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更新日:令和6(2024)年2月19日
ページ番号:6043
像高32.0センチ
善光寺式阿弥陀如来の左脇侍にあたる。八角形の筒形宝冠をつけ、宝冠の正面に拱手する立像化仏、ほかの七面には唐草文様を表わす。頭髪は地髪部と頭頂宝冠内の髪部に毛筋を表わす。耳朶は環状貫通し、三道を刻出する。胸前で左掌を仰ぎ、右掌をこれに重ね、直立する。
天衣、条帛、裾、腰布を各着ける。天衣は両肩に懸かり肘の内側に沿って垂下し、膝前を二段にわたり肘に懸かって垂下する形となるが、両肘外側の垂下部は省略される。千葉県下では酒々井町の清光寺像が本像と同様に天衣を懸けるが、ほかの善光寺式阿弥陀脇侍像は、両肩から垂下する天衣が肘の上面に懸かり、その内側から体側に垂下する形(肘以下は多く省略される)に表わされるものが多く、珍しい形式といえる。また、裾は像の正面中央で打合せるが、通常正・側・背面の四方に表わされるその折返しが、本像では正面中央で左右に分けられるという特異な衣制をみせているのも注目される。腰布は背面に大きく表わされ、正面では裾の折返しの下に隠される。
本像は頭・体部を通して一鋳で造られ、後頭部に型持の痕跡と思われる方形の孔がある。裙裾の背面に「大施主真性藤原氏」の陰刻銘があるが、後銘である。
本像は随所に火中痕が残り、やや像容を損ねているものの、控えめながらも引き締まった適切な肉付けがなされており、ことに宝冠の精刻な文様には賞すべき技量がうかがえる。その造立は鎌倉時代末頃と推測される。
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