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更新日:令和6(2024)年2月19日
ページ番号:6047
像高39.8センチ、槍の一木より彫成し、膝部にて矧合わされている。そしてその両面には墨書銘が認められ、本像が賓頭盧尊者として永禄6年(1563)6月18日に造立された趣意が知らされる。
『安房志』に「面貌奇怪」と記されるが、比丘形の長頭、目は彫眼。眼窩上縁を強く表現し、眥・頬・額等に数条の皺を線刻している。鼻を大き<あらわし、口は半開して上歯を表現するなど一般の仏像とは印象を異にし、本像が羅漢像であることを窺わせる。
全体に漆が塗布され、眉と瞳はその上から黒漆で描かれている。特に眉は長<顔面いっぱいに表現されて、「白頭長眉」とする賓頭盧尊者の風貌を意識したものとなっている。
僧衣を身につけ左肩から胸にかけて禅僧特有の掛絡を刻む。手は膝上に置いて禅定印を結び悟りの境地に達したことを示している。作風は単調・稚拙で正当な仏師の作とは思われず、銘文等からむしろ彫芸を心得た在地権力層の余芸として考えることの方が妥当と言えよう。
いずれにせよ町内に現存する数少ない中世彫刻の一例として、また墨書銘を伴うことから安房中世史の空自部分を補う第一級の金石文史料として、更にはいわゆる「ビンヅル信仰」の実態を解明する具体的資料として本像存在の意義は大きい。
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