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更新日:令和5(2023)年4月21日
ページ番号:23627
答申第68号
平成18年12月26日
千葉県知事堂本暁子様
千葉県個人情報保護審議会
会長原田三朗
異議申立ての決定について(答申)
平成17年6月30日付け総第192号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。
記
平成17年5月31日付けで異議申立人○○○○から提起された、平成17年4月6日付け総第12号で行った自己情報非開示決定に係る異議申立てに対する決定について
諮問第55号
|審議会の結論|異議申立ての経緯|異議申立人の主張要旨|実施機関の説明要旨|対象文書の特定|審議会の判断|審議会の処理経過|
千葉県知事(以下「実施機関」という。)が、平成17年4月6日付け総第12号で非開示決定(以下「本件決定」という。)した異議申立人の請求に係る「平成10年度から平成13年度までの人事異動要望調」(以下「本件文書」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関が、本件決定において非開示とした本件文書のうち、次の部分以外は開示すべきである。
(1)「平成10年度人事異動要望調」のうち、欄外表題部の異動を求める職に係る記載並びに「転出(昇任・転入)等要望理由」欄、「昇格要望」欄及び「適任と認められる職又は機関」欄
(2)「平成11年度、12年度及び13年度人事異動要望調」のうち、欄外表題部の異動を求める職に係る記載及び「(転出・残留・転入)」を選択する部分並びに「要望内容」欄及び「要望理由」欄
異議申立人は、平成17年3月23日付けで実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例の一部を改正する条例(平成17年千葉県条例第17号)による改正前の千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「平成10年度から平成13年度迄の私に関する人事異動の文書等について。(詳細は別添のとおり)。」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
対象文書について異議申立人は自己情報開示請求書の別紙の中で、「起案の伺い」、「通知の案」、「「希望勤務機関等調査書」・「人事異動要望調」・「作成要領」」、「希望勤務機関等調査票」、「希望勤務機関等調査票記入上の注意事項」及び「人事異動要望調」の6文書を挙げている。
本件請求に対し実施機関は、条例第15条第4号に該当するとして本件決定を行ったため、異議申立人は、平成17年5月31日付けで実施機関に対し異議申立てを行ったものである。
異議申立ての趣旨は、本件決定の取消しを求めるものである。
異議申立人が主張する異議申立ての理由は、概ね以下のとおりである。
ア実施機関は異なり様式も異なるが、人事異動要望調の様式及び作成要領や記入上の注意事項等が情報公開制度により開示された例がある。
イ人事異動要望調を開示すると「事務事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障が生ずる」と主張するのであれば、具体的な支障を例示すべきである。ウ退職後の請求であり、所属長との間に混乱等は起こり得ず、事務事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障は生じ得ない。
本件文書は所属長が所属職員全員について作成するものではなく、職員の意欲・態度、能力、性格、実績等について所属長が判断した結果、異動要望をしようとする職員についてのみ作成するものであり、異動要望の有無自体が、所属長の職員に対する評価であり、本件文書全体が個人に対する評価又は判断を伴う事務事業に関する個人情報(以下「評価等情報」という。)に該当する。
本件文書を開示すると、作成者が何らかの心理的圧迫を受け、ありのままの評価を記載できなくなるおそれ並びに所属長の要望内容と本人の希望は必ずしも一致するものではなく、本件文書を開示した場合に、両者の対立が生じ、信頼関係が損なわれるおそれ及び異動要望に当たり所属長が適正な判断を行うことができなくなるおそれから、人事管理事務の適正な執行に著しい支障を生ずると認められる。
退職している者に対してであっても、本件文書を開示すると、今後退職予定者を評価する者が何らかの心理的圧迫を受けることに変わりはなく、人事管理事務の適正な執行に著しい支障を生ずると認められる。
異議申立人が対象文書として挙げた6文書について、実施機関は対象文書を人事異動要望調のみに特定したことから、審議会から説明を求めたところ、実施機関から上申書の提出があった。
その内容は、6文書の内容を検討したところ、これらの文書の中には異議申立人の個人情報が含まれていないもの及び異議申立人本人が作成するものが含まれていることから、異議申立人に請求の趣旨を確認したところ、「人事異動の要望が出ているかどうかがわかれば良い」との回答があったため、「人事異動要望調」のみを対象文書として特定したとのことであった。
これに対し異議申立人は、人事異動要望調の他に、異議申立人の個人情報を含まないことを理由に対象文書に含めない旨を実施機関から通知されている「総務部総務課の起案の伺い」、「総務部総務課の通知の案」並びに「「希望勤務機関等調査票」及び「人事異動要望調」の作成要領」」についても自己情報開示請求の対象文書として開示を求めるとの意見書の提出があった。
ア対象文書の特定について
異議申立人は、本件請求において人事異動要望調以外に5文書、また、上申書に対する意見書において人事異動要望調以外に3文書の開示を求めているものであるが、異議申立人の個人情報が含まれている文書は「人事異動要望調」のみであるということに関する実施機関の説明には合理性があり、「人事異動要望調」のみを本件請求の対象文書として特定した実施機関の判断は適当である。
