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更新日:令和5(2023)年9月14日
ページ番号:23678
答申第162号
平成28年7月15日
千葉県公安委員会
委員長岩沼静枝様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
審査請求に対する裁決について(答申)
平成26年2月5日付け公委(○警)発第1号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。
記
平成26年1月5日付け(同月6日受付)で審査請求人から提起された、千葉県警察本部長が平成25年10月15日付け○警発第260号で行った自己情報部分開示決定に係る審査請求に対する裁決について
諮問第145号
|1.審議会の結論|2.審査請求の経緯|3.審査請求人の主張要旨|4.諮問実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成25年10月15日付け○警発第260号で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の判断は、妥当である。
(1)審査請求人は、平成25年9月27日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「平成○年○月○日、夫死亡後の遺骨等の所在について○○警察署に相談した時に作成された、私が相談者となっている警察安全相談票」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)本件請求に対し実施機関は、対象文書を「警察安全相談票平成○年○月○日付け受理番号○○○○」(以下「本件文書」という。)と特定した上で、本件決定を行った。
これに対し審査請求人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会に対し、平成26年1月5日付けで審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。
(3)本件審査請求を受けて、条例第46条第2項に規定する諮問実施機関となる千葉県公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、同条第1項の規定により、平成26年2月5日付け公委(○警)発第1号で審議会に諮問した。
審査請求書及び意見書において、審査請求人は概ね次のとおり主張している。
本件決定の取り消しを求め、改めてマーキングを外した全部開示を求める。
ア審査請求人は、平成○年以降、千葉県○○警察署生活安全課及び○○派出所を何度も来訪して、警察が(1)夫の連行理由等の捜査・捜索等、(2)夫の遺骨の紛失届の受理、(3)娘の行方等の捜査・捜索をするよう、口頭や文言にて事実と実状の説明を行った。その結果、「次回は警察に届けたという受理番号が出るのでそれが届出書になります。」と説明を受け、平成○年○月○日に行った警察安全相談において、警察安全相談票○○○○という受理番号を受け取った。しかし、本件決定は部分開示決定であり、マーキング部分の内容の把握ができない。これについて、不開示であることの理由説明を受けたが、納得がいかない。
イ本件文書のうち「添付資料の一部」について、諮問実施機関は理由説明書において(下記4(2)ウ)、審査請求人以外の個人に関する情報であって特定の個人を識別できる情報(条例第17条第2号該当)であり、法人等に関する情報であって当該情報の性質等に照らして開示しないとの条件を付すことが合理的であると認められる情報(条例第17条第3号ロ該当)であり、さらに、開示すると関係者に誤解や憶測を招き警察業務への信頼関係が損なわれるなど相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報(条例第17条第6号ハ該当)であると説明する。
しかし、審査請求人以外のどの個人やどの法人のどのような情報を開示することによって、具体的にどのような誤解や憶測が生じ、どの警察と誰との信頼関係が損なわれ、どのような相談業務の遂行に、なぜ支障を及ぼすおそれがあるのか不明である。
また、何事においても真実は一つであるから、生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧、捜査等に当たることを責務とする警察で調査の上、事実の確認がされれば、関係者全ての誤解や憶測も生じず、警察の信用・信頼も得られ、警察業務の支障もなくなる。
なお、審査請求人は、次の点についても審査請求書に記載している。
ア夫の連行理由、夫の遺骨の行方等について、警察で解明するよう依頼している点(審査請求書の別紙1「審査請求書について」の4(2))
イ本件文書3ページ目の「措置結果」欄における取扱警察職員による教示について、事後の補足説明及び主張をしている点(審査請求書の別紙2「警察安全相談票不服申立書」1~2ページ目)
ウ本件文書2ページ目の「相談の要旨」欄における記載について、補足説明を加えている点(審査請求書の別紙2「警察安全相談票不服申立書」3~5ページ目)
エ夫の連行後の経緯について説明し、審査請求人に知らされた夫連行後の事実に不審な点が多いとしている点(審査請求書の別紙2「警察安全相談票不服申立書」6~8ページ目)
理由説明書において、諮問実施機関は概ね次のとおり主張している。
千葉県警察では、「警察安全相談取扱要領の制定について」(平成20年例規第19号)に基づき、平成20年3月から、犯罪による被害の未然防止に関する相談その他県民の安全と平穏に関わる相談を警察安全相談と位置付け、面接、電話等により相談を受け、問題解決のためのアドバイスや関係機関の紹介を行うことのほか、事件の立件やパトロール強化等の対応を行っている。
「警察安全相談受理票」は、相談の内容や対応結果を明らかにしておくために作成するもので、平成24年9月から、「警察安全相談票」に様式を変更している。
本件文書は、審査請求人の夫が病院で亡くなったが、夫の遺骨の行方が分からず、どのように調べたらいいかとの相談を受け、審査請求人から聴取した内容やその対応状況等について記載したものである。
警部補以下の階級にある警察官及び同階級に相当する警察官以外の警察職員の氏名であり、条例第17条第2号及び千葉県個人情報保護条例第17条第2号ハの警察職員を定める規則(平成17年千葉県規則第65号。以下「警察職員規則」という。)で定める警察職員の氏名に該当するため、不開示とした。
