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乙像:像高68.8センチ
甲像:像高70.1センチ
大門院の伝来像で本尊厨子の左右に安置される。左手を振り上げる像を甲像、左手は胸脇で持物を捧げる像を乙像と呼ぶこととする。
甲像の概要は次のとおりである。兜をかぶる。口は幾分への字に結ぶ。大袖、鰭袖、袴を着け、着甲し、沓を履く。左手は屈臂して振り上げ、右手は屈臂して腰に当てる。顔をわずかに右へむけ、左足を軽く外に開いて、岩座上に立つ。
一木造りで彫眼とし、現状後補の下地をさらす。頭頂より袴の下方までを一材より彫出し、その下の両足部は別材を矧ぎ付ける。両手は肩、肘で矧ぐ。内刳りは施さない。体幹部材に矧ぐ材は全て後補材に替わり、そのほか像表面、台座、持物も後補である。また、左手先、左足先、光背を亡失する。当初部材には全面に朽損が認められる。面部には彫り直しがなされているようである。
乙像の概要は次の通りである。兜をかぶり、正面に銅製宝冠を着ける。口を一文字に閉口する。服制、甲制は甲像に準ずる。左手は屈臂して左胸脇で持物(現状蓮台のみ浅る)を捧げ、右手は前方に屈臂する。顔を正面に向け、右足を軽く開いて岩座上に立つ。
その構造は甲像に準じる。保存状態もほぼ同様に体幹部材に矧ぐ材の全てを後補とする。さらに後補部には像表面、宝冠、持物(蓮台部のみ)、台座を含む。右肘より先を欠失するほか、持物の蓮台より上部、光背を亡失する。当初部材は甲像と同様に朽損する。
両像は法量や当初部材の状態から見て、一具の二天像(あるいは四天王像のうちの二躯)とみられる。保存状態はかなり悪いものの、本像は当初部の肉取りに柔らかみがあり、腹部の膨らみや脇腹の引き締めも程良くまとめられている。その姿勢は正面観、側面観、背面観ともに動きは少ないもののゆったりとした安定感があり、片足の遊ばせ方や腰の捻りにはしなやかさを感じさせる。総じて両像はおおらかで要を得た造形に仕上げられており、その制作は平安時代後期も11世紀あたりまで遡ると見られよう。町内に残る平安期の一具の天部像の作例として、見過ごせない存在である。
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