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更新日:令和4(2022)年10月13日
ページ番号:23608
答申第48号
平成16年6月7日
千葉県教育委員会委員長伊藤潔様
千葉県個人情報保護審議会
会長原田三朗
異議申立ての決定について(答申)
平成11年4月12日付け教義第47号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。
記
平成10年6月8日付けで異議申立人から提起された平成10年3月31日付け教義第12号の8で行った「請願書の採択について(報告)」の自己情報部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について
諮問第37号
|審議会の結論|異議申立ての経緯|申立人の主張要旨|実施機関の説明要旨|審議会の判断|審議会の処理経過|
千葉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成10年3月31日付け教義第12号の8で部分開示決定した、異議申立人(以下「申立人」という。)の請求に係る「請願書の採択について(報告)」(以下「本件報告書」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
(1)実施機関が、本件報告書に記録された情報のうち、部分開示決定において非開示とした次の部分は開示すべきである。
本件報告書の一部を構成する請願書(以下「本件請願書」という。)の写しの本文中「校長」、「教頭」、「養護教諭」及び「事務職員」との役職等の記載部分
(2)実施機関が行ったその他の部分を非開示とした決定は妥当である。
申立人は、平成10年3月20日付けで実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、本件報告書の開示請求を行った。
本件報告書は、○○市立○○中学校職員一同名で○○市教育委員会あてに提出された△△年△月△日付けの本件請願書が○○市教育委員会会議において採択されたことを、○○市教育委員会教育委員長が本件請願書の写しを添付して△△年△月□日付けで実施機関あてに報告した文書である。
本件請願書は、申立人の人事異動について配慮を求める内容のものであり、申立人からの本件報告書の開示請求に対して、実施機関は、本件報告書は条例第15条第2号に該当し、開示請求者以外の個人(以下「第三者」という。)の個人情報が含まれているとして、部分開示の決定(以下「本件部分開示決定」という。)をしたため、申立人は、平成10年6月8日付けで実施機関に対して異議申立てを行った。
実施機関は、本件異議申立てに対する決定について、条例第25条第1項の規定により平成11年4月12日付けで審議会に諮問した。
異議申立ての趣旨は、実施機関が平成10年3月31日付け教義第12号の8で行った、本件報告書の本件部分開示決定の取消しを求めるものである。
申立人が主張する異議申立ての理由は、概ね以下のとおりである。
本件報告書は、報告文及び請願書の写しから構成されており、本件請願書の内容は、本件請願書に署名した者(以下「請願署名者」という。)が、○○市立○○中学校職員一同名をもって、申立人を○○市立○○中学校(以下「○○中学校」という。)から異動させることを求めているものであり、申立人の行動等が記載されたものである。
個人情報の開示請求に対して、当該個人情報を開示することが適当でないときに、例外的に開示しないことができる場合として、条例第15条各号が規定され、同条第2号では、「当該個人情報に開示請求者以外の個人の個人情報が含まれるとき。ただし、当該開示請求者以外の個人の権利利益を侵害するおそれがないときを除く。」と規定されている。
実施機関は、本件報告書のうち、次に掲げる部分を同号に該当すると判断して当該部分を非開示とする決定を行ったものである。
ア特定生徒に関する記載
非開示とした特定生徒に関する記載については、生徒の氏名はないものの、申立人には条例第2条第1号で規定する「特定個人が識別され、又は識別され得る」第三者の個人情報であると言える。
記載されている内容は、当該生徒の内心の秘密に関わるものであり、極めてプライバシー性が高く、通常生徒本人にとっては最も他人に知られたくない情報の一つと言える。また、思春期にある当該生徒の感情を考慮し、開示することにより当該生徒の権利利益が侵害されるおそれがあり、本号ただし書には該当しない。
イ役職等
非開示とした役職等については、特定個人が識別され得る個人情報であり、第三者の個人情報と認められる。
