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更新日:令和5(2023)年9月14日
ページ番号:23683
答申第167号
平成28年10月27日
千葉県公安委員会
委員長岩沼静枝様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
審査請求に対する裁決について(答申)
平成26年12月24日付け公委(○警)発第1号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第151号
平成26年11月13日付けで審査請求人から提起された、千葉県警察本部長が平成26年10月7日付け○警発第167号で行った自己情報不開示決定に係る審査請求に対する裁決について
諮問第151号
|1.審議会の結論|2.審査請求の経緯|3.審査請求人の主張要旨|4.諮問実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が開示請求に係る行政文書を保有していないとして平成26年10月7日付け○警発第167号で行った自己情報不開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の判断は、妥当である。
(1)審査請求人は、平成26年9月15日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「平成10年頃だと思う。私が○○市○○のホテル○○の電話で110番受理処理結果票」(以下「本件請求個人情報1」という。)及び「千葉県○○警察署に冤罪の傷害で逮捕、監禁、拘留、罰金を支払わされた件における、・110番通報内容、・逮捕事実、・拘留請求書、・拘留決定書、・留置前拘留決定書、・加害者の名前(ホテル従業員)、・加害者の被害届、・病院名入り診断書、・○○弁護士が罪を認めた方が刑事に暴行を受けても早く出られると言って制作した示談書、・暴行の報告書、・罰金10万円の命令決定書、・拘留日数、・○○署長名、・○○裁判所長、判事、検事の名前」(以下「本件請求個人情報2」といい、本件請求個人情報1と併せて「本件請求個人情報」という。)の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)実施機関は、本件請求に対し、本件請求個人情報のうち本件請求個人情報1について、条例第21条第2項の規定により、当該行政文書を保有していないことを理由として本件決定を行った。
なお、本件請求個人情報のうち本件請求個人情報2については、実施機関は、条例第52条第2項第1号及び第2号の規定により、自己情報開示請求制度の適用を除外されていることを理由として、平成26年10月7日付け○警発第168号で自己情報開示請求却下通知を行った。
(3)本件決定に対し、審査請求人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会に対し、平成26年11月13日付けで審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。
(4)本件審査請求を受けて、条例第46条第2項に規定する諮問実施機関となる千葉県公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、同条第1項の規定により、平成26年12月24日付け公委(○警)発第1号で審議会に諮問した。
「本件決定を取り消す。」との裁決を求める。
本件の110番通報内容の事実の開示を求める。
なお、審査請求人は、次のア~オについても審査請求書に記載している。
ア冤罪であるとして、傷害前科、20日間勾留及び罰金10万円の取消しを求めること
イ審査請求人が平成12年頃にホテルで従業員と口論となり、110番通報した際に駆け付けた警察官に逮捕され、その後20日間勾留された経緯
ウ審査請求人が加害者や弁護士等に示談金等を支払ったこと
エ審査請求人がホテル従業員を殴ったことの証拠を求めること
オホテルに行っても居留守を使われていること
理由説明書において、諮問実施機関は、概ね次のとおり主張している。
本件請求に対して、実施機関は、千葉県○○警察署(以下「○○警察署」という。)が保有する110番受理処理結果票(以下「処理票」という。)について確認したところ、その保存期間は1年であり、平成9年から平成11年までの処理票は保有していないことが判明した。
警察通報用電話(以下「110番」という。)による事件、事故等の通報は、千葉県警察本部地域部通信指令課通信指令室(以下「通信指令室」という。)において受理している。通信指令室では、110番で受理した事案に対する初動活動の円滑な実施を図るために必要な通信指令業務等を行うことを任務としている。千葉県警察本部では、通報内容や対応の経過及び結果を明らかにしておく必要から、通信指令業務の運営に関する要綱(平成22年千葉県警察本部訓令第9号)第13条第3号の規定により、「110番により重要又は特異な事件若しくは要急事案以外の通報を受理した」場合は、通信指令システムにより、事案の状況を処理票に記録することとしている。
本件請求に係る個人情報を取得したことが確認できず、当該情報を記録する行政文書を保有していないことから、条例第21条第2項の規定により不開示とした。
ア処理票の保存期間及び廃棄
処理票の保存期間は、千葉県警察の文書に関する訓令(平成20年千葉県警察本部訓令第22号。以下「平成20年訓令」という。)第22条の規定に基づき、1年間と定めている。保存期間が満了した処理票は、管理責任者(警察署の場合は、署長)が確認の上、廃棄している。
また、通信指令室が通信指令システムにより作成した電磁的記録の処理票についても、保存期間は1年としている。
イ本件決定
本件請求時において○○警察署で保存していた処理票は、平成25年1月1日以降のものであり、本件請求に係る個人情報を取得したことが確認できず、保有していないため、条例第21条第2項の規定により、不開示(不保有)決定したものである。
