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更新日:令和5(2023)年4月25日

ページ番号:23668

答申第151号

答申第151号

平成28年1月18日

千葉県公安委員会

委員長岩沼静枝様

千葉県個人情報保護審議会

会長土屋俊

審査請求に対する裁決について(答申)

平成25年6月19日付け公委(○警)発第5号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。

平成25年5月13日付けで審査請求人から提起された自己情報部分開示決定(平成25年3月29日付け○警発第99号)に係る審査請求の裁決について


諮問第135号

答申第151号

1.審議会の結論2.審査請求の経緯3.審査請求人の主張要旨4.諮問実施機関の説明要旨5.審議会の判断6.審議会の処理経過

 1.審議会の結論

千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成25年3月29日付け○警発第99号で自己情報部分開示決定(以下「本件決定」という。)を行った審査請求人の開示請求に係る「警察安全相談受理票(甲)」(以下「本件文書」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は次のとおり判断する。

(1)実施機関は、本件決定において不開示とした情報のうち、「受理番号」欄の部分を開示すべきである。

(2)実施機関が行ったその他の決定については妥当である。

 2.審査請求の経緯

(1)審査請求人は、平成25年3月15日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「私が開示を受けた、平成○年○月○日付けの警察安全相談受理票(乙)の基となる警察安全相談受理票(甲)」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2)本件請求に対して実施機関は、対象文書を本件文書と特定した上で、その不開示部分は条例第17条第2号及び千葉県個人情報保護条例第17条第2号ハの警察職員を定める規則(平成17年千葉県規則第65号。以下「警察職員規則」という。)又は条例第17条第2号若しくは第6号に該当するとして本件決定を行った。

(3)審査請求人は、本件決定のうち本件文書の不開示部分について、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会に対し、平成25年5月13日付けで審査請求を行った。

(4)これを受けて、条例第46条第2項の規定する諮問実施機関である千葉県公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、同条第1項の規定により、平成25年6月19日付け公委(○警)発第5号で審議会に諮問した。

 3.審査請求人の主張要旨

(1)審査請求の趣旨

不開示とした部分の開示を求める。

(2)審査請求の理由

相手方欄の記載事項は、審査請求人の情報であると思われるのに不開示とされていることに納得がいかないから。

 4.諮問実施機関の説明要旨

(1)対象文書の性質

実施機関は、「警察安全相談取扱要領の制定について」(平成20年3月25日例規第19号。以下「例規」という。)に基づき、犯罪による被害の未然防止に関する相談その他県民の安全と平穏に関わる相談を警察安全相談と位置付け、面接、電話等により受理していた。

受理した相談に対しては、問題解消のためのアドバイスや関係機関の紹介を行うほか、相談内容によっては事件の立件やパトロールを強化する等の対応を行うものであり、例規に規定する様式である「警察安全相談受理票」は、受理した相談の内容や対応結果を明らかにしておくために作成するものである。

また、新規に相談を受理した場合は、「警察安全相談受理票(甲)」を作成し、既に受理している相談について継続対応をした場合には、「警察安全相談受理票(乙)」を作成していた。

なお、現在は、「千葉県警察相談取扱規程」(平成25年3月25日本部訓令第3号)により前記例規を廃止し、警察に対し、指導、助言、相手方への警告、検挙等、何らかの権限行使その他の措置を求めるものを警察相談と位置付け、「警察安全相談受理票」の様式についても、平成24年9月24日付け警察本部長通達により「警察安全相談票」に様式を変更し、さらに、平成25年3月28日付け警務部長通達により「警察相談票」に様式を変更している。

(2)審査請求の対象となる文書の記載内容

本件文書は、審査請求人が関係する金銭トラブルに係る相談を審査請求人以外の特定の個人から受理し、相談対応者が同人からの相談内容やその対応状況等について記載したものである。

様式の構成は、決裁欄、受理番号欄、受理日時欄、受理者欄、相談者欄、相手方欄、受理窓口欄、受理態様欄、件名欄、相談の要旨欄及び措置結果欄(措置者(職員番号))等からなる。

(3)審査請求の対象となる文書の不開示理由について

ア「決裁」欄の係長以下の印影並びに「受理者」欄及び「措置者(職員番号)」欄の氏名

警部補以下の階級にある警察官の氏名であり、条例第17条第2号及び警察職員規則で定める警察職員の氏名に該当するため不開示とした。

イ「受理者」欄及び「措置者(職員番号)」欄の職員番号

職員番号は警察職員個々に付与された番号であり、審査請求人以外の特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第17条第2号に該当するため不開示とした。

ウ「受理番号」欄、「受理日時」欄、「相談者」欄、「相手方」欄の「住所生年月日年齢性別職業電話番号」、「受理窓口」欄、「受理態様」欄、「件名」欄、「相談の要旨」欄、「措置結果」欄、「内容分類」欄及び欄外の記載事項

