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更新日:令和6(2024)年6月7日

ページ番号:673234

落花生品種「おおまさりネオ」の空莢発生を抑制するために

1.はじめに

千葉県が育成したゆで豆用極大粒落花生品種「おおまさりネオ」は、従来の「おおまさり」と比べ株がコンパクトで収穫しやすく、白絹病、茎腐病に強い品種です。
一方、干ばつ時には子実の充実不良(空莢(からざや))が発生しやすいため、注意が必要です。

2.落花生の空莢について

ここでは、莢が十分な大きさに成長しているものの、子実が十分に肥大していない状態のことを空莢と呼びます(写真1)。
空莢はカルシウム欠乏や土壌水分の不足により、発生が助長されるとされています。県内の標準的な落花生栽培圃場では、播種前または生育中に石灰資材が施用されるため、土壌中のカルシウム不足が原因ではなく、圃場の水分不足が主な原因になっていると考えられます。また、一般的に、莢の形成が始まる開花期後20日以降の干ばつは、収量に与える影響が大きいとされています。
注)開花期:圃場全体の半数の株で、1花以上が開花した日

落花生の正常な莢と子実の充実が不十分な莢の写真

写真1正常な莢(左)と子実の充実が不十分な莢(右)

3.降雨や潅水の有無と空莢の発生状況の関係について(令和5年)

調査を行った県内の現地圃場及び千葉県農林総合研究センター落花生研究室圃場(八街市)(表1)における開花期後の降水量や潅水の有無を示すと、表2のようになります。令和5年は7月中旬・下旬に降雨がほとんど無く、ほとんどの圃場で、開花期後20~40日の期間に、降水量が0mmの日が続いたことがわかります。

このような干ばつ状況下でも、潅水設備のあるA、B、D地区の圃場では、この時期に1回当たり26~50mm程度の十分な潅水を行いました。その結果、子実の充実が良く、上実歩合や稔実率が高くなりました(表3)。C地区の圃場も潅水を行いましたが子実重や子実の充実度が低く、これは灌水量が8mmと少なかったためと考えられます。

落花生研究室の5月19日播種では潅水は行わなかったため、7月の干ばつの影響を受けて子実の充実度や収量が低くなりました。一方、落花生研究室の6月8日播種では、播種日以外の栽培条件は5月19日播種と同じですが、子実の充実度、収量が優っています。これは、5月19日播種よりも開花期が12日遅いため、開花期後30日以降に降雨に遭遇し、十分な土壌水分を確保できたためであると考えられます。これらの結果から、落花生の空莢対策として、土壌中の水分を保ち、干ばつに遭遇させない管理が重要であると言えます。

表1調査圃場の耕種概要

表1調査圃場の耕種概要(PDF:34.4KB)(クリックすると大きな表が表示されます)

表2調査圃場の降水量と潅水時期

表2調査圃場の降水量と潅水時期(PDF:35.5KB)(クリックすると大きな表が表示されます)

表3調査圃場の潅水状況、収量及び子実の充実度

表3調査圃場の潅水状況、収量及び子実の充実度(PDF:35.4KB)(クリックすると大きな表が表示されます)

4.おわりに

以上のように、干ばつ条件で「おおまさりネオ」を栽培する場合、子実の充実を促進するため、十分な潅水が必要です。
開花期後20日以降は、圃場の状況を確認し、7~10日に1回、降水量換算で30mm以上を目安とし、十分な量の潅水を行います。

初掲載:令和6年5月
農林総合研究センター
落花生研究室
研究員 青栁伸之介
電話番号:043-444-0676

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

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