取扱者欄の「職員番号」に記載されている番号は、嘱託職員個々に付与されたID番号であり、審査請求人以外の特定の個人を識別することができる情報として、条例第17条第2号に該当するため、不開示とした。
審査請求人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報に該当し、また、審査請求人以外の法人等に関する情報であって、開示することを前提に提供されたものではなく、当該情報の性質、その後の状況等に照らして開示しないとの条件を付すことが合理的であると認められるとともに、開示することにより、関係者に誤解や憶測を招き、警察業務への信頼関係が損なわれるなど相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報として、条例第17条第2号、第3号ロ及び第6号ハに該当するため、不開示とした。
(ア)相談者及び相手方の参考事項欄
警察職員が判断した内容が記載されており、開示することにより、関係者から誤解や憶測を招き、以後の相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報として、条例第17条第6号ハに該当するため、不開示とした。
(イ)所属長指揮事項欄の一部及び危険性欄の項目
危険性及び緊急性の有無等により、区分した以後の取扱方針等が記載されており、開示することにより、関係者に誤解や憶測を招き、警察業務への信頼関係が損なわれるなど、相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報として、条例第17条第6号ハに該当するため、不開示とした。
(ウ)受理時対応欄の警電番号
開示することにより、当該内線電話の開設目的とは異なる架電を誘発したり、関係者から抗議を受けるなど、相談業務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報として、条例第17条第6号ハに該当するため、不開示とした。
本件文書において、条例第17条第2号本文に該当するとして不開示とした情報は、いずれも、ただし書には該当しないと判断している。
本件文書において、条例第17条第3号ロに該当するとして不開示とした情報については、審査請求人からの直接の相談ではなく、関係者への聴取を実施した際にその内容を記載し作成されたものである。
関係者からの聴取内容等については、法人等に関する情報であることから、条例第17条第3号本文に該当する。また、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報に該当しないことから、同号ただし書には該当しない。さらに、当該情報については、開示することを前提に提供されたものではなく、当該情報の性質、その後の状況等に照らして開示しないとの条件を付すことが合理的であると認められる情報である。
したがって、同号ロに該当する。
本件文書において、条例第17条第6号ハに該当するとして不開示とした情報のうち、「相談者及び相手方の参考事項欄」、「所属長指揮事項欄の一部」及び「危険性欄の項目」については、当該相談の取扱方針や警察職員の判断結果が記載されており、開示することにより、関係者に誤解や憶測を招き、警察業務への信頼が損なわれるなど、以後の相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報である。
また、「受理時対応欄の警電番号」は、開示することにより当該内線電話の開設目的とは異なる架電を誘発したり、関係者から抗議を受けるなど相談業務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれのある情報である。
さらに、「添付資料の一部」については、開示することにより関係者に誤解や憶測を招き、関係者と警察の信頼関係が損なわれ、警察の事情聴取に応じなくなるなど、以後の相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある。
したがって、これらの情報は、同号ハに該当する。
ア実施機関は、本件請求に対して上記2(2)のとおり、本件文書を特定して本件決定を行った。
イ審議会で確認したところ、本件文書は、次の(ア)~(ウ)からなる。
(ア)平成○年○月○日に審査請求人が千葉県○○警察署に対して行った相談(以下「本件警察安全相談」という。)の内容及び対応結果を記載した「警察安全相談票」(その1~その3)(以下「本件相談票」という。)
(イ)本件警察安全相談の際に審査請求人が持参し提出した文書(15枚)
(ウ)本件警察安全相談を受けて、後日、警察官が関係者から聴取した内容を記載した文書(1枚)(以下「本件聴取内容」という。)
ウこれにつき審査請求人は、その審査請求書において、不開示とした部分の全てについて開示を求めているので(上記3(1)ア)、本件決定において実施機関が不開示とした情報について、以下、検討する。
ア審議会で本件文書について見分したところ、本件決定における不開示部分は、下表のとおりである。
No. |
文書名 |
本件決定における不開示部分 |
|
---|---|---|---|
(1) |
本件相談票 |
1枚目 |
決裁欄の係長の印影 |
(2) |
本件相談票 | 1枚目 | 「受理時対応」欄の「取扱者」氏名 |
(3) |
本件相談票 | 1枚目 | 「受理時対応」欄の「取扱者」職員番号 |
(4) |
本件相談票 | 1枚目 | 「受理時対応」欄の警電番号 |
(5) |
本件相談票 | 1枚目 | 「相談者」欄中「参考事項」欄の記載内容 |
(6) |
本件相談票 | 1枚目 | 「相手方」欄中「参考事項」欄の記載内容 |
(7) |
本件相談票 | 1枚目 | 「所属長指揮事項」欄の右端部分 |
(8) |
本件相談票 | 1枚目 | 「危険性」欄の記載内容 |
(9) |
本件聴取内容 |
全ての内容 |
イ審議会で本件文書を見分したところ、本件決定における不開示部分は、次のとおり分類することができる。
(ア)本件警察安全相談における対応者等の氏名及び姓に係る情報
上記アの表の(1)及び(2)(以下「本件氏名情報」という。)
(イ)本件警察安全相談における対応者の職員番号
上記アの表の(3)(以下「本件職員番号」という。)
(ウ)本件警察安全相談における対応者の警電番号
