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更新日:令和5(2023)年9月14日
ページ番号:23680
答申第164号
平成28年10月19日
千葉県公安委員会
委員長岩沼静枝様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
審査請求に対する裁決について(答申)
平成26年7月23日付け公委(広)発第6号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第147号
平成26年6月5日付けで審査請求人から提起された、自己情報不開示決定(平成26年5月30日付け広発第342号)に係る審査請求の裁決について
諮問第147号
|1.審議会の結論|2.審査請求の経緯|3.審査請求人の主張要旨|4.諮問実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、審査請求人の開示請求に係る情報の存否を明らかにしないで行った平成26年5月30日付け広発第342号の自己情報不開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は次のとおり判断する。
実施機関の判断は妥当である。
(1)審査請求人は、平成26年5月8日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「(1)平成19年7月から平成26年5月までの間に千葉県警察が保有する顔認証ができる防犯(監視)カメラで撮影された私の個人情報がわかる記録」及び「(2)(1)の記録がどこに提供されたかがわかる文書」(以下「本件対象個人情報」という。)の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)本件請求に対し実施機関は、本件対象個人情報の存否を答えることは、条例第17条第4号に規定する不開示情報を開示することとなり、条例第20条に該当するとして、本件決定を行った。
(3)本件決定に対し審査請求人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会に対し、平成26年6月5日付けで本件決定の取消しを求め、本件審査請求を行った。
(4)これを受けて、条例第46条第2項の規定する諮問実施機関となる千葉県公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、同条第1項の規定により、平成26年7月23日付け公委(広)発第6号で審議会に諮問した。
審査請求書及び意見書において、審査請求人はおおむね次のとおり主張している。
本件決定の取消しを求める。
ア審査請求人の個人情報であり、個人の権利、利益のため開示を求める。審査請求人の主張の意味は、法令・条例で言う人権侵害・不利益があってはならないという意味である。
イ条例第20条について、自分の個人情報に対して、審査請求人は第三者でもなく、不特定多数でもなく、報道機関でもない。
諮問実施機関は、理由説明書の総論(下記4(1)ア)において、条例第17条第4号に該当すると説明するが、そうであるなら、裁判所許可、命令又は審査請求人に問い合わせ、打診などあってしかるべきと考える。同号に該当するか否か、個人の権利、利益のため審査をお願いする。
なお、審査請求人は次の点についても審査請求書及び意見書に記載している。
ア実施機関において、審査請求人が犯罪の容疑者等と認定されているか否かの回答を求めている点
イ本件請求時に実施機関から受けた補正についての不満及び補正前の開示請求による審査を依頼している点
ウ条例第49条で定める審議会の調査権限の手続を依頼している点
理由説明書において、諮問実施機関はおおむね次のとおり主張している。
警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務とする(警察法(昭和29年法律第162号)第2条第1項)。
上記の警察の責務を踏まえれば、本件対象個人情報は、警察がその業務を遂行する上で収集した特定の個人に関する情報であり、本件対象個人情報の存否を答えることは、審査請求人が警察の情報収集の対象とされているか否かを明らかにする結果を生じさせることになる。特定の個人が警察の情報収集の対象とされているか否かは、警察の情報収集の対象、関心事項等に関する情報であり、これを開示することにより、警察の情報収集活動の実態が明らかとなり、警察に対する不当な働きかけを企図する者が、各種工作活動を潜在化・巧妙化させたり、虚偽情報を流布したりする等の対抗措置を講ずるなど、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めるにつき、相当の理由があると認められ、条例第17条第4号の不開示情報に該当するものと認められる。
したがって、本件対象個人情報については、その存否を答えるだけで条例第17条第4号の不開示情報を開示することとなるため、条例第20条の規定により、その存否を明らかにしないで本件請求を拒否したことは、妥当である。
審査請求人は、実施機関が審査請求人を特定の犯罪の容疑者等と認定しているのではないかと主張しているものと考えられる。
しかしながら、本件対象個人情報が具体的にあるかないかにかかわらず、当該情報の存否について回答することは、結果的に不開示情報を開示することとなるが、たとえ、審査請求人が特定の犯罪の容疑者等であろうとなかろうとこのことに変わりはない。したがって、実施機関は、条例第20条の規定を適用して、本件請求を拒否したものである。
