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更新日:令和4(2022)年3月4日
ページ番号:23701
答申第185号
平成29年6月23日
千葉県知事
鈴木栄治様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成27年4月2日付け○健福第13号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第167号
平成27年2月24日付けで異議申立人から提起された、平成26年12月24日付け○健福第1360号で行った自己情報部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県知事(以下「実施機関」という。)が平成26年12月24日付け○健福第1360号で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関が本件決定において不開示とした情報のうち、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による精神障害者の申請・通報等の結果について(報告)」の「事前調査の結果診察の要否」の欄及び「その他」の欄の記載については開示すべきであるが、その余の決定は妥当である。
(1)異議申立人は、平成26年4月2日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成27年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「H○.○.○以降、私が相談した記録、及び、私に係り他機関へ発出もしくは、収受した記録、又は、私に対して発出した記録(文書)」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)実施機関は、本件請求に対し条例第23条の規定により、請求に係る個人情報が記録された行政文書が大量であり、内容の検討に時間を要し、事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがあることを理由として、平成26年4月15日○健福第191号で、自己情報開示決定の期限の特例適用通知を行った。
(3)その後、実施機関は、請求に係る個人情報が記録された行政文書を別表のとおり本件文書1から5まで特定し、本件決定を行った。
(4)異議申立人は、本件決定に対し行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成27年2月24日付けで異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(5)実施機関は、本件異議申立てを受けて、条例第46条第1項の規定により、平成27年4月2日付け○健福第13号で審議会に諮問した。
異議申立書において、異議申立人は概ね次のとおり主張している。
「本件決定を取り消す。」との決定を求める。
本件決定は次のとおり違法であるため。
○○○が付された病名、症候群名に基づく、自傷他害、自殺行為のおそれによる国民の生命、身体、財産に係る○○○の責務を果たすことに、支障があるため。
平成27年7月15日付けで実施機関が審議会に対し提出した理由説明書において、概ね次のとおり主張している。
ア本件文書1について
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に基づき、○○健康福祉センターの相談担当者(以下「DV相談員」という。)が、平成○年○月○日に異議申立人との間で行った電話相談に関する記録票であり、異議申立人から受けた相談内容、担当者から異議申立人に伝えた内容及び受付者名が記録されている。
イ本件文書2について
平成○年○月○日付けで○○警察署長から○○健康福祉センター長あてに送付された精神障害者等の保護通報書であり、保護された者の住所、氏名、保護の事由などが記録されている。
ウ本件文書3について
平成○年○月○日付け○健福第258号の42で○○保健所長から千葉県健康福祉部障害福祉課長に提出した報告書であり、申請・通報等を行った機関、対象者の住所、氏名、年齢の他、診察の要否、その他(診察不要の理由・診察のための移送の経過)などが記録されている。
エ本件文書4について
平成○年○月○日に異議申立人が○○健康福祉センターに来所した際の相談記録票であり、異議申立人の相談内容、面接者の名前、担当課長の印影などが記録されている。
オ本件文書5について
平成○年○月○日に異議申立人が弁護士とともに精神保健福祉相談(心の健康相談)に来所された際の相談に係る実施報告書であり、相談の際の異議申立人や弁護士と相談員である○○健康福祉センター嘱託医及び○○健康福祉センター職員とのやりとりなどが記録されている。
ア本件文書1について
「課員」欄及び「受付者」欄に記載された情報について、条例第17条第6号により不開示とした。
これは、DV被害相談の特殊性から、嘱託職員であるDV相談員の氏名については、相談員への危害防止等を図る目的で公表していないところ、相談員名がわかる印影が記録されており、これを開示することによりDV相談業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるためである。
イ本件文書2について
「保護の事由」欄に記載された情報について、条例第17条第6号により不開示とした。
