ここから本文です。
ホーム > 教育・文化・スポーツ > 歴史・文化 > 文化・文化財 > 文化遺産 > 彫刻・絵画・工芸品など > 彫刻 > (南房総市)木造毘沙門天立像
更新日:令和6(2024)年2月19日
ページ番号:6052
像高29.3センチ
髻を結い、瞋目、開口して威嚇の相をみせる。左手は肘を立てて宝塔を支える形に表わす。腰を左に捻り、右足を踏み出して立つ。着甲して腹帯を締め、大袖の先を結ぶ。裙の裾は背面に大きく垂れ、袴をはき脛当てを着け、沓を履く。この形姿は毘沙門天像には多く見られるものであり、肩から先が失われた右手は、戟を執っていたかと思われる。
檜材の一木造で髻から足先までを一材で彫出し、これに右肩以下、左手首より先を矧ぎ付ける構造になる。現在この矧付け部材は亡失し、さらに左足先を欠失する。面部は玉眼を入れるために仮面状に割矧いでいる。内書刳りは頭部にのみ施される。両足の裏にはほぞを造らず、別製の木釘をさして像を立たせている。また背面の襟の真下には径5ミリメートルの鉄心の残欠が認められ、光背をとりつけたとみられる痕跡をとどめる。
現在表面の彩色はほとんどが剥落しているが、わずかに残る所から、かっては白土地に彩色を塗って仕上げていたとわかる。頭髪に群青、大神の内側に白緑、前盾に緑青、左対辺りに朱、裙には白群を認めることができる。
像は頭部を小さめに造り、左足に重心をとって立つ姿で、均整がとれており動きに破綻がない。体部は上半身から腰にかけて適度な量感があるが、重々しくならないところは時代の感覚が現れているのであろう。表面は摩損等により造形の細部を失っているが、現在の姿からも厳しい念怒相や全身に漲る力強さを看取することができよう。一尺にも満たない小像ながら標準的な毘沙門天の姿を伝えており、制作は鎌倉時代13世紀後半になると考えられる。
関連リンク
お問い合わせ
※内容については、お手数ですが「問い合わせ先」の各市町村へお問い合わせください。
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください