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更新日:令和5(2023)年8月3日
ページ番号:23260
答申第185号
平成17年2月28日
千葉県教育委員会
委員長伊藤潔様
千葉県情報公開審査会
委員長大田洋介
異議申立てに対する決定について(答申)
平成15年9月1日付け国府台第162号による下記の諮問について、次のとおり答申します。
記
平成15年8月8日付けで提起された平成15年6月10日付け国府台第109号で通知した行政文書不開示決定に係る異議申立てに対する決定について
諮問第260号
答申第185号
|審査会の結論|異議申立人の主張要旨|実施機関の説明要旨|審査会の判断|審査会の処理経過|
第1 審査会の結論
千葉県教育委員会(以下「実施機関」という。)は、本件決定(千葉県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定により開示請求に係る行政文書の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否した部分を除く。)で不開示とした出勤簿に記載された情報のうち、各日付欄の休暇に関する表示、各種別欄の休暇日・時数の月計・累計に関する記載(休暇の取得がない場合であって各日付欄から推知される情報を除く。)並びに服務整理簿に記載された情報(様式として印字された部分の情報、申請欄外の職・氏名、申請欄の職免に係る記載事項のうち、決裁者の印影、届出事項の月日、日時数、休暇等の種別の記載、届出者職氏名の記載及び印影を除く。)は、不開示とすることが相当であるが、その余の情報は開示すべきである。
また、本件決定のうち存否応答拒否により行った不開示決定については、これを取り消すべきである。
第2 異議申立人の主張要旨
1 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、実施機関が平成15年6月10日付け国府台第109号で行った「出勤簿(3件)、服務整理簿(3件)、週休日の指定簿(2件)、職務専念義務免除承認願」(以下「本件文書」という。)の行政文書不開示決定(以下「本件決定」という。)の取消しを求めるというものである。
2 異議申立ての理由
異議申立ての理由は次のとおりである。
(1) 県立高校の学校長職は公職にほかならない。学校長の勤務の所在の情報を請求したのであって、個人に関する情報を求めたわけではない。不開示の理由は妥当ではない。
(2) 唯一開示された「旅行命令簿」のみでは学校長の勤務の所在が確認できない。「旅行命令簿」では早退時間の確認が不可能である。
(3) 県民として、保護者として県立高校の学校長がきちんと職責を果たしているか否かの情報を得られないことに疑問がある。
第3 実施機関の説明要旨
本件開示請求は、平成15年5月6日付けで「県立国府台高等学校長の勤務状況がわかるすべての文書出勤簿・旅行命令等」を請求する内容として、実施機関あてに行われたものである。実施機関は、出勤簿、服務整理簿及び週休日の指定簿については、個人に関する情報であって、特定個人を識別することができる情報であるため、条例第8条第2号に該当するとして、職務専念義務免除承認願については、本件請求は個人名を挙げてなされたものであり、開示請求に係る文書の存在を答えること自体が、特定の個人が職務専念義務免除承認願を提出しているかどうかを明らかにすることになり、条例第8条第2号により保護しようとする権利利益を侵害するため、条例第11条の規定に該当し、当該文書の存否を答えることはできないとして不開示決定を行ったものである。
1 条例第8条第2号該当性について
(1) 条例第8条第2号は、個人の権利利益を厳格に保護するため、特定の個人を識別することができる情報を一律に不開示とすることを定めたものである。
しかしながら、公務員に関する情報は、本号ただし書ハにより「当該情報がその職務の遂行に係る情報であるとき」に、当該職員の「職」及び「職務遂行の内容」について開示されるものであり、公務員が実施機関の職員である場合には、条例第8条第2号又は第3号に該当する情報について開示の特例を定める条例(以下「特例条例」という。)第2条第1号が重ねて適用され、氏名も開示されるものである。
よって、出勤簿が、その担任する事務を遂行する場合における当該活動についての情報であるか検討すると、出勤簿は、職員の監督者が職員の人事管理のため、その出勤状況を把握する目的で作成されるもので、出勤した場合における押印からは、職員が当該期日において、出勤をした、あるいは休暇等を取得したという状況が判明するのみであり、そこから個々の職員の具体的な職務の遂行と直接関連を有する情報が判明するものではないため、本号ただし書ハの公務員の職務遂行情報には該当せず、不開示とすることができる情報である。
