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更新日:令和5(2023)年9月14日
ページ番号:23681
答申第165号
平成28年10月19日
千葉県知事
鈴木栄治様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成26年7月29日付け○児第176号-1による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第148号
平成26年6月27日付けで異議申立人から提起された、千葉県知事が平成26年5月29日付け○児第114号-1及び同日付け○児第114号-2で行った自己情報部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について
諮問第148号
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県知事(以下「実施機関」という。)が平成26年5月29日付け○児第114号-1で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定1」という。)及び同日付け○児第114号-2で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定2」といい、本件決定1と併せて「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の判断は、妥当である。
(1)異議申立人は、平成26年5月14日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、次のア及びイの開示請求(以下それぞれ「本件請求1」及び「本件請求2」といい、併せて「本件請求」という。)を行った。
ア本件請求1の請求内容
千葉県○○児童相談所(以下「○○児童相談所」という。)が発行した平成○年○月○日付け○児第69号の3「調査嘱託書に係る調査結果について」(以下「調査結果」という。)中に、(開示請求者の行為につき)「これを目撃した△△、▽▽」との記載があるところ、『目撃した対象及びその具体的内容』及び『目撃した具体的な場所(住所、○○宅、○○階の○○の部屋のように可能な限り具体的に)』を特定する資料。
イ本件請求2の請求内容
平成○年○月○日付け○○児童相談所(○○、○○名)発開示請求者あて連絡票(以下「連絡票」という。)中に「○○:身体的虐待」、「△△:心理的虐待」、「▽▽:心理的虐待」との記載があるところ、各々の虐待に該当するとした開示請求者の具体的行為がわかる資料及び当該開示請求者の行為が虐待に該当すると判断した法的根拠がわかる資料。具体的行為があったときの開示請求者と△△、▽▽との(○○児童相談所が把握している)位置関係がわかる資料。
(2)実施機関は、本件請求1に対しては次のアのとおり、本件請求2に対しては次のイのとおり、それぞれ、対象文書を特定した上で、本件決定1及び本件決定2を行った。
ア本件決定1の対象文書
(ア)児童通告書(△△分)(以下「本件文書1」という。)
(イ)児童通告書(▽▽分)(以下「本件文書2」という。)
イ本件決定2の対象文書
上記ア(ア)及び(イ)並びに児童通告書(○○分)(以下「本件文書3」といい、本件文書1及び本件文書2と併せて「本件文書」という。)
(3)本件決定に対し、異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成26年6月27日付けで異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(4)本件異議申立てを受けて、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成26年7月29日付け○児第176号-1で審議会に諮問した。
異議申立人は、異議申立書において、概ね次のとおり主張している。
下記(2)イに記す文書を追加して開示するとの決定を求める。
ア本件決定の対象文書は、千葉県○○警察署が発行した児童通告書のみであり、異議申立人(開示請求者)が請求した「各々の虐待に該当するとした開示請求者の具体的行為がわかる資料及び当該開示請求者の行為が虐待に該当すると判断した法的根拠がわかる資料」や「『目撃した対象及びその具体的内容』並びに『目撃した具体的な場所(住所、○○宅、○○階の○○の部屋のように可能な限り具体的に)』を特定する資料」が開示されていない。
イ平成○年○月○日付け千葉県健康福祉部児童家庭課長(以下「児童家庭課長」)発異議申立人宛て児第846号(以下「児第846号」という。)には、「児童相談所は、(中略)虐待であるかどうかについて、子どもの状況、保護者の状況、生活環境等から総合的に判断を行っており」と明示されている。
