったが、同意書があるものとして本件事業は進んでいたのである。
ちなみに、○○○○は、その後、異議申立人に対して、受領した建物移転補償の分配を拒否した。
そこで、異議申立人は、建物移転補償等の分配を適正に受けるために、本件事業における、権利変換計画についての同意書を開示して、その内容を確認するとともに、同じく同意書を作成した他の共有者のうち、誰が、どれだけ建物移転補償等を受領したものかを調査する必要が生じた。
そのため、異議申立人は、自己の作成名義の同意書とされる「○○地区市街地再開発事業における権利変換計画の認可申請の際に添付された○○○○の同意書(他の共有者の同意書に記載されている私に係る情報を含む)」とともに、別紙として、伴わせて「○,△の地権者(○/○)なのに地上「建物移転補償」の欄に/(斜め線)となっている。一方、○,△の共有者の一人(○○)のところだけに補償が書いてある。代表してまとめて受領していながら、他の共有者に分配していない。分配を求めたが金額が分からないので開示されたい。」との弁護士○○○○名義の注釈書面を添付して、これらを開示請求する自己の個人情報の内容として本件請求をしたのである。
(エ)しかしながら、千葉県知事が開示した内容は、いずれも一部分マスキングされており、したがって本件決定は、その内容の一部のみを開示するもので、一部非開示とする処分に他ならない。
千葉県知事が非開示とした本件請求に係る文書の内容は、まさに異議申立人が自己の情報の開示を求めるものにほかならず、一部非開示とする理由はなく、全面的に開示すべきであるから、実施機関は条例の適用を誤っている。
(オ)なお、異議申立人は、本件自己情報開示決定通知書の指示に従い、開示書類の交付の写しを受領する予定であったが、交付を受けた書面は、上述のとおり、マスキングされた一部非開示のものであったため、その受領を拒否している。その際、異議申立人は、受付を担当していた○○氏から、不服がある場合は、異議申立てを行うように助言を受けた。
(カ)さらに、開示された書面は、上述のとおり一部分マスキングされており、一部非開示となっているところ、条例第22条第3項によれば、「開示請求に係る個人情報の全部又は一部を開示しないときは、前各号に規定する書面にその理由を記載しなければならない」と規定されている。
しかしながら、本件自己情報開示決定通知書にはその記載はない。
したがって、本件自己情報開示決定通知書には、非開示にかかる理由その他の記載はない以上、異議申立人が開示を求めた「○○地区市街地再開発事業における権利変換計画の認可申請の際に添付された○○○○の同意書(他の共有者の同意書に記載されている私に係る情報を含む)」に関しては全面的に開示すべきである。
異議申立人は、平成25年8月9日付けの自己情報開示請求書の窓口とのやり取りの中で、
を開示請求しているように思えるが、自己情報として特定することができるのは、(1)のみである。
権利変換とは、市街地再開発事業などにおいて、事業施行前の各権利者の権利を、事業完了後のビル(施設建築物)の床及び敷地に関する権利に変換することをいい、第一種市街地再開発事業の核心となる手法である。○○地区(以下「本件地区」という。)は第一種市街地再開発事業であることから権利変換を行っており、権利変換のタイプとして、全員同意型とも呼ばれる「110条型権利変換」を採用している。この特徴は、関係権利者全員の同意を得た場合は、自由な権利変換ができることである。
権利変換計画とは、市街地再開発事業の施行地区内に従前存在した宅地の所有権等の権利が施設建築物及びその敷地に関する権利へ権利変換期日の前後においてどのように移行するか、あるいはどのように補償を受けて消滅するかを定めたものである。権利変換計画書とは、上記アの権利変換の手続きの中で作成されるもので、その内容は都市再開発法(昭和44年法律第38号。以下「法」という。)第73条及び都市再開発法施行規則(昭和44年建設省令第54号。以下「省令」という。)第28条に、作成する様式は省令別記様式第十一(第28条関係)として定められている。
本件地区で作成されている権利変換計画書は、
であり、異議申立人は(2)の権利者として定められている。
施行者(組合)は、施行地区内の関係権利者のうち、権利変換を受ける者と受けない者とが確定した後、遅滞なく知事の認可を受けて権利変換計画を定めなければならない。
権利変換計画は、添付書類の土地調書・物件調書に基づき、権利者毎に整理されている。
なお、本件地区の権利変換計画認可申請書に必要な書類は、権利変換タイプが「110条型権利変換」であることから、以下のとおりである。
(ア)認可申請書
(イ)添付書類(省令第26条)
上記ウ(イ)(3)のとおり権利変換計画認可申請書を補完する添付書類(権利変換計画書の根拠となる書類)であり、土地・物件調書(法第68条)と共に権利者毎に整理されているものである。
本件地区における同意書の様式は、権利変換計画書に記載されている従前従後の権利等を権利者毎にまとめ、当該権利者(地権者)が自己の権利について記名押印したものとなっている。以下に記載概要を記す。
(1)同意者の「住所」及び「氏名」を記載する箇所
権利変換計画書に記載された権利者のうち同意者の住所及び氏名が記載され、その実印が押印される。
(2)「1.従前権利の状況」の表
権利変換計画書に記載された宅地(所有権)・借地権の地番・面積・価額等が記載される。土地の共有者は、自己の権利(持分割合分)のみが記載される。(なお、「建物に関する権利」は、権利変換基準により、権利変換対象資産が「宅地と借地権」のみであることから、斜線表示となっている。)
(3)「2.従後権利の状況」の表
権利変換計画書に記載された従後権利が記載される。ただし、地区外転出者は法第71条第1項による金銭給付を受けるため、記載はない。
(4)「3.法第71条第1項の申出による金銭給付の額」の表