(2) 服務整理簿は、職員が休暇を取得する場合に記載するものであり、本書からは、いかなる種類の休暇を何日間取得したかなどの情報が判明するものである。休暇の取得状況は、個人の私生活に関する情報であり、特定個人が識別され得る情報であることから、本号に該当する。
また、本書中の職名及び氏名は、職員の職務遂行に係る情報として記載されているものではないので、不開示とすることができる情報である。
(3) 週休日の指定簿には、職員が夏季、冬季休業日等の期間に指定された週休日が記載されているものであり、職員の職氏名が記載され、個々の職員ごとに作成されるものであるから、個人に関する情報であって、特定個人が識別されるものである。週休日の指定簿から判明する情報は、一般職員の土曜日、日曜日に相当する日が、当該職員に対し、いかなる期日に指定されているかということであり、これは当該職員の私生活に関する情報であると考えられ、当該職員の職務遂行に係る情報ではなく、また具体的な職務の遂行との直接の関連を有する情報ではない。
よって、当該指定簿は、本号ただし書ハに該当せず不開示とすることができる情報である。
(4) 職務専念義務免除承認願は、日付、あて名、所属名、職氏名、期間又は期日及び理由が記載されているものである。職員が、職務専念義務免除の承認を受けた時期や時間、その理由等は、職務と直接関わりのない個人に関する情報であり、学校名、氏名はもとより、職務専念義務免除の承認を受けた時期や日時等からも特定の個人が識別され得るものである。上記(1)で検討したとおり、本号は、職務遂行情報を除き、公務員についても別異に扱っていないことから、職務専念義務免除承認願は、個人に関する情報であって個人を識別できるものに該当する。
さらに、職務専念義務免除承認願は、公務に関わりのない個人に関する情報であることから、承認を申請したかどうかという事実も個人に関する情報であると考えられる。
2 条例第11条該当性について
本件請求は特定個人を識別した上でなされたものであることから、職務専念義務免除申請がされているかどうかを答えることによって個人情報が判明することになる。
よって、存否応答拒否により不開示決定を行ったものである。
第4 審査会の判断
当審査会は、異議申立人の主張及び実施機関の説明並びに本件文書(職務専念義務免除承認願を除く。)をもとに審査した結果、以下のように判断する。
1 本件文書について
本件文書は、千葉県立国府台高等学校が作成した平成13年度、14年度及び15年度の同学校長の「出勤簿」、「服務整理簿」、「週休日の指定簿」及び「職務専念義務免除承認願」であり、その内容は以下のとおりである。
(1) 出勤簿について
ア 出勤簿は、県立高等学校管理規則(昭和54年千葉県教育委員会規則第1号)第64条により校長が作成し、職員の出張、研修、職務専念義務の免除、休暇、週休日、代休日、育児休業、部分休業及び欠勤について、その旨を記載しなければならないとされている。また、県立学校職員服務規程(昭和39年千葉県教育委員会訓令第5号。以下「服務規程」という。)第6条では、職員は所定の時刻までに出勤し、出勤簿に押印しなければならないとされ、出勤の際に押印した職員本人の印影が記録されるほか、「県立高等学校管理規則の運用について(昭和54年7月6日付け教高第143号)」において示された記載事項、休暇の日数及び時数並びにその他必要とする事項を表示するものとされている。
イ 出勤簿には、その記載欄として職・氏名の欄、4月から3月までの日付の表示された押印の欄(以下「各日付欄」という。)及び種別ごとに集計を記載する欄(以下「各種別欄」という。)のそれぞれがあることが認められる。
ウ 各日付欄には、それぞれの日付の欄に本人印が押印されるほか、休暇の取得など職員の勤務態様により、年次休暇は年休、特別休暇は特休、職務専念義務の免除は職免とそれぞれ略号を用いて表示すべき項目が記載される。
エ 各種別欄には、各月の「勤務すべき日数」、「出勤日数」、「出張日数」(平成15年度にあっては、「出勤日数」の内訳として「在校日数」と「出張日数」)、「休暇日・時数」の内訳として「年次休暇」、「療養休暇」、「特別休暇」(平成15年度にあっては、さらに特別休暇の内訳としての「夏季」及び「その他」)及び「看護休暇」の月計及び累計(15年度にあってはさらに「その他」が付加される。)、「研修日・時数」、「職免日・時数」(平成15年度にあっては、「職免日・時数」の内訳として「研修」、「厚生」及び「その他」)、「欠勤日・時数」並びに「育休日・時数」、平成13年度にあっては、さらに「指定時間数」が付加される区分となっており、この区分ごとに日数又は時数を記載するものである。
(2) 服務整理簿について
