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更新日:令和6(2024)年6月7日

ページ番号:672660

前年に稲わらが寄ってしまったほ場での注意点

1.稲わらが寄ってしまったほ場はガス害に注意しましょう

令和5年9月の台風に伴う大雨により、稲わらが寄ってしまったほ場が多くみられました稲わらが分解されずに翌年まで残ると、田植え以降の気温が上昇した時期に湛水条件下で稲わらの急激な分解が起こり、有害なガスが発生します。ガスが発生すると水稲が生育障害(ガス害)を起こすことがあるため、早めに対処しましょう。

大雨で稲わらが寄ってしまった水田の写真(1枚目)大雨で稲わらが寄ってしまった水田の写真(2枚目)

写真1令和5年9月の台風で豪雨で稲わらが寄ってしまった水田

2.ガス害について

ガス害が発生したら次のような症状が出ます。

・健全な稲に比べて分げつが増えない。

・稲が全体的に弱々しくなり、下葉が黄化している。

・下葉を中心に赤褐色の斑点が出ている。

・苗を抜くと根が黒くなっている。

 また、ほ場の中に足を踏み入れると、地面の下から気泡がたくさん出てきてドブのような臭いがするのもガス害が発生している水田の特徴です。

ガス害が発生したイネの写真(1枚目)ガス害が発生したイネ(2枚目)

写真2ガス害が発生した稲

3.ガス害が発生したらどうする?(生育期間中のガス害対策)

ガス害が発生して稲に影響が出ている状態を放置すると、生育が遅れて減収につながるか、重度の場合枯死に至るおそれがあります。早めに対策を施し、稲体の回復に努めましょう。
ガス害発生時の主な対策としては落水や田干しがあります。以下の方法を参考に実施し、地中のガスを抜いて根に酸素を供給してあげましょう。田干しはガス害の対策以外にも、藻が多発生した時の対策としても活用できます。

《方法》

・軽度のガス害は【落水】水田の水を1~2日程度落とす。

・稲に生育不良が出るほどのガス害は【田干し】田面に軽く亀裂が入り、空気が土中に入るようにする。

《注意点》

・落水や田干しは極端な低温が予想される日を避けて実施する。
・田面に大きなひびが入るほど干すと稲の生育を阻害してしまうので干しすぎに注意する。
・初中期除草剤施用直後に落水すると薬剤の河川への流出や除草効果の低下のおそれがあるため、最低でも除草剤施用後7日間は落水しない。
・田干しをした後は除草剤の効果が切れやすくなる場合があるため、雑草が発生したら草種に合った中後期除草剤を施用する。

4.ガス害を予防するには(収穫後の対策)

ガス害予防には、収穫後の耕うん(秋耕)を早期に行うことが最も効果的です。
また、収穫後の冠水による稲わらの流出を防ぐためにも早期に耕うんを行いましょう。稲わらが寄ってしまっているほ場でそのまま稲わらをすき込むと、稲わらが多い部分でガス害が発生しやすくなるため、以下の点に注意して耕うんしましょう。

・他のほ場から稲わらの流入がない、又はあっても少ない場合
 偏った稲わらをできるだけ均等に分散させて耕うんする。

・他のほ場から稲わらの流入が多い場合
 ほ場1枚分程度(10アール当たり乾物重500~800キログラム)を超えるような過剰な稲わらをほ場外へ運び出す。残った稲わらはほ場内へ分散させ、耕うんする。

耕うんは稲わらを分解する微生物が活発に活動できる地温を確保するために収穫後できるだけ早期に行い、10~15センチメートル程度の深さで荒く耕うんすることで有機物の分解が促され、翌年のガスの発生を抑えることができます。

初掲載:令和6年5月
山武農業事務所
改良普及課 中部グループ
普及指導員 藤井 大輔
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