非開示とした部分は、一つには申立人自身の言動に関する記載であるとはいえ、当該非開示とした役職等を開示することにより、結果として情報を提供した特定の生徒が識別されかねず、当該生徒の権利利益が侵害されるおそれがあると認められる。
また、他の情報と容易に照合することができ、それにより当該個人が識別できる特定の役職等についても、権利利益が侵害されるおそれがあると認められるところから非開示としたものであり、ともに本号本文に該当し、ただし書には該当しないと判断した。
ウ署名等
本件請願書には、請願署名者の署名及び請願署名者の押印した情報が記録されており、当該署名及び押印が記録された欄(以下「署名等欄」という。)について非開示とした。
署名等欄に記録された情報は、第三者の個人情報そのものの情報であり、本件請願書の内容が申立人の問題行動を示したうえで申立人を他校へ異動させることを求めているものであり、申立人の意に反する内容であるところから、開示することによって、申立人と請願署名者の間で本件請願書の記載内容を巡るトラブルなどにより請願署名者の権利利益が侵害されるおそれがあり、本号ただし書に該当せず非開示としたものである。
本件報告書は、○○中学校職員一同名で○○市教育委員会あてに提出された△△年△月△日付けの請願書が、○○市教育委員会会議において採択されたことを、○○市教育委員会教育委員長が△△年△月□日付けで実施機関あてに報告した文書である。
本件報告書は、実施機関が収受した公文書であり、本件報告書の一部である本件請願書の写しの内容は、請願署名者が申立人の人事異動を求めており、本件請願書を作成した者が記載した申立人に関する個人情報が記録されている。
条例第1条で規定するこの条例の制定目的である「個人の権利利益の保護」には、自己の秘密が公開されない利益や誤った情報、不完全な情報等によって自己に関して誤った判断がなされない利益、さらに自己の情報を知る利益等の広範な権利利益が含まれており、条例第14条の規定により開示請求された個人情報は、すべて請求者に開示するのが原則である。
ただし、開示請求された個人情報が、第三者の利益あるいは行政の公正又は円滑な執行の確保等の公共の利益との調整等の観点から、本人であっても開示することが適当でないものであるときは、例外的に開示しないことができる場合として条例第15条各号が規定されている。
審議会はこの原則に基づき、本件報告書について実施機関が本件部分開示決定において非開示とした部分について、以下判断する。
実施機関は、本件部分開示決定において非開示とした部分はすべて本号に該当するとしているが、本号は、開示することにより、第三者の権利利益が損なわれることを防止するために定められたものであり、開示請求の対象となった公文書等に第三者の個人情報が記録されている場合、第三者の権利利益を侵害するおそれのないときを除き、当該第三者の個人情報を非開示とできることを定めたものである。
ア特定生徒に関する記載
実施機関が非開示とした当該部分は、特定の生徒が申立人の言動に起因して、どのような行動をしたかあるいは外部からは窺い知れない生徒の内面の気持ちや訴え等を事実かどうかは別として請願者が断定した形で記載した複数の情報が記載されている。
これらの記載には当該生徒らの氏名は含まれていないものの、申立人にとってはこれらの情報が事実であった場合に容易に当該生徒を識別できる可能性を否定できない。したがってこれらの情報は、第三者の個人情報と認められる。
通常、こうした情報は他人に知られることを望まないものと認められ、開示した場合、記載された事実の如何にかかわらず生徒の内心や事情が実際に起きたものとして当事者である相手方の申立人に知られることとなるため、当該生徒個人の権利利益が侵害されるおそれは否定できず、本号に該当し非開示が相当である。
イ役職等
実施機関が非開示とした本件請願書の写し本文中の役職等の記載は、本件請願書が作成された当時、○○中学校に在籍していた教職員のものであり、一つの職名に複数名在籍した事実も確認されたが、開示されている前後の記載から、申立人にとっては容易に特定の個人を識別することも可能であり、したがって第三者の個人情報と認められる。
しかし、これらの役職等の記載の一部は、当該役職者である個人の内心や役職者自らが主体となった情報ではなく、申立人の言動に関連してその当事者である相手方としての記載であり、そのため外形上は第三者の個人情報ではあるが、内実は申立人自身に関わる情報である。そのため、開示されている前後の記載から、申立人には容易に特定の職にある個人の特定が可能であるとみられるが、実施機関が主張しているように、開示することにより情報を提供したとされる生徒が特定され、当該生徒の権利利益が侵害されるおそれがあるとはにわかに認め難い。また、これらの役職等の記載の一部は、それぞれの職務に基づく行為を客観的に記載したものであり、開示することにより新たに当該役職者の権利利益を侵害するおそれは認められない。