服務整理簿は、職員の勤務時間、休暇等に関する規則(平成7年千葉県人事委員会規則第2号)に基づいて職員が休暇を取得する場合、その請求する期間、理由等所要事項を記載して校長に請求するものとされ、服務規程第11条により所定の様式が規定され、年次休暇前年度繰越日数、職及び氏名を記載するほか、決裁印、届出月日、届出事項の月日、日時数、休暇等の種別及び理由、届出者の職及び氏名印並びに取扱者印の各欄(以下「届出欄」という。)で構成され、請求順に記載するものである。
(3) 週休日の指定簿について
教育職員の週休日(勤務時間を割り振らない日をいう。)は、日曜日及び休業土曜日のほか、学校職員の勤務時間に関する規則(平成7年千葉県教育委員会規則第6号)第2条の規定により、校長が教育職員ごとに毎52週間につき、夏季、冬季等の休業日に勤務時間112時間に相当する日を指定するものとされている。週休日の指定簿は、学校職員の完全週休2日制の実施について(通知)(平成7年3月31日付け教高第311号)の第5により様式が指定され、所属名、職名、氏名、当該年度及び期間を記入する欄並びに「指定の日時と時間数」、「新たに勤務を命ずる日時と時間数」、「変更後新たに指定する日時と時間数」及び「備考」欄の表で構成され、週休日の指定を行ったときは、週休日の指定及び指定の変更に関する事項を記載するものである(平成14年千葉県教育委員会規則18号により制度改正済。)。
(4) 職務専念義務免除承認願について
職務に専念する義務の特例に関する条例(昭和26年千葉県条例第22号)第2条の規定により、職員が職務専念義務免除を受けようとするときは、職務専念義務免除承認願を校長に提出し、その承認を受けるものである。服務規程第18条により所定の様式が規定され、日付、あて名、所属、職氏名、期間又は期日及び理由により構成されている。
2 条例第8条第2号該当性について
実施機関は、職務専念義務免除承認願を除く本件文書には、特定の職員の氏名と、その出勤及び休暇等の状況に関する情報が記載されており、いずれも特定職員の職・氏名の記載と結びついているので、特定の個人が識別される情報であり、その内容は、条例第8条第2号に該当すると主張していることから、本件文書に記載された情報ごとにその該当性を検討するものとする。
(1) 出勤簿について
ア 職名及び氏名欄に記載されている情報は、各欄に記載された情報と結びついており、特定の個人が識別される情報ということができる。
しかしながら、条例第8条第2号ただし書ハは、識別される個人が公務員である場合で、その情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、公務員等の「職」及び「職務遂行の内容」について、不開示情報から除外し、開示するものとしており、また、特例条例第2条では、職員の職務遂行に係る県の機関に属する職員の氏名については、条例第8条第2号の規定にかかわらず開示するものとされている。
したがって、職名及び氏名は、次のイ、エ、オ、カ及びキに述べる職務遂行に係る情報と結びついているので、条例第8条第2号ただし書ハ及び特例条例第2条に該当し、条例第8条第2号に該当しないと判断する。
イ 出勤簿に記載されている事項のうち、各日付欄の出勤を示す印影は、職員が当該日に出勤し、職務に従事していたことを示すものであること、出張の表示及び各種別欄の出張日数の記載は、職務命令を受けて職員が当該日に用務先に出向いて用務に従事していたこと及びその日数を示すものであること、各種別欄の研修に係る記載は、職務の遂行に必要な知識、技能等を習得するために研修に参加していたこと及びその日数を示すものであり、職務命令を受けて行われるものであること、また、各種別欄の勤務すべき日数及び出勤日数の記載は、当該職員がその月に出勤すべき日数と勤務実績日数であることから、これらの情報はいずれも当該職員の職務遂行の内容に関する情報であると認められ、条例第8条第2号ただし書ハに該当し、同号に該当しないと判断する。
ウ 年次休暇等の個々の休暇の取得に関する記載は、職員の健康、生活の方針など職員の私生活に関わる情報であり、休暇の種別、その取得の時期及び原因等の取得状況を示す情報は、いずれも当該職員の具体的な職務の遂行と直接関連を有する情報ではなく、条例第8条第2号ただし書ハに規定する職務遂行に関する情報には該当しないため、同号に該当すると判断する。
したがって、各日付欄のこれら休暇の表示、各種別欄に記載された休暇日・時数の部分は、当該職員の職務遂行の内容に関する情報とは認められないため、条例第8条第2号ただし書ハに該当せず、また、ただし書イ及びロにも該当しないため、同号に該当すると判断する。
なお、これらの休暇の取得日数については、当該欄に記載のないときに開示し、あるときに不開示とした場合、各日付欄の情報と比較することにより、不開示とするべき情報が容易に推知されることとなるので、原則として記載のない欄も含めて不開示とすることもやむを得ないと認められるが、月ごとの各日付欄において、これらの休暇の取得が認められない場合は、その記載から各種別欄の個々の記載内容が、取得していないことが当然のこととして推知され得るものであり、開示すべきである。