これは、○○警察署長による異議申立人の保護の必要性の判断に係る情報が記載されており、これを開示することにより精神障害者等の保護通報業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるためである。
ウ本件文書3について
「事前調査の結果診察の要否」の欄及び「その他(診察不要の理由・診察のための移送の経過)」欄に記載された情報について、条例第17条第6号により不開示とした。
これは、○○保健所長が行った診察の要否に関する評価等が記録されており、これを開示することにより業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるためである。
エ本件文書4について
「面接者」に係る記載について、条例第17条第6号により不開示とした。
これは、DV被害相談の特殊性から、嘱託職員であるDV相談員の氏名については、相談員への危害防止等を図る目的で公表していないところ、相談員の姓が記載されており、これを開示することによりDV相談業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるためである。
オ本件文書5について
「従事者」欄の記載の一部について、条例第17条第2号により不開示とした。
これは、開示請求者以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる情報が含まれているため、当該情報に係る部分について不開示としたものである。
ア条例第17条は、開示請求があったときは、開示請求に係る個人情報に同条各号に掲げる情報(不開示情報)のいずれかが含まれている場合を除き、開示請求をした者に対し、当該個人情報を開示しなければならないと定めていることから、本件決定の妥当性は本件決定において不開示とされた情報が条例第17条各号のいずれかに該当するか否かにより判断されるものである。
イ異議申立人は本件決定が違法であると主張し、その理由として、本件決定によっては「異議申立人のその○○○に対する○○○としての責務を果たすことに支障があるため」とするが、異議申立ての理由と不開示情報に係る条例第17条各号との関係については明らかでない。
実施機関は、本件請求に対し上記2(3)のとおり、本件各文書に記録された個人情報を本件請求の対象として特定して本件決定を行った。
異議申立人は、本件決定に対し上記3アのとおり取消しを求めており、不開示部分の開示を求めていると認められるので、以下、本件決定における不開示部分の不開示情報該当性について検討する。
審議会で見分したところ、本件文書1は、○○健康福祉センターのDV相談員が、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第3条第3項で規定する相談業務として行った、異議申立人との電話相談について、その内容を記した記録であり、課員欄と受付者欄に押印されている嘱託職員であるDV相談員の印影が不開示とされている。
これについて実施機関は、DV被害相談の特殊性から、DV相談員の氏名については、相談員への危害防止等を図る目的で公表していないところ、開示することによりDV相談業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため条例第17条第6号により不開示としたと説明する。
審議会事務局職員が実施機関に確認したところ、上記理由から、DV相談員の氏名については、電話相談のみならず来所相談時にも通常名乗ることはないとのことであり、実際に異議申立人に対しても名乗ったという事実は確認できないとのことであった。
都道府県がDV相談業務を実施するにあたっては、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針」(平成25年12月26日内閣府、国家公安委員会、法務省、厚生労働省告示第1号)により、被害者の安全の確保及び秘密の保持の徹底を図り、具体的事案において、被害者に対する加害者の追及が可能になることのないよう、十分な配慮をすることが求められているところである。
そうすると、上記のような被害者の安全確保や加害者の追及に特段の配慮を行うべきとするDV相談業務の背景を踏まえると、DV相談員の氏名を開示することとした場合、それを知った加害者が当該相談員に対し被害者の情報を求めて強硬な手段に及ぶことや、あるいは、自らの氏名が開示されることでの関係者とのトラブルを危惧した相談員が消極的な姿勢で相談対応を行うなどの可能性は否定できず、その結果として、相談業務の適正な遂行に支障が及ぶとする実施機関の説明には合理性があるものと認められる。
したがって、本件文書1で不開示とされている情報は、条例第17条第6号ハに該当するから不開示とすることが相当である。
審議会で見分したところ、本件文書2は、○○警察署長が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)の規定に基づき○○保健所長に通報した際の通知書であり、○○警察署長が異議申立人の行動から通報が必要であると判断した理由部分が不開示とされている。
これについて実施機関は、保護の必要性の判断に係る情報を開示することにより、精神障害者等の保護通報業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため条例第17条第6号により不開示としたと説明する。
精神保健福祉法においては、警察官は、その職務上、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない旨が規定されており(同法第23条)、本件文書2の不開示情報は、この規定により○○警察署長が異議申立人の言動から通報の必要性があると判断した事由である。
