答申第378号
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答申の概要(答申第378号:諮問第456号)
実施機関
千葉県警察本部長(警務部監察官室)
事案の件名
表彰台帳の行政文書部分開示決定にかかる審査請求に対する裁決について
対象文書
- 種類:表彰台帳(千葉県警察の表彰に関する訓令第27条に規定された様式)
- 情報:番号、表彰年月日、被表彰者の階級氏名又は部署名、功労の概要、副賞等の欄で構成されている。
不開示条項
条例第8条第2号及び3号
請求に対する決定
部分開示
原処分
- 不開示部分
団体の代表に関する記述(不開示部分1)、団体の名称(不開示部分2)
- 不開示理由
個人に関する情報であって特定の個人を識別することはできる情報であるため(2号)
法人に関する情報であり、公にすることにより競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため(3号)
申立年月日
平成23年5月8日
諮問年月日
平成23年6月1日
答申年月日
平成25年4月26日
審査会の判断
実施機関の決定は妥当である。
- 条例第8条第2号本文該当性について
本件不開示部分1は、それだけでは特定の個人を識別することができる情報であるとは言えないが、本件不開示部分2に記録された情報等と照合することにより特定の個人を識別することができる情報であると認められる。
また、本件不開示部分2については、事件に関係した団体の名称が記録されている。一般的に団体の名称から個人を識別することはできないが、特定の集団に関する情報を開示することにより、当該集団に属する個々人に不利益を及ぼすおそれがある場合があり、情報の性質、集団の性格、規模等から、個人識別性を認めるべき場合がある。
本件の場合、当該団体は事件に関係した団体であり、当時の団体関係者が複数逮捕等されている。当該団体名は、事件の関係者にとっては、当時当該団体に属していた構成員を容易に連想することができる情報である。
また、その個々人が逮捕等されたという情報は、個人の犯罪歴として秘匿性の高い情報であり、個人の権利利益の保護を図る観点から、上記の個人識別性を認めるべき場合に該当すると認められる。
- 条例第8条第2号ただし書イ該当性について
(1)過去の報道記事について
捜査機関によって、一定の範囲で被疑者等に関する情報が発表されて、その内容が報道され、あるいは、公開の法廷で行われた刑事事件の裁判が傍聴されて、その内容が報道されることがあっても、それは、捜査機関が公益上の必要性から一定の範囲で捜査及び処分の内容を明らかにし、あるいは、裁判の公正と司法権に対する信頼を確保するという観点からされているものであって、その限度において被疑者・被告人のプライバシーは一定の制約を受けざるを得ないものの、それを超えてあらゆる場面において刑事事件の被疑者等に関する個人情報が公にされていると言うことはできない。
また、過去の一時点において公表されたそのような情報については、時間の経過に伴い社会一般の関心や記憶が薄れ、次第に公衆が知りうる状態に置かれているとは言えなくなっていくとともに、個人の犯罪歴として秘匿性の高い情報であることから、その権利利益を守る必要性が増していくと考えられる。
したがって、本件不開示部分が過去に報道等で公表されたものであるとしても、そのような事実をもって、当該情報が条例第8条第2号ただし書イに規定する法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報とは認められない。
- 条例第8条第3号該当性について
条例第8条第2号及び第3号に該当するとして、本件不開示部分2を開示しないとした本件決定については、同条第3号について判断するまでもなく、上記のとおり同条第2号本文に該当し、それぞれのただし書にも該当しないことから、開示しないとすることが妥当であると判断する。
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