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更新日:令和6(2024)年2月19日
ページ番号:6053
像高53.0センチ
髻を結い、宝冠を戴いて両肩を衣で覆う形式の像。
腹の前で結ぶ印相の上方が欠けているが、宝冠阿弥陀如来像とみてまず間違いない。
宝冠阿弥陀には天台系の常行三昧堂本尊像と真言系の紅披璃法本尊像の二種あるが、いずれとも決しがたい。
体部は両肩を含む上半身全体をカヤの一材(中央に木心をこめる)から造り、脚部に別に一材(木心を下方にはずす)を矧ぎ寄せる構造で、いずれも内刳りをほどこさない。
着衣や宝冠の下に通常あらわされる天冠台(この像では背面だけに表わされる)などの表現に省略、矛盾する部分があり、表現に正確さを求めない地方的な造像環境をうかがうことができる、しかし両脇腹部で衣文を一度尖らせる装飾的な衣文表現など、造形的には魅力があり、この地域の文化水準の高さを示すものといえよう。
体部のたっぷりりとした肉付きと、深く組む脚の形に平安前期の一木彫像の伝統を色濃く残すが、穏和な容貌や衣文の彫りが浅い点に、11世紀の京都における和様彫刻完成期の波を受けていることがうかがわれる。
製作年代は中央との時間差を考慮に入れて11世紀半ば前後とみてよかろう。
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