審査請求人以外の個人に関する情報、警察官が審査請求人以外の個人から聴取した内容及び審査請求人以外の個人からの相談に対する措置が記載されており、審査請求人以外の個人を識別することができる情報であるとともに、開示することにより、関係者に誤解や憶測を招き、相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報であることから、条例第17条第2号及び第6号ハに該当するため不開示とした。

エ「入力確認」欄

相談業務の事務処理に関する事項が記載されており、開示することにより、相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報であることから、条例第17条第6号ハに該当するため不開示とした。

(4)審査請求に至る経緯

ア平成24年12月3日、審査請求人が行った「私が平成○年○月下旬から○月○日の間に、友人との金銭トラブルなどのことを○○署に相談した内容が記載された警察安全相談受理票」という自己情報の開示請求に伴い、請求の対象となる文書を確認したところ、審査請求人以外の特定の個人が行った相談記録である「平成○年○月○日付けの警察安全相談受理票(乙)」に請求内容に該当する情報が認められたため、対象文書として特定し、同年12月18日付けで部分開示決定をした。

上記(1)で説明したとおり、当時の警察安全相談受理票の運用は、初めて相談を受理した場合には「警察安全相談受理票(甲)」を、継続相談の場合には「警察安全相談受理票(乙)」を作成することとなっていたことから、「平成○年○月○日付けの警察安全相談受理票(乙)」の元となる本件文書の請求に至ったものである。

イ本件文書についても、審査請求人以外の特定の個人の相談に係る相談記録ではあるが、相手方欄に請求者の個人情報が確認できたことから、対象文書と特定し、上記(3)に記載の情報を不開示として部分開示したものである。

(5)審査請求人の主張に対する検討

ア審査請求人は、「相手方欄の記載事項は、私の情報であると思われるのに不開示とされていることに納得がいかないから。」と主張している。

たしかに、「相手方」欄に記載の情報は、審査請求人以外の相談者の情報であるとともに、審査請求人を識別できる情報であると認められる。

しかし、上記(2)のとおり本件文書は、審査請求人以外の特定の個人が行った相談に関する文書であり、同文書全体がその相談者に関する個人情報であることから、条例第17条第2号の不開示情報に該当する。

イ本件文書において、条例第17条第6号ハで不開示とした情報のうち、「受理番号」欄、「受理日時」欄、「相談者」欄、「相手方」欄の一部、「受理窓口」欄、「受理態様」欄、「件名」欄、「相談の要旨」欄、「措置結果」欄、「内容分類」欄及び欄外の記載事項については、審査請求人以外の特定の個人の情報が記載されており、また、「入力確認」欄については、その内容から、受理日時が容易に推測されてしまうものである。

警察への相談制度は、相談内容の秘密は守られるという相談者からの信頼の上に成り立っているにもかかわらず、これらの情報を開示すると、相談者の情報を警察が、第三者へ開示してしまうという誤解や憶測を招き、その結果、警察への信頼が損なわれ、相談者が真実を警察に話さなくなる事態を招きかねない。

よって、これらの不開示とした情報は、開示することにより相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれが認められることから、条例第17条第6号ハに該当する。

 5.審議会の判断

(1)不開示情報について

本件文書において、本件決定により不開示とされた情報は、次のアからカまでのとおりである。

  • ア「相談者」欄、「相手方」欄の「住所 生年月日 年齢 職業 電話番号」、「件名」欄及び「相談の要旨」欄(以下これらを「本件不開示情報1-1」という。)
  • イ「受理者(職員番号)」欄及び「措置者(職員番号)」欄の「職員番号」(以下これらを「本件不開示情報1-2」という。)
  • ウ「決裁」欄の係長の印影並びに「受理者」欄及び「措置者」欄の「氏名」(以下これらを「本件不開示情報2」という。)
  • エ「受理日時」欄、「受理窓口」欄、「受理態様」欄、「措置結果」欄及び「内容分類」欄(以下これらを「本件不開示情報3-1」という。)
  • オ「入力確認」欄(以下「本件不開示情報3-2」という。)
  • カ「受理番号」欄(以下「本件不開示情報4」という。)

(2)不開示情報該当性について

ア本件不開示情報1-1及び本件不開示情報1-2について

諮問実施機関は、本件不開示情報1-1については、上記4(3)のウのとおり、条例第17条第2号及び第6号ハに該当し、また本件不開示情報1-2については、上記4(3)のイのとおり、同条第2号に該当するから不開示とした旨説明する。

