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更新日:令和5(2023)年4月28日
ページ番号:23603
答申第135号
平成25年9月24日
千葉県知事鈴木栄治様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成23年10月6日付け千消第110号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。
記
平成23年5月5日付けで異議申立人から提起された、平成23年3月28日付け千消第261号で行った自己情報開示決定に係る異議申立てに対する決定について
諮問第105号
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県知事(以下「実施機関」という。)は、異議申立人と実施機関の職員との電子メールでのやりとり(以下「本件メール」という。)を紙に出力したもの(以下「紙出力」という。)について、改めて開示決定等をすべきである。
異議申立人は、平成23年3月11日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「○月○日千葉県消費者センターへ相談した、●月●日△△市所在、▲▲▲で購入した食品(パン、肉、さかな、じゃがいもなど)の相談の経緯と状況及び対応処分内容の文書による情報開示」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
本件請求に対して実施機関は、「消費生活相談情報(平成○年○月○日受付した開示請求者に係るもの)」(以下「本件文書」という)を対象行政文書として平成23年3月28日付けで開示決定したところ、異議申立人は「相談内容の対応経緯と状況、及び対応結果」が記載された行政文書が開示されていないとして、平成23年5月5日付けで実施機関に対し異議申立てを行ったものである。
実施機関が平成23年3月28日付け千消第261号で行った自己情報開示決定(以下「本件決定」という。)で開示された行政文書以外の行政文書について開示決定等を求めるものである。
本件決定に基づき開示された本件文書には「相談受付時のみ」の情報しか記載されておらず、本件請求の目的が達せられなかった。
よって、本件請求の内容である「相談内容の対応経緯と状況、及び対応結果」について、速やかに開示するよう請求する。
また、当相談事項の証拠物の受領状況と保管状況、及び対応経緯と対応状況についても速やかに開示するよう請求する。
(1)消費生活相談制度について
消費者基本法(昭和43年法律第78号)及び千葉県消費生活の安定及び向上に関する条例(平成19年千葉県条例第72号)に基づき、消費者センターでは、消費者から事業者との間の取引に関して生じた苦情の申出があったときは、速やかに苦情解決のために必要なあっせんその他の措置を講じている。
(2)消費生活相談情報について
消費生活相談情報は、消費生活相談において、聞き取りから相談の処理までの過程を要約して記録する文書である。
(3)本件請求に至る経過について
平成○年○月○日消費生活相談
平成●年●月●日▲▲▲からの事情聴取
平成□年□月□日~■月■日実施機関の職員と異議申立人との電子メールのやりとり
平成23年3月11日本件請求
(4)本件文書の記載について
実施機関の職員である消費生活指導員(以下「相談員」という。)は、消費者から苦情等の消費生活に関する相談の申出を受け付けたときは、受付情報を全国消費生活情報ネットワークシステム(以下「PIO-NET2010」という。)に入力し、決裁を行い、その後、相談が終了した時点で相談処理結果情報を入力し、決裁することとしている。
異議申立人の相談については、本件請求時点では、受付情報として相談者・契約者情報、商品・役務情報、事業者情報、相談内容情報を入力し決裁を行っていたが、相談員においてあっせんの手続を進めており終了していなかったため、相談申出後の事業者との交渉内容等は入力していなかった。
よって、本件請求に係る行政文書は受付情報が記載された本件文書が全てである。
(5)なお、当審議会の審議において、異議申立人に係る消費生活相談を担当した相談員(以下「担当職員」という。)と事業者との交渉経過等を記載した担当職員のノート(以下「本件ノート」という。)及び本件メールの存在が明らかになったことから、その取扱いについて確認をするため、実施機関の職員に説明を求めたところ、次のとおりであった。
ア本件ノートについて
本件ノートはPIO-NET2010に記録するまでの担当職員の備忘メモである。
また、本案件では、担当職員が平成○年○月○日付けで相談を受け付け、同年●月●日付けで相談を終了したが、受付から相談業務終了まで当該担当職員が対応しているので、本件ノートを他の職員に引き継ぎすることはなかった。
よって、本件ノートに組織供用性はなく、条例第2条第3号の「行政文書」に該当せず、本件請求の対象文書とならない。
イ本件メールについて
本件メールは、前記4(3)のとおり、平成○年○月○日から同年▲月▲日までに実施機関の職員と異議申立人との間でやりとりされた電子メールである。その内容は、実施機関から異議申立人への相談日の日程調整と、実施機関からの連絡方法や事業者に対する異議申立人の非難などであるが、これらは相談経緯そのものではない。