また、これらの役職等の記載のうち、その余の記載については、その記載されている職務を遂行するのは、およそ広く学校経営に責任を負っている管理職員の他には、当該役職等の教職員以外には認め難く、開示されている前後の記載から、当該業務を担当する等の教職員が当該非開示部分に記載されているものと容易に推測される。したがって、役職等が記載された部分を開示することにより、新たに当該役職等の教職員の権利利益を侵害するおそれは認められない。
以上のことから、実施機関が非開示とした本件請願書の写し本文中の役職等は、本号ただし書に該当する。
ウ署名等
(ア)署名等欄は、本件請願署名者の署名及び請願署名者の押印した情報が記録されており、また、署名等欄の欄外には、請願署名者の一部を推認させる事項が記録されており、いずれも第三者の個人情報である。
(イ)本件請願書は、その内容を要約すれば、同僚である申立人に対してその意に反する人事異動につながる措置を行なうよう○○市教育委員会に求めるものである。
そして、本件請願書は請願書として受理され、その写しが実施機関が収受した公文書として処理された。したがって、第三者の個人情報である請願署名者の署名と押印は、条例第15条第2号ただし書に該当しない限り、非開示とせざるを得ない。そこでこの点について検討すると、本件請願書の内容等から、申立人と請願署名者は、日頃から緊張、対立していたことが推測され、当該署名を開示することによって申立人と署名者との間に新たに個人的な種々の軋轢や紛争を生じさせる可能性を否定できない。本件請願書の性格及び内容から申立人への開示を行うべきとの意見はあり得るが、条例上は、条例第15条第2号ただし書に該当せず、非開示が相当である。
(ウ)同様の理由から、請願署名者の押印及び署名等欄の欄外に記録された請願署名者の一部を推認させる事項についても、条例第15条第2号ただし書に該当せず、非開示が相当である。
申立人は、「部分開示では訂正要求ができない。」と主張するので、部分開示決定について以下検討する。
部分開示決定をする場合は、条例第20条は「・・・個人情報を容易に、かつ、開示請求の趣旨を損なわない程度に分離できるときは、・・・開示しないことができる個人情報を除いて開示しなければならない。」と規定している。
これは、個人情報の開示請求に対しては、原則開示の精神に照らし、開示請求に係る個人情報に開示しないことができる個人情報がある場合、開示請求に係る個人情報の全部の開示を拒むのではなく、当該開示しないことができる個人情報である部分を除いて、残りの部分を開示しなければならないこととしたものである。
したがって、対象文書中に非開示部分とそうでない部分がある場合、非開示部分を容易に分離できる場合には、部分開示決定を行うことが条例の求めるところであり、違法性はない。また、部分開示決定は、開示された部分に対して訂正請求を行なうことを妨げるものではなく、これを理由とした申立人の主張には理由がない。
以上のことから、「1.審議会の結論」のとおり判断する。
なお、申立人及び実施機関双方のその他の主張は、本件報告書の各部を開示すべきか否かの結論に、直接影響を及ぼすものではないと判断した。
審議会の処理経過は別紙のとおりである。
別紙
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成11年4月15日 |
諮問書の受理 |
平成12年3月24日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成13年5月21日 |
審議(第78回審議会) |
平成15年7月28日 |
審議(第106回審議会) |
平成15年9月8日 |
審議(第107回審議会)・・・実施機関の口頭理由説明 |
平成15年10月20日 |
審議(第108回審議会) |
平成15年12月15日 |
審議(第110回審議会) |
平成16年1月19日 |
審議(第111回審議会) |
平成16年2月16日 |
審議(第112回審議会) |
平成16年3月8日 |
審議(第113回審議会) |
平成16年5月17日 |
審議(第116回審議会) |
答申第48号(平成16年6月7日付け)(PDF:124KB)
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