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更新日:令和6(2024)年3月6日
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水稲栽培では古来より「苗半作」という例えが使われてきたように、健苗育成はその後の収量や品質に関わる重要な作業です。
一方、毎年繰り返し行う作業であるため、慣習化し、1つ1つの作業の意味が曖昧になっている方も多いのではないでしょうか。最近は育苗期間の天候が不安定であり、「いつもと同じ」管理では不十分な場合も増えてきています。今一度復習も兼ねて、育苗作業の各工程について確認をしてみませんか?
目的:混種、病害感染籾及び発芽不良籾の混入回避
種子は自家採種を続けると、変異の発生や他品種との交雑、機械作業等での人為的な混種、病原菌の感染、発芽不良の危険が高まります。採種ほで生産された種子に毎年更新しましょう。
ポイント:やむなく自家産種子を使用する場合は塩水選を必ず実施しましょう。
目的:種子伝染性病害の防除
採種ほから採種した健全な種子とはいえ、病害発生の可能性は皆無ではありません。種子消毒は必ず行いましょう。方法としては化学合成農薬、微生物農薬による消毒と、温湯消毒の3つの方法があります。
ポイント
目的:種子の発芽に十分な水分を均一に吸収させる
水稲の種子が発芽するためには、乾籾重の30%まで水分を吸収させることが必要とされ、そのためには10~15℃の水に積算水温100℃となる時期まで浸漬することが適当とされています。
(例)水温15℃で7日間だと、15℃×7日=105℃
ポイント
出芽を揃えるために、浸種を終えた種子を30℃の水温で20~24時間加温します。目安は幼芽長が1mm以内の「ハト胸」と呼ばれる状態です。(写真1)
ポイント
写真1ハト胸状態の種子
一般的な床土量は3kg/箱、覆土量は1~1.5kg/箱です。
ポイント
床土や覆土の量を減らすと、育苗箱が乾きやすくなる、後半で養分が不足して黄化する等の影響があります。そのため、使用する培土の推奨量よりも減らさないことが望ましいです。
播種直前に1箱当たり1~1.5L程度の潅水を行い、床土に十分保水させます。床土が乾いて硬く締まっていると、出芽中に種籾の持ち上がりが生じてしまいます。
現在主流である稚苗育苗では乾籾130~150g/箱で播種を行います。
ポイント
催芽後の種子は乾燥籾重の約1.2倍の重さになっています。播種機に記載の設定値は「催芽籾」量となっていることが多いため、播種量の設定に注意しましょう。
苗箱を育苗機で保温し出芽させる加温出芽、苗箱をハウス内に置き、保温資材で被覆する無加温出芽の2つの方法があります。いずれの方法においても、鞘葉が床土から5mm程度出たら終了となり、加温出芽で2日、無加温出芽で5日程度かかります。
ポイント
出芽が悪い場合に、加温や被覆する期間を過度に延ばすと苗に徒長グセが付く他、病害も発生しやすくなります。育苗器の調子を事前に確かめておくことや、無加温出芽では適切な被覆資材の選択を行い、出芽期間が長期に及ぶのを回避するよう努めましょう。
目的:苗を光に馴らす
出芽後、苗箱をハウス内に並べて被覆資材をかけ、昼間は20~25℃、夜間は10~20℃の気温を目安に管理します。
ポイント
「コシヒカリ」のような徒長しやすい品種は被覆期間を短くすることで苗丈を抑えることができます。逆に伸びにくい「ふさこがね」のような品種では緑化期間の「夜間の保温」を十分に行うことを心がけます。苗の伸びが足りないからといって、被覆期間を延ばし過ぎると病害の発生が懸念されるため、注意しましょう。
目的:苗を成長させながら外気の環境に馴れさせ、充実した苗に仕上げる
苗が1.0~1.5葉、苗丈3~4cm程度になったら被覆資材をはがし、昼間25℃以下、夜間5~10℃に管理して徐々に苗を外気に馴れさせます。
ポイント
初掲載:令和6年2月
安房農業事務所
改良普及課 南房総・鋸南グループ
普及指導員 浦西 英明
電話番号:0470-22-8132
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