地区外転出者に支払われる従前権利の金銭補償額が記載される。
(5)「4.法第96条第1項の土地明渡しによる補償費の額」の表
事業執行による土地明渡しに伴う建物や工作物等に係る補償の内容と価額が記載される。事業着手前に施行地区内の土地に物件(添付の物件調書に基づくもの)を有している者のみが対象となり、土地明渡しに伴う補償案件がない者や従前の権利が土地のみの者は、補償費の記載はない(斜線表示となる)。
本件地区の同意書は上記のとおり、権利者毎に整理された権利変換計画について、権利者が自己の権利変換計画について同意し、記名・押印した書類であり、権利者毎に作成するものであることから、他の権利者の情報はそこには存在しない。よって、他の権利者の同意書は、異議申立人の自己情報とはならない。
以上のことから、本件請求の対象文書として特定されるものは、上記4(1)に記載のとおり異議申立人の同意書のみであり、これを全部開示したものである。
ア異議申立人は、上記3(2)イ(イ)で「自己情報開示決定通知書に添付されていた異議申立人の開示請求書」と記載しているが、そもそも異議申立人の自己情報開示請求書は自己情報開示決定通知書に添付する性質のものではなく、本件においても添付していないことから、かかる記載は事実無根である。また、上記3(2)イ(イ)で「決定するうえで、弁護士○○○○作成名義の別紙が斟酌されていないと思われる」と主張するが、当該別紙記載の内容は本件請求とは無関係であり、たとえ斟酌したとしても、同意書の性質上、自己の同意書を除き異議申立人の自己情報とはならない。
イ異議申立人は、上記3(2)ウ(イ)で「異議申立人に開示された書面は、・・・各同意書の内容は、自己作成名義の同意書の記載や、○○○○など他の共有者の同意書については、書面の内容のみならず署名・押印部分まで多々マスキングがされており、一部非開示の扱いとなっていた。」としているが、上記4(1)に記載のとおり対象文書としたのは(1)のみであり、それを全部開示していることから、異議申立人の主張は事実誤認に基づくものである。
ウ異議申立人は、上記3(2)ウ(エ)で「千葉県知事が開示した内容は、いずれも一部分マスキングされており、したがって上記開示決定は、その内容の一部のみを開示するもので、一部非開示とする処分に他ならない。」としているが、上記4(1)のとおり開示書面については事実誤認であり、特定された自己情報は全部開示していることから理由は必要としない。
エ異議申立人は、上記3(2)ウ(オ)で「本件自己情報開示決定通知書の指示に従い、開示書類の交付の写しを受領する予定であったが、交付を受けた書面は、上述のとおり、マスキングされた一部非開示のものであったため、その受領を拒否している。」としている。しかし、上記記載のとおり本件請求に対し全部開示決定をしていることから、一部不開示で受領を拒否したという異議申立人の主張は事実誤認に基づくものである。
オ異議申立人は、上記3(2)ウ(カ)で「本件自己情報開示決定通知書にはその記載はない。」としているが、本件請求については全部開示していることから理由は必要としない。
開示請求書の記載内容から判断すると、本件請求は、本件事業の際に本件組合から実施機関に対して行われた権利変換計画の認可に係る申請(以下「本件認可の申請」という。)の際に提出されたそれぞれの権利者(異議申立人及び異議申立人以外の権利者)が作成した権利変換計画についての同意書に記録された異議申立人の個人情報の開示を求めるものである。
実施機関の説明によれば、本件組合は、本件認可の申請をしようとするときには、土地調書、物件調書、施行地区内の土地及び物件に関し権利を有する者の全ての同意を得たことを証する書類(同意書)を添付して、権利変換計画認可申請書とともに実施機関に提出しなければならない(省令第26条第1項第6号)ところ(上記4(2)ウ(イ)(3))、同意書には、その同意書によって同意する権利者が、自己の従前従後の権利等に係る権利変換計画について同意する旨が記載され、かつ、当該権利者の記名及び押印がされている(上記4(2)エ(イ))とのことである。
審議会が、本件認可の申請の際に実施機関に対して提出された異議申立人及び異議申立人以外の権利者の同意書を見分したところ、当該同意書には、上記4(2)エ(イ)のとおり、本件事業の施行に伴い、本件地区内に権利を所有する者が所有する従前権利の状況、従後権利の状況、法第71条第1項の申出による金銭給付の額及び法第96条第1項の土地明渡しによる補償費の額について、該当する事項が記載されており、この内容のとおり変換する権利変換計画に同意することを証する日付、同意者の住所、氏名の記載及び押印(以下「同意書記載事項」という。)がなされたものが、その同意書によって同意する権利者ごとに作成されていることが認められる。
また、この同意書は、権利者ごとに整理されているため、同意書に記載された内容は当該同意書によって同意した権利者に係る同意書記載事項のみであり、同意書によって同意した権利者以外の者の個人情報の記載は認められない。
したがって、異議申立人以外の権利者が作成した同意書が本件請求の対象文書にならないとする上記4(2)オの実施機関の説明には、不合理な点は認められない。
以上のことから、「1.審議会の結論」のとおり判断する。
異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成25年11月19日 |
諮問書の受理 |
平成26年2月12日 |
実施機関の理由説明書 |
平成28年1月26日 |
審議(第254回審議会) |
平成28年2月23日 |
審議(第255回審議会) |
答申第159号(平成28年3月30日)(PDF:159KB)
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