当審議会で見分したところ、本件不開示情報1-1は審査請求人以外の第三者の氏名等及び審査請求人以外の第三者からの警察安全相談の内容であり、全体として、審査請求人以外の特定の個人を識別することができる情報に該当すると認められる。また、本件不開示情報1-2は各警察官に付与された職員番号であり、審査請求人以外の特定の個人を識別することができる情報に該当すると認められる。これらの情報に、同号ただし書イからニまでに該当する事情は認められない。

したがって、本件不開示情報1-1及び本件不開示情報1-2は、条例第17条第2号に該当するため、不開示とすることが妥当である。なお、本件不開示情報1-1は、上記のとおり同条第2号に該当することから、同条第6号ハに該当するか否かについて判断するまでもない。

イ本件不開示情報2について

諮問実施機関は、本件不開示情報2について、上記4(3)のアのとおり、条例第17条第2号及び警察職員規則に該当するから不開示とした旨説明する。

当審議会で見分したところ、本件不開示情報2は、警察官の姓を刻した印影及び警察官の氏名であり、審査請求人以外の特定の個人を識別することができる情報であるので、条例第17条第2号本文前段に該当すると認められる。

さらに本件不開示情報2は、警部補以下の階級にある警察官であると認められ警察職員規則第1号に該当することから、条例第17条第2号ただし書ハには該当しない。また、本件不開示情報2が同号ただし書イ、ロ又はニに該当する事情があるとも認められない。

したがって、本件不開示情報2は、条例第17条第2号に該当するため、不開示とすることが妥当である。

ウ本件不開示情報3-1及び本件不開示情報3-2について

諮問実施機関は、本件不開示情報3-1については、上記4(3)のウのとおり、条例第17条第2号及び第6号ハに該当し、また、本件不開示情報3-2については、上記4(3)のエのとおり、同条第6号ハに該当するから不開示とした旨説明する。

当審議会で見分したところ、本件不開示情報3-1は、審査請求人以外の第三者からの相談を受理した日時や受理の態様等、当該相談について担当警察官が行った措置に関する情報、そして当該相談の内容について、実施機関において判断、選択した類型に関する情報であり、また、本件不開示情報3-2は、審査請求人以外の第三者が行った警察相談の内容等の全てについて入力を終えた日にその日付を記載するものであり、その性質から相談日が類推されるおそれのある情報である。

そして、これらの各不開示情報を開示することは、相談者から誤解や憶測を招き、警察安全相談業務への信頼が損なわれ、また、県民が実施機関に対して不信感を抱き、相談をためらうことにつながるといえることから、警察安全相談の事務の目的が達成できなくなり、又は当該事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。

よって、本件不開示情報3-1及び本件不開示情報3-2は、条例第17条第6号ハに該当するため、不開示とすることが妥当である。なお、本件不開示情報3-1については、上記のとおり同条第6号ハに該当することから、同条第2号に該当するか否かについて判断するまでもない。

エ本件不開示情報4について

(ア)諮問実施機関は、本件不開示情報4について、上記4(3)のウのとおり、条例第17条第2号及び第6号ハに該当するから不開示とした旨説明する。

(イ)当審議会で見分したところ、本件不開示情報4は、審査請求人以外の第三者から実施機関に対し警察安全相談が行われた際、実施機関が割り振った当該相談案件の受理番号である。

また、諮問実施機関に確認したところ、警察安全相談の受理番号(以下「受理番号」という。)は、実施機関により相談案件別に割り振られ、同じ相談者の同じ相談案件が継続する場合には同じ番号が使用されるとのことである。こうした使用状況を踏まえると、受理番号は、実施機関が警察安全相談を管理するための情報として、当該相談案件の番号を示すにすぎないといえることから、特定の個人を識別することができる情報とは認められない。また、受理番号を開示することにより、審査請求人以外の個人の権利利益を害するおそれがあるとする事情も認められない。

よって、本件不開示情報4は、条例第17条第2号に該当しない。

(ウ)また受理番号は、上記のとおり、実施機関が相談案件別に割り振る番号であるため、相談者から警察へ相談した情報には当たらない。そうすると、受理番号を開示することは、諮問実施機関が上記4(3)のウで説明するように、警察へ相談した情報が相談者以外の第三者に開示されるという誤解や憶測を招くとは認められない。

よって、本件不開示情報4は、条例第17条第6号ハに該当しない。

(エ)本件不開示情報4は、上記(イ)及び(ウ)のとおり、条例第17条第2号及び第6号ハに該当しないことから、開示すべきである。

(3)結論

以上のことから、「1.審議会の結論」のとおり判断する。

 6.審議会の処理経過

審議会の処理経過は下記のとおりである。

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成25年6月21日

諮問書の受理

平成25年8月8日

諮問実施機関の理由説明書受理

平成27年10月29日

審議(第251回審議会)

平成27年11月24日

審議(第252回審議会)

 

 

答申第151号(平成28年1月18日)(PDF:158KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

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