答申第360号
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答申の概要(答申第360号:諮問第427号)
実施機関
教育委員会(教職員課)
事案の件名
学校職員の懲戒処分について(議案・通知)の起案文書(平成17年4月から平成21年8月まで)の行政文書部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について
対象文書
- 種類:学校職員の懲戒処分について(議案・通知)の起案文書
- 情報:当該者の氏名、当該者が所属していた県立高等学校、公立中学校又は小学校の名称、被害にあった生徒の学年、非違行為が行われた年月日、曜日、時刻及び時期、当該者の具体的な行動等
請求に対する決定
部分開示
不開示条項
条例第8条第2号
原処分
- 不開示部分:被処分者の氏名、当該者が所属していた県立高等学校、公立中学校又は小学校の名称、被害にあった生徒の学年、非違行為が行われた年月日、曜日、時刻及び時期、当該者の具体的な行動等
- 不開示理由:個人に関する情報であって特定の個人を識別することができる情報であるため、又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある情報であるため(2号)。
申立年月日
平成21年11月30日
諮問年月日
平成22年2月26日
答申年月日
平成24年3月30日
審査会の判断
- 実施機関は不開示とした情報のうち次に掲げるものを開示すべきである。
(1)別表2及び3に掲げるもの
(2)別表7に掲げるもの(上記(1)を除く。)
- また、実施機関は、平成21年8月24日付け行政文書開示請求書の開示請求する行政文書の件名又は内容の欄を「2005年4月から2009年8月の間に、教育委員会において行なわれたセクハラ処分に関わる事件の概要(内容)と処分量刑が分かる文書全て。」とする開示請求(以下「本件請求」という。)があった時点において、保存されていた報道機関に対する発表のための資料(以下「報道発表資料」という。)を本件請求の対象となる行政文書として特定し、改めて開示決定等をすべきである。
- 実施機関のその余の決定は妥当である。
- 条例第8条第2号該当性について
(1)条例第8条第2号本文該当性について
それぞれの文書の全体が当該者に係る条例第8条第2号本文に規定する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名その他の記述により特定の個人を識別することができるものに該当すると認められる。
(2)条例第8条第2号ただし書イ該当性について
ア審査会において、実施機関から、本件請求とは別の開示請求の対象となる行政文書として、廃棄が実施されていなかった本件対象文書に係る懲戒処分の事案の千葉県ホームページに掲載した資料の提示を受け、その内容を確認したところ、当該事案の一部については、懲戒処分のあった当日に、実施機関において、当該者の職名、非違行為が行われた年月日及び場所等が千葉県ホームページに掲載されていたことが認められる。
イ懲戒処分の事案に係る公表と条例第8条第2号ただし書イの関連性については、過去の一時点において事案の概要が公表された場合、当該概要のうち、当該者をだれであるかの部分を除いた部分、すなわち非違行為の客観的態様の部分については、時の経過を考慮する必要性が乏しいことから、特段の事情がない限り、開示決定等の時点においても慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報であると認められる。しかしながら、当該者がだれであるかという情報については、公表の時点から時間が経過するに従い、非違行為の事案に対する社会的影響、社会一般の関心、記憶は薄れ、報道の媒体、報道した年月日が特定されない限り、次第に公衆が知り得る状態に置かれているとは言えなくなっていくと認められる。また、非違行為の事案を起こした職員個人の識別、特定に関する情報及び処分の内容に係る情報は、当該個人についての処分歴として秘匿性の高い情報であることから、その権利利益を守る必要性が増していくと認められる。それゆえ、公表後、相応の時間が経過したような場合においては、公表された情報のうち、当該者がだれかに関する情報及び処分歴に係る情報は、慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報に該当しないと解するのが相当である。
(3)条例第8条第2号ただし書ロからニまでの該当性について
ア条例第8条第2号ただし書ロ及びニ該当性について検討すると、当該条項に該当するとは認められない。
イまた、条例第8条第2号ただし書ハ該当性について検討すると、被処分者が公務員であり、当該事案の中に当該者の職務に係る部分が含まれるとしても、懲戒処分を受けることは、当該者に分任された職務を遂行する内容に係る情報とは言えないことから、本件対象文書で不開示とした部分に記載されている情報が当該条項に該当するとは認められない。
- 条例第9条第2項の部分開示の可否について
(1)本件対象文書には、被処分者が所属していた県立高等学校、公立中学校又は小学校の名称、当該者の職名、氏名、年齢及び氏、振り仮名、旧姓使用、旧姓、生年月日、住所、本籍地、採用、任用替、給与期間及び学歴、級、号給、生徒の氏名並びに証人の氏名が記載されている。これらの記載されている情報は、当該者を識別することができることとなる記述であり、同項に規定する特定の個人を識別することができることとなる記述の部分に該当すると認められるので、部分開示の対象とすることはできず、不開示としたことは妥当である。
(2)しかしながら、本件対象文書に記載されている情報のうち当該者がだれであるかを特定することができない情報は、これを公にしても当該者の権利利益が新たに追加的に害されるおそれがないので、条例第9条第2項の規定により、部分開示すべきである。
- 本件請求の対象となる行政文書の特定について
(1)本件請求は「事件の概要(内容)と処分量刑が分かる文書全て」を請求していると認められる。
(2)実施機関は、本件対象文書に係る懲戒処分の事案について、報道発表資料が作成され、その保存期間は1年とされていると説明する。そうすると、本件請求があった時点において、報道発表資料の一部は廃棄されている可能性があるが、一部は保存されていたと考えられる。
(3)したがって、実施機関は、本件請求があった時点において、保存されていた報道発表資料を本件請求の対象となる行政文書として特定し、改めて開示決定等をすべきである。
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