そもそも相談業務は電話・来所によることを原則としており、電子メールでは行っていない。本件メールで使用されたメールアドレス(以下「本件メールアドレス」という。)は相談者から相談に関連する資料を送付してもらうために使われるものである。
よって、本件メールは本件請求とは無関係である。
また、紙出力は、平成23年5月10日に印刷され、担当職員の上司の机の引き出しに保管されていたが、当該上司が個人的に保管していたものであり、紙出力には組織供用性はないと考える。
(1)異議申立人は、本件文書に相談処理結果情報が記載されているはずであると主張するが、実施機関の説明によれば、実施機関の消費生活相談の処理手順は前記4(4)のとおりである。かかる実施機関の説明に特段不合理な点は認められない。
よって、本件請求時点において、相談処理結果情報が記載されていないのはやむを得ないことである。
しかしながら、実施機関が提出した理由説明書によると、(1)異議申立人との交渉経過等について、担当職員が本件ノートに備忘メモとして記載していたこと、(2)また、異議申立人と実施機関の職員との間で、本件メールによるやりとりがあったことが判明した。そこで、本件ノートと本件メールの取り扱いについて実施機関の考えを確認したところ、前記4(5)のとおりであった。
(2)本件請求に係る対象行政文書について
条例第15条第1項の規定に基づく開示請求の対象となるのは、「行政文書に記録された自己の個人情報」である。
そして、「行政文書」とは、条例第2条第3号の規定により、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの。」をいうが、「組織的に用いる」に該当するかどうかは、文書の作成、取得、利用、保存又は廃棄の状況を総合的に考慮して判断するものである。
ア本件ノートについて
実施機関は、本件ノートは担当職員の備忘メモとして使われており、他の職員へ引き継ぎ等も行われていないと説明する。
かかる説明に特段不合理な点は認められず、本件ノートは「実施機関の職員が組織的に用いる」(条例第2条第3号)ものとは認められないので、行政文書ではない。
よって、本件ノートを対象行政文書としなかった実施機関の判断は妥当である。
もっとも、かかる事務処理方法では、受付から結果までの経緯が行政文書に記載されなくなってしまい、相談のプロセスが不透明となることから、然るべき手続を定めることが望ましいと考える。
イ本件メールについて
実施機関は、本件メールの記載内容は本件請求とは関係ないということ、また、紙出力は担当職員の上司の机の引き出しに個人的に保管していたものであるから行政文書ではないと説明する。
しかし、実際に紙出力を見分すると、単なる日程調整等のみならず、異議申立人の相談に相当する内容であることが認められる。
よって、本件請求とは無関係とする実施機関の説明には理由がない。
ところで、紙出力は本件決定後に出力され、本件請求時には紙文書としては存在しなかったが、元となる本件メールは本件請求時には電磁的記録により存在していたことが認められる。そして、本件メールアドレスは、具体的には相談員共通で用いるメールアドレスと、担当職員の上司専用のメールアドレスとの2つがある。
前者については複数名いる相談員共通のものであり、送受信される電子メールは通常、職務のため組織的に用いられるものであること、本件メールの中身は異議申立人の相談に相当する内容であること、紙文書が現に存在していることといった状況を考慮すると、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得し、かつ組織的に用いられるものと認められる。
後者については、その電子メールの中身は、上司の立場から担当職員と異議申立人とのやりとりを補完するために送信されたものであること、紙文書が現に存在していることといった状況を考慮すると、前者と同様に、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得し、かつ組織的に用いられるものと認められる。
よって、本件請求時には本件メールは実施機関の職員が職務上作成し、又は取得し、かつ組織的に用いられるものであり、条例第2条第3号の行政文書に該当すると認められる。
従って、実施機関は、かかる本件メールを紙に出力したものが現に存在していることから、紙出力を対象文書として、改めて開示決定等をすべきである。
(3)結論
以上のことから「1審議会の結論」のとおり判断する。
異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は下記のとおりである。
審議会の処理経過
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成23年10月6日 |
諮問書の受理 |
平成24年11月24日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成25年4月18日 |
審議(第219回審議会) |
平成25年5月9日 | 審議(第220回審議会)実施機関口頭理由説明 |
平成25年6月13日 | 審議(第221回審議会) |
平成25年7月11日 |
審議(第222回審議会) |
答申第135号(平成25年9月24日付け)(PDF:108KB)
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