審査請求人は、顔認証が可能なカメラで撮影された審査請求人の容貌等の情報は、「私の個人情報」であるから、当然に知ることができるという権利又は利益があると主張しているものと考えられる。
確かに条例第15条は「何人も、実施機関に対し、行政文書に記録された自己の個人情報の開示の請求をすることができる。」と規定し、本人からの自己情報開示請求を認めており、さらに、条例第17条は個人情報の開示義務を規定している。
しかしながら、条例第20条は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定し、一定の場合に、個人情報の存否自体を明らかにしないで、開示請求を拒否できることとなっている。本件は当該「一定の場合」に該当するものであり、審査請求人の主張は認められない。
本件請求は、「(1)平成19年7月から平成26年5月までの間に千葉県警察が保有する顔認証ができる防犯(監視)カメラで撮影された私の個人情報がわかる記録」及び「(2)(1)の記録がどこに提供されたかがわかる文書」の本件対象個人情報を求めるものである。
実施機関は、本件対象個人情報の存否を答えることは、条例第17条第4号の不開示情報を開示することとなるとして、条例第20条の規定により本件決定を行った。
(ア)本条は、開示請求に係る個人情報が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された個人情報の存否を回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合において、当該個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができることについて定めたものである。
実施機関は、上記アのとおり、本件対象保有個人情報の存否を答えることは、条例第17条第4号の不開示情報を開示することとなると説明しているため、その妥当性について以下検討する。
(イ)条例第17条第4号は、その性質上、開示・不開示の判断に犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を要することなどの特殊性が認められることから、開示することにより支障を及ぼすおそれについて「実施機関が認めることにつき相当の理由がある」場合には不開示となるものである。この実施機関の判断は、合理性を持つものとして許容される限度内のものでなければならず、審議会においてもこれらの点を考慮して判断する必要がある。
本件対象個人情報が存在するとすれば、警察がその業務を遂行する上で収集した特定の個人に関する情報である。
特定の個人が警察の情報収集の対象とされているか否かは、警察の情報収集活動の対象、関心事項等に関する情報であり、これを開示することにより、警察の情報収集活動の実態が明らかになるおそれがある。
警察の情報収集活動の実態が、情報収集活動の対象となる相手方の知るところとなれば、相手方の活動は当該情報収集活動の存在を前提としたものとなり、結果として、警察の情報収集活動が有効かつ能率的に遂行できなくなるなどの支障が生じ、ひいては、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすこととなると考えられる。
よって、実施機関が条例第17条第4号に該当するとした判断は、合理性を持つ判断として許容される限度を超えているとは言えず、妥当である。
(ウ)本件対象個人情報については、上記(イ)のとおり、その存否を答えるだけで、審査請求人が警察の情報収集活動の対象とされているか否かを明らかにする結果を生じさせるものと認められるとともに、条例第17条第4号に該当する不開示情報を開示することとなるため、実施機関が条例第20条の規定により本件対象個人情報の存否を明らかにしないで本件決定を行ったことは妥当である。
以上のことから「1審議会の結論」のとおり判断する。
審査請求人及び諮問実施機関のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成26年7月24日 |
諮問書の受理 |
平成26年9月17日 |
諮問実施機関の理由説明書受理 |
平成26年11月6日 |
審査請求人の意見書受理 |
平成28年6月28日 |
審議(第260回審議会) |
平成28年7月26日 |
審議(第261回審議会) |
平成28年9月29日 | 審議(平成28年度第1回第1部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
石井徹哉 |
千葉大学副学長 |
|
海野朋子 |
千葉家庭裁判所家事調停委員 |
第1部会 |
川瀬貴之 |
千葉大学法政経学部准教授 |
第1部会 |
土屋俊 |
大学改革支援・学位授与機構研究開発部教授 |
会長、第1部会長 |
永嶋久美子 |
弁護士 |
第1部会長職務代理者 |
中曽根玲子 |
國學院大學専門職大学院法務研究科教授 |
会長職務代理者 |
藤岡園子 |
弁護士 |
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答申第164号(平成28年10月19日付け)(PDF:156KB)
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