よって、本件事案についても、○○児童相談所が「総合的に判断」するにあたり用いた材料たる、○○児童相談所が収集把握した本件事案における具体的事情等、材料を収集把握した日時、場所及び収集方法、○○児童相談所が「総合的に判断」した経過、結論に至った理由、根拠(法的根拠を含む)を記した資料が当然に存在しこれを開示すべきものである。
ウなお、この「総合的な判断」はすべからく、○○児童相談所が児童通告書を受理した平成○年○月△日から受理会議を開催した同月□日までの間になされているべきものであり、必然、「総合的な判断」に用いた材料たる本件事案に係る具体的事情等も、その間に○○児童相談所により収集把握されているはずのものである。
エ以上のとおり、当然に存在し開示すべき文書を開示しないことは失当であり、本件決定は不当である。
オ以上、本件決定は、条例の解釈、運用を誤ったものである。よって、その是正を求めるため、本件異議申立てを行った。
実施機関は、理由説明書において、概ね次のとおり主張している。
本件決定については、不開示情報を除き、対象の自己情報を全て開示決定した。
児童通告書(○○分)の文中に「実父は、実母の忠告を聞き入れず、日頃から子ども達に対して、躾と称して、大声で怒鳴ったり、時には手を上げて殴ったりしていた」及び「部屋に入ってきた長男をいきなり払い腰で布団の上に投げ飛ばした」とあり、児童通告書(△△及び▽▽分)の文中に「自宅で弟(兄)である○○が父親から躾と称して払い腰をされる現場に居合わせた」とあることから、これを「各々の虐待に該当するとした開示請求者の具体的行為がわかる資料及び当該開示請求者の行為が虐待に該当するとした法的根拠がわかる」内容並びに「『目撃した対象及びその具体的な内容』及び『目撃した具体的な場所』」が含まれる行政文書と判断した。
また、この他に「各々の虐待に該当するとした開示請求者の具体的行為がわかる資料及び当該開示請求者の行為が虐待に該当するとした法的根拠がわかる資料」、「『目撃した対象及びその具体的内容』及び『目撃した具体的な場所(住所、○○宅、○○階の○○の部屋のように可能な限り具体的に)』を特定する資料」に当たる自己情報は存在しない。
本件請求2の内容は、連絡票に係るものであり、ここでの受理とは警察からの児童通告を受けて、それぞれ「○○:身体的虐待」、「△△:心理的虐待」及び「▽▽:心理的虐待」の疑いのあるケースとして受理し、今後調査を進めていくという趣旨のもので、児第846号でいう「虐待であるかどうかについて、子どもの状況、保護者の状況、生活環境等から総合的に判断を行っ」たものではない。
したがって、本件請求2における「各々の虐待に該当するとした開示請求者の具体的行為がわかる資料及び当該開示請求者の行為が虐待に該当すると判断した法的根拠がわかる資料」に当たる自己情報は児童通告書のみである。
平成○年○月□日の受理会議後に、虐待であるかどうかについて、子どもの状況、保護者の状況、生活環境等から総合的に判断を行っているため、当該期間における本件請求に係る異議申立人の自己情報は存在しない。
ア異議申立人は、当初、本件請求において、次の個人情報の開示を請求した。
(ア)本件請求1の請求内容について
本件請求1は、調査結果の別記3(2)第2段落において、異議申立人が平成○年○月○日の午後○時○分頃に○○に対して行った行為について、これを△△及び▽▽が目撃したと記載されているところ、目撃した対象及びその具体的内容並びに目撃した具体的な場所に係る異議申立人の個人情報の開示を求めるものである。
(イ)本件請求2の請求内容について
本件請求2は、連絡票において、「○○:身体的虐待」、「△△:心理的虐待」及び「▽▽:心理的虐待」と記載されているところ、異議申立人の行為がそれぞれの虐待に該当すると判断した法的根拠並びに具体的行為時における異議申立人と△△及び▽▽との位置関係に係る異議申立人の個人情報の開示を求めるものである。
イ本件異議申立てにおいて、異議申立人は、上記3(2)アのとおり、本件決定では、異議申立人が求める自己情報が開示されていないと主張する。
そこで、本件請求で異議申立人が求める自己情報が本件文書に記録されているか否かについて、以下検討する。
ウこれにつき、実施機関は、上記4(2)のとおり、本件文書3と本件文書1及び本件文書2を照合することによって、異議申立人の求める自己情報が本件文書に記録されていると判断できると主張する。
審議会において本件文書を見分したところ、本件文書3中の「父親は・・・部屋に入ってきた長男をいきなり払い腰で布団の上に投げ飛ばしたものである」との記載と、本件文書1及び本件文書2中の「自宅で・・・○○が父親から躾と称して払い腰をされる現場に居合わせたもの」との記載が対応している。