そうすると、これらの情報を被通報者に開示することとなれば、本来であれば保護の必要性があるとして通報されるべき者が、どのような言動をとると警察署から保健所に通報がなされるのかについての基準や考え方を知り、故意に通報を免れようとするような事態も考えられるところであり、結果として、必要な保護や医療を受ける機会が失われることで、実施機関における精神保健福祉法に基づく保護通報業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
したがって、本件文書2で不開示とされている情報は、条例第17条第6号柱書に該当するから不開示とすることが相当である。
審議会で見分したところ、本件文書3は、○○警察署長からの通報を受けて、○○保健所長が精神保健福祉法第27条第1項の精神保健指定医による診察の要否に関する調査結果を障害福祉課長に報告した文書であり、異議申立人に対する精神保健指定医の診察の要否についての○○保健所長の判断等が不開示とされている。
これについて実施機関は、○○保健所長が行った診察の要否に関する評価等が記録されており、これを開示することにより業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため条例第17条第6号により不開示としたと説明する。
しかし、審議会で本件文書3を見分したところ、「その他(診察不要の理由・診察のための移送の経過)」の欄には、単に○○保健所が調査により把握した事実関係が記載されているのみで、「事前調査の結果診察の要否」の欄には、当該事実関係から当然に導かれる結果が記載されているに過ぎない。
したがって、これらの欄には、診察の要否の判断の基準が明らかとなるような記載はされていないから、これらの記載を開示しても、実施機関の業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない。
以上のことから、本件文書3で不開示とされている情報は開示することが相当である。
審議会において見分したところ、本件文書4は、○○健康福祉センターのDV相談員が異議申立人との来所相談の内容を記した記録であり、面接者欄に記載されている嘱託職員であるDV相談員の姓が不開示とされている。
この情報は、上記(2)アで判断したとおり、条例第17条第6号ハに該当するから不開示とすることが妥当であり、開示すべき特段の理由も認められない。
したがって、この部分につき不開示とすることが相当である。
審議会において見分したところ、本件文書5は、○○健康福祉センターで行った異議申立人の精神保健福祉相談(心の健康相談)の内容についての記録であり、相談に従事した異議申立人以外の第三者の姓及び同人の所属機関に関する情報が不開示とされている。
これについて実施機関は、開示請求者以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる情報が含まれているため、条例第17条第2号により不開示としたと説明する。
そこで検討するに、不開示とされている情報は、全体として審査請求人以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものであり、条例第17条第2号の不開示情報に該当し、同号ただし書きイ~ニに該当する特段の事情も認められない。また、条例第18条第2項の部分開示の可能性について検討すると、第三者の姓を除いて開示しても、当該第三者の権利利益が害される恐れがないとまでは言うことはできないから、条例第18条第2項の規定による部分開示をすべきとは認められない。
したがって、本件文書5で不開示とされている情報は、条例第17条第2号に該当するから不開示とすることが相当である。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成27年4月2日 |
諮問書の受理 |
平成27年7月15日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成29年3月28日 | 審議(平成28年度第7回第2部会) |
平成29年4月25日 |
審議(平成29年度第1回第2部会) |
平成29年5月30日 | 審議(平成29年度第2回第2部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
石井徹哉 |
千葉大学副学長 |
ー |
中曽根玲子 |
國學院大學専門職大学院法務研究科教授 |
部会長 |
藤岡園子 |
弁護士 |
部会長職務代理者 |
本件文書番号 |
本件文書名 |
不開示部分 |
不開示理由 |
---|---|---|---|
1 |
電話相談記録票(午前) |
「課員」欄及び「受付者」欄 |
条例第17条第6号該当 |
2 |
精障害者等の保護通報書 |
「保護の事由」欄 |
条例第17条第6号該当 |
3 |
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による精神障害者の申請・通報等の結果について(報告) |
「事前調査の結果診察の要否」の項目欄及び「その他」の項目欄 |
条例第17条第6号該当 |
4 |
来所相談記録票 |
「面接者」欄 |
条例第17条第6号該当 |
5 |
精神保健福祉相談(心の健康相談)実施報告書 |
「従事者」欄の記載の一部 |
条例第17条第2号該当 |
答申第185号(平成29年6月23日付け)(PDF:184KB)
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