イ本件文書について
本件文書は、人事異動の資料とするため、所属職員の配置換え、昇任、昇格についての要望を調査するものであり、総務部長が定めた様式により、異議申立人の所属長であった○○支庁長により、平成10年度から平成13年度までの間作成されたものである。
本件文書は、平成10年度と平成11年度以降では異なった様式に基づき作成されているが、いずれの様式においても、異議申立人に対する○○支庁長の評価に関する個人情報が記録された部分(双方の様式における欄外表題部の異動を求める職に係る記載並びに平成10年度の様式における「転出(昇任・転入)等要望理由」、「昇格要望」及び「適任と認められる職又は機関」並びに平成11年度以降の様式における欄外表題部の「(転出・残留・転入)」を選択する部分並びに「要望内容」及び「要望理由」)(以下「要望内容等」という。)と、「氏名」、「現所属」及び「主な職務歴」等異議申立人に関する事実が記録された部分から構成されている。
条例は、第1条で県が保有する個人情報の開示等を請求する権利を明らかにし、第14条では何人に対しても実施機関が管理している自己の個人情報の開示を請求できる権利を認め、実施機関が開示請求者に開示することを原則とし、当該個人情報が第15条第1号から第8号までに該当しない限り開示しなければならないこととしている。
実施機関は、開示請求された本件文書が条例第15条第4号(評価等情報)に該当するものとして非開示とした。
そこで、審議会は本件文書に記録された個人情報が同号に該当するかどうか判断する。
ア本号は、「指導、相談、選考、試験、診療その他の個人に対する評価又は判断を伴う事務事業に関する個人情報であり、開示することにより、当該事務事業又は将来の同種の事務事業の適正な執行に著しい支障が生ずると認められるとき。」と規定している。これは、指導、相談、選考、試験、診療その他の評価等の適切な執行を確保するための規定であり、これらの事務事業の性格に着目し、これらの事務事業に関する情報で、請求者に開示することにより、当該事務事業の適切な執行に著しい支障を生ずるおそれのあるものは、開示しないことができると定めたものである。
イ本件文書は所属長が所属職員全員について作成するものではなく、職員の意欲・態度、能力、性格、実績等による所属長の職員に対する評価及び当該所属における次年度の業務執行体制等を所属長が総合的に判断した結果、異動要望をしようとする職員についてのみ作成するものであり、異動要望の有無それ自体が所属長の職員に対する評価であるという性質を持つことは否定できず、本件文書全体が本号前段に該当すると解さざるを得ないものである。
そこで、以下本号後段該当性について検討する。
ウ実施機関は、異動要望の有無それ自体が所属長の職員に対する評価であり、本件文書全体が評価等情報であること及び退職している者に対してであっても、本件文書を開示すると、評価者が何らかの心理的圧迫を受けることに変わりはないことから、文書全体を非開示としなければ人事管理事務の適正な執行に著しい支障を生ずると主張する。
しかし、本件決定及び理由説明書において、実施機関は自ら本件文書の存在を事実上認めており、また、退職者に本件文書の有無を明らかにした場合に評価者が何らかの心理的圧迫を受けるとしても在職者と同列に解することはできないことから、本件については、異動要望の有無自体を秘匿する必要性は認められない。
エ次に、本件文書は、前述のとおり、要望内容等異議申立人に対する○○支庁長の評価に関する個人情報が記録された部分と、異議申立人に関する事実が記録された部分から構成されており、それぞれの部分について開示した場合における著しい支障の有無について検討する。
オ要望内容等が記録された部分については、退職者であってもこれを開示すると、評価者が何らかの心理的圧迫を受け、在職者についてありのままの評価を記載できなくなるおそれが生じ、異動要望に当たり所属長が適正な判断を行うことができなくなり、人事管理事務の適正な執行に著しい支障を生ずるとの実施機関の主張を否定する根拠はない。
したがって、本件文書のうち要望内容等の部分について、非開示とすることについてはやむを得ない。
一方、事実が記録された部分については、異議申立人の氏名等、開示しても何ら人事管理事務の適正な執行に著しい支障を生ずるものではない。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
異議申立人及び実施機関双方のその他の主張は、原処分の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は別紙のとおりである。
別紙
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成17年6月30日 |
諮問書の受理 |
平成17年8月5日 |
実施機関の理由説明書受付 |
平成17年9月14日 |
異議申立人の意見書受付 |
平成17年10月24日 |
審議(第134回審議会) |
平成17年11月21日 |
審議(第135回審議会)実施機関口頭理由説明 |
平成17年12月19日 |
審議(第136回審議会)異議申立人口頭意見陳述 |
平成18年3月27日 |
審議(第139回審議会) |
平成18年4月17日 |
審議(第140回審議会) |
平成18年5月22日 |
審議(第141回審議会) |
平成18年6月19日 |
審議(第142回審議会) |
平成18年7月24日 |
審議(第143回審議会) |
平成18年9月11日 |
審議(第144回審議会) |
平成18年10月16日 |
審議(第145回審議会) |
平成18年11月20日 |
審議(第146回審議会) |
平成18年12月18日 |
審議(第147回審議会) |
答申第68号(平成18年12月26日付け)(PDF:24KB)
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