そうすると、本件文書1及び本件文書2には、本件請求1の請求内容である「目撃した対象及びその具体的内容」及び「目撃した具体的な場所」が記録されていると認められる。また、本件文書は、本件請求2の請求内容である「具体的行為がわかる資料」及び「位置関係がわかる資料」に該当すると認められる。
さらに、本件請求2の請求内容である「虐待に該当すると判断した法的根拠がわかる資料」についてみると、連絡票に記載されている受理とは警察からの児童通告を受けた段階にすぎず、虐待に該当するかどうかについて判断するのはその後の受理会議以後の段階である以上、受理時には「虐待に該当すると判断した法的根拠がわかる資料」は存在しないものと認められる。
したがって、本件請求で異議申立人の求める自己情報が本件文書に記録されているという実施機関の説明に、何ら不合理な点は認められない。
アまた、異議申立人は、上記3(2)イ及びウのとおり、児童相談所では、虐待であるかどうかについて総合的判断を行っている以上、次の(ア)~(ウ)の情報が当然に存在し、それらは平成○年○月△日~□日の間に収集されていると主張する。
(ア)○○児童相談所が総合的判断をするに当たり用いた材料である、具体的事情等
(イ)○○児童相談所が上記(ア)の具体的事情等を収集把握した日時、場所及び収集方法
(ウ)○○児童相談所が総合的に判断した経過並びに結論に至った理由及び根拠
そこで、異議申立人が主張する上記(ア)~(ウ)の情報を記録した文書が存在し、本件請求の対象文書となるかについて、以下検討する。
イこれにつき、実施機関は、上記4(3)のとおり、本件請求の内容は連絡票に係るものであり、ここでの受理とは警察からの児童通告を受け今後調査を進めていくという趣旨であるから、総合的判断を行ったものではないと主張する。また、実施機関は、上記4(4)のとおり、○○児童相談所では、平成○年○月□日の受理会議後に虐待であるかどうかについて総合的判断を行うため、平成○年○月△日~□日の期間においては、上記ア(ア)~(ウ)の情報は存在しないと主張する。
ウ異議申立人が本件請求において調査結果及び連絡票を引用していることから、審議会においてこれらの文書を見分したところ、平成○年○月○日に異議申立人がしたとされる行為について、同月△日に千葉県○○警察署長から○○児童相談所長へ、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第25条に規定する児童通告がされたものと認められる。そして、異議申立人及び実施機関の説明によれば、同月□日に○○児童相談所において本件の児童に関する受理会議が開催されている。
また、実施機関の説明によれば、受理会議とは、児童相談所に対する相談や通告の受理後に行われる会議のことであり、実際に調査・診断等を行った上で虐待であるか否かについて総合的判断が行われるのは、かかる受理会議が開催された後のことである。
そうすると、平成○年○月△日~□日において、異議申立人が主張する上記ア(ア)~(ウ)の情報を記録した文書は存在しないとする実施機関の説明には、何ら不合理な点は認められない。
以上のことから、「1.審議会の結論」のとおり判断する。
審議会の処理経過は、次のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成26年7月29日 |
諮問書の受理 |
平成26年9月19日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成26年10月16日 |
異議申立人の意見書受理 |
平成28年7月26日 |
審議(第261回審議会) |
平成28年9月29日 |
審議(平成28年度第1回第1部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
石井徹哉 |
千葉大学副学長 |
|
海野朋子 |
千葉家庭裁判所家事調停委員 |
第1部会 |
川瀬貴之 |
千葉大学法政経学部准教授 |
第1部会 |
土屋俊 |
大学改革支援・学位授与機構研究開発部教授 |
会長、第1部会長 |
永嶋久美子 |
弁護士 |
第1部会長職務代理者 |
中曽根玲子 |
國學院大學専門職大学院法務研究科教授 |
会長職務代理者 |
藤岡園子 |
弁護士 |
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答申第165号(平成28年10月19日付け)(PDF:169KB)
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