エ 職務専念義務免除は、健康診断の受診、厚生に関する行事への参加等、特定の事由により本来の職務への従事を免除されるものであって、職務専念義務免除を受けた場合はその旨表示される。各日付欄の職免の表示及び各種別欄の記載については、職員が職務専念義務を免除された事実を示す情報にすぎず、免除の日が公にされたとしても、免除された日における職員の行為が具体的に明らかになるものではなく、その記載については、いずれも当該職員の職務遂行に関する情報と捉えることが妥当であると認められ、条例第8条第2号ただし書ハに該当する。
したがって、各日付欄の職免の表示及び各種別欄の記載は、同号に該当しないと判断する。
オ 週休日は、休業とならない土曜日について、夏季・冬季休業日等の間に勤務時間を割り振るために指定するもので、勤務を要しないとして当該週休日とされた日の情報は、勤務日の職務遂行の反面として明らかにされる情報であると認められ、週休の表示並びに各種別欄の指定時間数の記載は、条例第8条第2号ただし書ハに該当し、同号に該当しないものと判断する。
カ 週休日又は休日の振替日については、校長が学校運営上特に勤務を命ずる必要がある場合に、勤務日を週休日又は休日に変更するものであり、当該振替日は職員の勤務日と密接な関係があり、職務遂行に係る情報であるということができるので、振替の表示については、条例第8条第2号ただし書ハに該当し、同号に該当しないものと判断する。
キ 欠勤に係る記載は、職員が命令、許可又は承認を得ることなく、職務に従事していないことを示すものであり、欠勤の理由は様々であるところ、その記載自体は欠勤の具体的な理由を表すものではないことから、その記載については、当該職員の職務遂行に関する情報と捉えることが妥当であると認められ、条例第8条第2号ただし書ハに該当すると判断する。
ク 地方公務員の育児休業に関する法律に基づく育児休業及び部分休業に係る情報は、前記ウと同旨により職務の遂行に係る情報であるとは認められず、その記載については、条例第8条第2号ただし書ハに該当せず、同号に該当すると判断する。
ケ なお、各日付欄には、出勤の押印と時間単位の休暇についての休暇の種類を示す略号及び同休暇の使用時数とが重ねて記載された部分がみられるが、当該部分は、不開示情報が記録されている部分をそれ以外の部分から容易に区分して除くことができないものである。
(2) 服務整理簿について
ア 服務整理簿の届出欄外に記載された職及び氏名は、次のオ及びキに述べる職務遂行情報に係る情報と結びついているので、前記(1)アと同旨により開示すべきである。
イ 年次休暇前年度繰越日数の記載は、職員の前年度における休暇の取得状況を示すことから、当該職員の私生活の内容に関わるものであり、職務遂行に係る情報とは認められず、条例第8条第2号ただし書ハに該当せず、同号に該当すると判断する。
ウ 届出欄には、年次休暇等の休暇、職務専念義務免除(県立学校職員の厚生計画に係るもののうち、特に服務整理簿により処理することとされたものに限る。以下「厚生職免」という。)を請求する際の所要事項が、当該職員により記入・押印され、請求順に記載されている。届出月日及び届出事項の内訳としての月日、日時数、休暇等の種別及び理由の各欄に記載された情報は、当該職員がいつ、どのような休暇を取得しようとして、いつ請求し、その請求が承認されたかなどが明らかになるものである。これらの情報は、職員の健康や生活方針など私生活の内容に関わるものであって、職務とは直接関わりのない事柄であり、公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるとはいえないことから、条例第8条第2号ただし書ハに該当せず、同号に該当すると判断する。
エ また、届出月日及び届出事項の各欄のうち記載がある欄を不開示とし、記載がなく空白となっている欄を開示することとした場合には、休暇の取得月日及び日数そのものは明らかにならないものの、記載されている欄の数からおおよそ当該職員の休暇の取得状況が明らかになることになる。
なお、年次休暇は、時間単位で取得することができることから、時間単位で取得することが比較的多い者は、日数に換算するとそれほどにはならないものの、記載されている欄の数が多くなるため、記載されている欄の数だけ捉えて年次休暇を多く取得している者であるかの憶測を招くことも考えられる。
したがって、記載部分だけでなく未記載部分を含め、届出欄の数それ自体についても、当該職員の休暇の取得状況が推測され、その取得状況自体が条例第8条第2号の個人に関する情報に該当するものと認められるため、未記載部分を含めて各欄すべてが同号に該当すると判断する。
