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更新日:令和6(2024)年2月19日
ページ番号:6059
阿形像:像高165.0センチ
吽形像:像高161.8センチ
等身大の仁王像である。阿形像はやや左を向き、右足をわずかに前方に出して岩座上に立つ。右手は屈臂して持物を握り、左手は垂下して掌を下に向けて五指を伸ばす。吽形像は右手を垂下し、左手は振り上げて持物を執り、左足をやや踏み出して立つ。両像ともかつては金剛杵を執っていたものと思われる。2体とも裙と腰布を着け、正面に結び目をあらわす。
檜材の寄木造で、当初は玉眼を嵌入していたとみられる。構造の大略は、阿形像は頭部を前後三材よりつくり、これに別材の右耳を矧寄せる。体幹部も同様に三材を矧いで、背面の腰以下に一材を足す。右手は肩・肘で矧ぎ、前膊は上下二材を寄せる。左手は肩・手首で矧ぎ、両足は足首で矧ぐ。吽形像は頭部を前後に四対、体部は前後に三材製とし、これに多くの小材を寄せている。面部材は失われているが、頭部の後ろ二材は体幹部材とそれぞれ一材でつくり出す構造になる。また体幹部の前面材は正中で左右に二材を矧合わせている。右手は肩・手首で矧ぎ、体部と肩の接合には丸い雇ほぞを用いる。左手は肘で矧ぎ、両足を足首で矧ぐ。像は全面に布張りを行い、硬地の上に彩色が施される。肉身にはベンガラが塗られているが、現状の彩色は後補のものである。裾の彩色はほとんどが剥落するが宝輪が描かれていた痕跡を認めることができる。
両像とも動勢を抑えた太造りの姿形で、ほとんど腰を捻らず、足の踏み出しもわずかである。また阿形像にみられる忿怒相も怒りの表情が抑えられ、肉付き豊かな両像の上半身にしても誇張は少なく、多くの仁王像のように隆起した筋肉が瘤のようになる表現はみられない。そのなかで裙には衣文を波立つようにあらわして変化をつけ、腰布を着ける点や著しく裙を短くするなどは仁王像のものとしては珍しく、本像の特徴を示している。
その制作は室町時代の前半ごろと考えられるが、本仁王像のような本格的な寄木造の雄作が大門院の仁王門(現存しない)に造立されたこと、そして町内では他に例をみない仁王像として伝存したことが貴重である。
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