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更新日:令和6(2024)年2月19日
ページ番号:6061
像高35.6センチ
当寺の本尊である。頭部に髻を結い、宝冠・天冠台をつけ、大衣・偏衫をまとう。腹前で定印を結び、袖先と裙先を台座前方にかけて垂下させ、結跏趺座する。通例の如来形像とは異なり禅宗寺院に特有の宝冠釈迦如来像である。
寄木造、玉眼嵌入。頭部は耳後ろを通る線で前後矧とし、胸部肉身を頭部前面材と共木で彫出、襟際に沿って体幹部に差し込む。体幹部は前後二材矧ぎとして、これに両体側材・背面材・袖脇三角材・両脚部材・垂下部材等を各別科矧付けとする。脚部は横木一材製で裏面を刳り上げ、また体幹部前面材より台座と接合するためのほぞを造りだす。現状では、像表面・銅製装飾品・光背・台座を後補とする。
本像は、14,5世紀の鎌倉を中心とした関東地方で多くみられる法衣垂下式の作例である。法衣垂下像は、鎌倉時代後半の入宋・元僧や来朝僧によってもたらされたが、本像の髻部の細やかな表現、天冠台にうねりをもたせる点、さらに法衣垂下部の粘り気を含んだような衣褶の表現も、そうした宋元風の影響を反映したものであろう。また肩幅を広くとり、像の奥行きもあるなど、一尺ほどの小像ながら大らかな身体把握をみせているのは注目される。一方で法衣が台座にかかる部分は、衣の下の蓮弁の起伏を巧みに表現しており、細部にも神経が行き届いているさまがうかがわれる。以上のような特色から、制作年代は14世紀後半までさかのぼると考えられ、町内に伝わる禅宗系彫刻の中の古例であり、総じて保存状態もよい。
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