オ 決裁印欄に押印されている印影は、校長が当該職員の休暇等の承認の可否を決定するために押印したものであり、また、取扱者印欄は、担当職員が確認のため押印するもので、職務遂行に係る情報であるということができる。
しかし、決裁印及び取扱者印欄が押印されていない空白部分を含め開示した場合、前記エと同旨により当該職員の年次休暇等の取得状況を開示することとなるため、これらは条例第8条第2号に該当するものと認められる。
カ 届出者欄の職、氏名印は、当該職員が年次休暇等を請求する際に、記名押印したものであり、当該職員個人を識別することができるものではあるものの、職員の職、氏名は開示されること、印影については職務において通常使用しているものと推察されることから、開示すべきである。
しかし、記入されていない空白の部分を含め開示した場合、前記エと同旨により当該職員の年次休暇等の取得状況を開示することとなるため、これらは条例第8条第2号に該当すると認められる。
キ なお、服務整理簿に記載された情報のうち、職務専念義務免除に係る届出の部分については、前記(1)エと同旨により職務遂行に関する情報であり開示すべきである。
しかし、理由の欄に記載された承認事由については、職務専念義務免除の個別的内容を明らかにしているものであり、職務遂行に係る情報とは認められず、条例第8条第2号ただし書ハに該当せず、条例第8条第2号に該当すると判断する。
(3) 週休日の指定簿について
週休日の指定簿は、職員ごとに休業土曜日以外の土曜日について、校長が夏季、冬季等の休業の期間に勤務時間112時間に相当する週休日を指定するためのもので、指定の日時と時間数が記載されている。所属名、職名及び氏名については、前記(1)アと同旨により、また、この週休日の指定簿に記載された情報については、前記(1)オと同旨により職務遂行に係る情報であると認められ、条例第8条第2号ただし書ハに該当し、同号に該当しないと判断する。
3 条例第11条該当性について
職務専念義務免除承認願は、職務に専念する義務の特例に関する条例第2条の規定により、職員が職務専念義務免除(厚生職免を除く。)の承認を受けるため校長に提出し、その承認を受けるものである。
実施機関は、本件文書のうち職務専念義務免除承認願について、本件請求が職員を名指しした請求であることから、その存否を答えることにより不開示とすべき情報が明らかになるとして、条例第11条を適用して存否応答拒否を行った。
しかし、前記2(1)オで検討したとおり、職務専念義務の免除を受けたという情報は、条例第8条第2号に該当しないものであるが、職務専念義務免除承認願を提出したかどうかという事実についても、同様に当該職員の職務遂行に関する情報と捉えることが妥当と認められ、同号ただし書ハに該当し、同号に該当しないと判断する。また、当該事実は同条中他の号にも該当するとは認められない。
したがって、本件文書のうち職務専念義務免除承認願について、本条を適用する根拠はないものと判断する。
4 結論
以上により、本件文書を不開示とした本件決定(条例第11条の適用により存否応答拒否を行った決定を除く。)について、出勤簿に記載された情報のうち、各日付欄の休暇に関する表示(出勤の押印と時間休暇の表示が重ねて記載されている場合を含む。)、各種別欄の休暇日・時数の内訳としての年次休暇・療養休暇・特別休暇・看護休暇・その他の月計・累計に関する記載(休暇の取得がない場合であって各日付欄から推知される情報を除く。)並びに服務整理簿に記載された情報(様式として印字された部分の情報、申請欄外の職・氏名の記載、申請欄の職免に係る記載のうち届出事項の月日、日時数、休暇等の種別の記載、届出者職氏名の記載及び印影を除く。)は、不開示とすることが相当であるが、その余の情報は開示すべきである。
また、本件決定のうち存否応答拒否により行った不開示決定については、これを取り消すべきである。
第5 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。
別紙
年月日 |
処理内容 |
---|---|
15年9月1日 |
諮問書の受理 |
15年10月15日 |
実施機関の理由説明書の受理 |
16年7月30日 |
審議 |
17年2月24日 |
審議 |
(参考)
氏名 |
職業等 |
備考 |
|
---|---|---|---|
大田洋介 |
城西国際大学非常勤講師 |
部会長 |
|
大友道明 |
弁護士 |
|
|
瀧上信光 |
千葉商科大学教授 |
部会長職務代理者 |
|
横山清美 |
環境パートナーシップちばアドバイザー |
|
(五十音順:平成17年2月24日現在)
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