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更新日:令和6(2024)年2月14日
ページ番号:629825
輸入飼料価格の高騰に伴い、イネWCSをはじめとした自給飼料の需要はますます高まっています。発酵品質の高いイネWCSを生産するためには、収穫時のイネ体水分含量が65パーセント以下になるような適期収穫が必要です。山武管内では、飼料生産組織3組織がイネWCSの生産に取り組んでいますが、うち2組織では、収穫時のイネ体水分含量が高いために、発酵品質の低下や取り回しの悪さが課題でした。そこで、電子レンジを活用した簡易水分測定法を生産組織自ら実施し、適期収穫に取り組み畜産農家の要望に応えられる飼料を供給できる体制を整えたので紹介します。
調査するWCS用イネは、田面から高さ15センチメートル(収穫機械の刈取高)の位置で採取し、1株から3茎を抽出します。採取したWCS用イネは、1~2センチメートル幅に細断し、生重量を小数点第1位まで計測します。その後、サンプルを電子レンジで加熱し、加熱後に重量を測定します。加熱と重量測定は、小数点第1位の重量が同一になるまで繰り返します。なお、1回あたりの加熱は30-40秒程度とし、焦げ付かないよう注意します。生重量と加熱終了後の重量(乾物重量)の差が水分量であり、この値を生重量で除したものが水分率となります。なお、現場での所要時間は、細断から始めて10-15分程度でした。
写真1簡易的水分測定法の様子
写真2電子レンジ加熱前のイネ
写真3電子レンジ加熱後のイネ
(1)の手順に従い水分測定を実施し、水分率が65パーセント以下であることを確認したうえで収穫を実施しました(表1)。
写真4収穫の様子
表1簡易的水分測定法結果
品種 |
生重量 |
乾物重量 |
水分量 |
水分率 |
熟期 |
---|---|---|---|---|---|
つきはやか |
54.0g |
19.5g |
34.5g |
63.9% |
糊熟~黄熟期 |
たちあやか |
44.3g |
18.0g |
26.3g |
59.4% |
黄熟期 |
適期収穫を実践したイネWCS(つきはやか、たちあやか)をサンプリングし、pH、官能評価と水分率を分析しました。その結果、表2のとおり、pHや水分率が適正な範囲に低下しており、良好な発酵を示していました(表2)。
表2イネWCSのpH発行品質の評価分析
品種名 |
pH |
水分率(%) |
官能評価 臭(※1) |
官能評価 味(※1) |
官能評価 色(※1) |
官能評価 触感(※1) |
---|---|---|---|---|---|---|
つきはやか |
4.21 |
64.1 |
8 |
6 |
7 |
8 |
たちあやか |
4.18 |
65.7 |
8 |
7 |
7 |
8 |
(※1)10段階評価
今回実施した簡易的水分測定法は、専門的な器具が不要で、生産者自らが短時間でイネ体の水分含量を計測することができます。この方法を用いて、収穫時のイネ水分を確認後に適期収穫することで、畜産農家の需要に応えられる品質を目指しましょう。
初掲載:令和6年1月
山武農業事務所改良普及課
南部グループ
普及技術員 南村 昌孝
電話番号:0475-54-0226
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