諮問実施機関は、上記4(4)イのとおり、本件請求内容に係る行政文書(以下「本件文書」という。)の作成年が平成24年以前であり処理票の保存期間を経過していることから、仮に存在していたとしても廃棄されており、本件請求に係る個人情報を取得したことの確認ができないため、本件決定を行ったと説明する。
もっとも、廃棄による不存在の説明の合理性については、保存期間を経過したことだけではなく、本件文書の廃棄に至る状況等も含め判断する必要があるため、以下検討する。
審査請求人が開示を求めている行政文書の作成年について、審査請求人は、本件請求では、上記2(1)のとおり平成10年頃としていたが、本件審査請求においては、上記3(2)イのとおり平成12年頃としている。
そこで、審査請求人が開示を求める本件文書は、平成10~12年頃に審査請求人がホテル○○の電話から110番通報したときに記録された処理票であると認められる。
(ア)本件文書の廃棄手続について、諮問実施機関は、上記4(4)アのとおり、平成20年訓令第22条の規定に基づき保存期間を1年と定め、保存期間満了後は管理責任者が確認の上廃棄していると説明する。
しかし、平成20年訓令は平成20年に施行されたものであり、本件文書が存在していたとされる平成10~12年頃の行政文書に適用されるものではないことは明らかである。
そのため、諮問実施機関に説明を求めたところ、行政文書の廃棄等のうち、平成10年12月31日までに作成された行政文書については千葉県警察の文書に関する訓令(昭和42年千葉県警察本部訓令第8号。以下「昭和42年訓令」という。)が、平成11年1月1日~平成13年6月30日に作成された行政文書については千葉県警察の文書に関する訓令(平成10年千葉県警察本部訓令第23号。以下「平成10年訓令」という。)が、平成13年7月1日~平成20年10月31日に作成された行政文書については千葉県警察の文書に関する訓令(平成13年千葉県警察本部訓令第16号。以下「平成13年訓令」という。)が、平成20年11月1日以降に作成された行政文書については平成20年訓令が適用されることが判明した。
そこで、本件文書が(1)平成10年12月31日までに作成されていた場合と(2)平成11年1月1日以降平成12年12月31日までに作成されていた場合とで分けて検討する。
(イ)上記(1)の場合について
上記(1)の場合、昭和42年訓令の規定が適用され、行政文書の廃棄については、昭和42年訓令第50条第1項で「保存期間の過ぎた文書は、すみやかに廃棄しなければならない。」と規定され、同条第2項で「廃棄文書のうち重要なもの・・・は、所属で焼却し、または細断しなければならない。」と規定されるのみであり、廃棄時に廃棄した旨の記録を行う等の規定はない。
また、昭和42年訓令別表第5において、110番受理簿の保存期間は1年と規定されている。
(ウ)上記(2)の場合について
上記(2)の場合、平成10年訓令の規定が適用され、行政文書の廃棄については、平成10年訓令第55条第1項で「保存期間の過ぎた文書又は保存の必要がなくなった文書は、速やかに廃棄しなければならない。」と規定され、同条第2項で「文書の廃棄は、焼却、裁断、溶解等文書の内容が完全に判読できなくなる方法により行わなければならない。」と規定されるのみであり、上記(イ)と同様、廃棄時に廃棄した旨の記録を行う等の規定はない。
また、平成10年訓令別表第2において、110番受理処理結果票の保存期間は1年と規定されている。
(エ)そうすると、上記(1)・(2)のいずれの場合においても、本件文書たる処理票の保存期間は1年であり、本件文書を廃棄した場合に廃棄した旨の記録を行う必要はなかったものと認められる。
(ア)本件文書は平成10~12年頃の行政文書であり、その保存期間は上記イ(エ)のとおり1年である。
また、昭和42年訓令第48条及び平成10年訓令第28条の規定によれば、施行又は決裁が終了した日を含む年の翌年の1月1日が、保存期間の起算日とされている。
そうすると、本件文書は、遅くとも平成12年に作成され、その翌年の平成13年の1月1日を起算日として、同年12月31日の経過をもって保存期間を満了し、翌平成14年中に廃棄されていたものと推定することができる。
(イ)実施機関及び諮問実施機関は、本件請求時及び本件審査請求時に本件文書について、次のとおり、探索を行っている。
a本件請求時においては、平成26年10月1日頃、○○警察署の地域課職員1名及び警務課職員1名、計2名により、地域課の書庫を探索したところ、○○警察署における処理票は平成25年1月1日以降のものしか確認できなかった。
b本件審査請求を受け付けた後は、平成26年11月17日頃、○○警察署の地域課職員1名及び警務課職員1名、計2名により、地域課の書庫を探索し、上記aと同様、本件文書を確認することはできなかった。
したがって、平成10~12年頃に作成されたと思われる本件文書を保有していないとする諮問実施機関の説明に、何ら不合理な点は認められない。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、審査請求人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成26年12月24日 |
諮問書の受理 |
平成267年2月25日 |
諮問実施機関の理由説明書受理 |
平成28年9月27日 |
審議(平成28年度第1回第2部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
石井徹哉 |
千葉大学副学長 |
|
中曽根玲子 |
國學院大學専門職大学院法務研究科教授 |
部会長 |
藤岡園子 |
弁護士 |
部会長職務代理者 |
答申第167号(平成28年10月27日付け)(PDF:169KB)
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