上記アの表の(4)(以下「本件警電番号」という。)
(エ)本件警察安全相談における警察官の判断に係る情報
上記アの表の(5)から(8)まで(以下「本件警察判断情報」という。)
(オ)本件警察安全相談において警察官が聴取した情報
上記アの表の(9)(以下「本件警察聴取情報」という。
諮問実施機関は、本件氏名情報について、条例第17条第2号及び警察職員規則に該当すると主張する。
当審議会で見分したところ、これらの情報は、警察官の氏名又は姓に係る情報であり、審査請求人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものであるから、条例第17条第2号本文前段に該当する。
同号ただし書についてみると、まず、警察職員規則第1号に該当することから、同号ただし書ハには該当しない。また、同号ただし書イ、ロ又はニに該当する事情も認められない。
したがって、本件氏名情報は、条例第17条第2号及び警察職員規則第1号に該当し、不開示が相当である。
諮問実施機関は、本件職員番号について、条例第17条第2号に該当すると主張する。
当審議会で見分したところ、かかる情報は、審査請求人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものであるから、同号本文前段に該当する。また、同号ただし書イ、ロ、ハ又はニに該当する事情は認められない。
したがって、本件職員番号は、条例第17条第2号に該当し、不開示が相当である。
諮問実施機関は、本件警電番号について、開示することにより、当該内線電話の開設目的とは異なる架電を誘発したり、関係者から抗議を受けたりするなど、相談業務の公正又は円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第17条第6号ハに該当すると主張する。
本号は、県の機関や他の地方公共団体等の事務又は事業に関する情報であって、開示することにより当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものは不開示とすることを定めたものである。かかる趣旨から、本号ハの「当該事業若しくは将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれ」の有無は、事務又は事業の根拠となる規定・趣旨に照らし、客観的に検討して判断することが必要である。
これについて当審議会で見分したところ、本件警電番号は、本件警察安全相談を担当する警察官に割り当てられた警察電話番号である。
警察電話は、本来的に機密性が要求される警察業務の特殊性から、内部でのみ利用することを目的として設置された警察独自の情報通信網の一つであり、その番号は同通信網構成上の固有情報である。そうすると、これが開示されることにより警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められ、警察安全相談業務もかかる警察業務の一つであることに変わりはない。
したがって、本件警電番号は、条例第17条第6号ハに該当し、不開示が相当である。
諮問実施機関は、本件警察判断情報について、相談の取扱方針や警察職員の判断結果が記載されており、開示することにより、関係者に誤解や憶測を招き、警察業務への信頼が損なわれるなど、以後の相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第17条第6号ハに該当すると主張する。
これについて当審議会で見分したところ、本件警察判断情報は、本件警察安全相談を担当する警察官による事件の危険性等に係る判断に係る情報である。そして、これらの情報を開示すると、相談者から誤解や憶測を招き、警察安全相談業務への信頼が損なわれ、また、県民が実施機関に対して不信感を抱き、相談をためらうことにつながるといえることから、警察安全相談の事務の目的が達成できなくなり、又は当該事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
したがって、本件警察判断情報は、条例第17条第6号ハに該当し、不開示が相当である。
諮問実施機関は、本件警察聴取情報について、審査請求人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報に該当し、また、法人等に関する情報であって、開示することを前提に提供されたものではなく、当該情報の性質、その後の状況等に照らして開示しないとの条件を付すことが合理的であると認められるとともに、開示することにより、関係者に誤解や憶測を招き、警察業務への信頼が損なわれ警察の事情聴取に応じなくなるなど、以後の相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第17条第2号、第3号ロ及び第6号ハに該当すると主張する。
これについて当審議会で見分したところ、本件警察聴取情報は、本件警察安全相談を担当する警察官が関係者から聴取した情報であり、かかる情報の中には、法人その他の団体に関する情報のほか、審査請求人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものが含まれている。よって、かかる情報は、同条第2号本文前段に該当する。また、同号ただし書イ、ロ、ハ又はニに該当する事情は認められない。
したがって、本件警察聴取情報は、条例第17条第2号に該当し、不開示が相当である。なお、同号に該当することから、同条第3号ロ又は第6号ハに該当するか否かについて判断するまでもない。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、審査請求人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成26年2月10日 |
諮問書の受理 |
平成26年4月10日 |
諮問実施機関の理由説明書受理 |
平成26年5月21日 |
審査請求人の意見書受理 |
平成28年3月22日 |
審議(第256回審議会) |
平成28年4月26日 |
審議(第257回審議会) |
平成28年5月24日 | 審議(第258回審議会) |
平成28年6月28日 | 審議(第260回審議会) |
答申第162号(平成28年7月15日付け)(PDF:184KB)
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