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更新日:令和6(2024)年4月11日
ページ番号:653462
近年、紛争等による世界情勢の悪化や物流の停滞、燃油の高騰、円安等の影響を受け、輸入飼料価格が高騰し、畜産経営を圧迫しています。現在、飼料費の低減に向けて自給飼料を生産しようとする動きが強まっていますが、その中でも、嗜好性が高く一般的に給与される牧草である、チモシーの栽培に取り組んでいる事例を紹介します。千葉県において、チモシーを栽培している事例はなく、特徴的な取組と言えます。
チモシーはイネ科の寒地型永年牧草であり、暑さに弱く越夏性が低いため、栽培は東北や北海道、標高の高い冷涼地に限定されています。夏が冷涼な地域であれば夏枯れを起こしにくく、一度播種してから5年以上は収穫が可能とされていますが、千葉県のような温暖な地域で栽培する場合、夏の高温により夏枯れを起こすため、毎年播種し直す必要があります。
表1作業の流れおよび使用機械・資材について
使用機械・資材 | 使用量 | 時期 | |
---|---|---|---|
(ア)除草 | 除草剤 (商品名:ラウンドアップマックスロード 【登録種類名:グリホサートカリウム塩液剤】) 除草剤散布機 |
10アールあたり250ミリリットル | 8月中旬 ~9月中旬 |
(イ)施肥 | A 苦土石灰 (粒状炭酸苦土石灰:マグエース) B 牛ふん堆肥 |
A 10アールあたり10キログラム B 堆肥の成分値を考慮して適量散布 |
8月中旬 ~9月中旬 |
(ウ)耕耘 | プラウ、ロータリー | 8月中旬 ~9月中旬 |
|
(エ)播種 | 背負い動力散布機、 種子(ホライズン) |
10アールあたり5キログラム | 9月中旬 ~10月上旬 |
(オ)鎮圧 | ローラー | 9月中旬 ~10月上旬 |
|
(カ)除草 | 除草剤(商品名:ハーモニー75DF 【登録種類名:チフェンスルフロンメチル水和剤】) |
10アールあたり5グラム | 発芽後 |
(キ)収穫 | ストローチョッパー、 ツインレーキ、 ロールベーラー、 ラッピングマシン、 乳酸菌(サイマスターACスプレー) |
10アールあたり0.1袋(17グラム) | 5月中旬 ~6月、 7月~8月 |
(ク)追肥 | 尿素 | 10アールあたり20キログラム | 1番草刈取り後 |
写真1播種の様子
写真2収穫の様子
収量は毎年変動がありますが、概ね以下のとおりです。
ほ場ごとに水分率のばらつきが大きく、乾物収量が算出できないため、現物収量のみの値となります。
表2 10アールあたり収量及び全栽培面積(6ヘクタール)の収量
1番草(10アールあたり) | 2番草(10アールあたり) | 全面積あたり収量 | 全面積あたり収量※ | |
---|---|---|---|---|
最多収量 | 6ロール | 3ロール | 540ロール | 81,000キログラム |
最小収量 | 2ロール | 1ロール | 180ロール | 27,000キログラム |
平均収量 | 4ロール | 2ロール | 360ロール | 54,000キログラム |
*1ロールあたり150キログラムで算出
調査対象農家では、天候や雑草との競合等で毎年収量が変動する中、根気強く栽培方法や使用資機材を模索し、取組みを継続しています。また、県内でも地域によって気候や土壌等の条件が異なることや、他の資機材で代替できる場合があること等から、栽培方法や使用資機材の工夫が必要となる場合があります。
千葉県内においてチモシー栽培の参考となる事例は他になく、他生産者からの関心が高い内容ではありますが、取組む際には、栽培が容易ではないことや試行錯誤を繰り返す根気強さが求められることを念頭に置き、検討してください。
初掲載:令和6年4月
海匝農業事務所改良普及課
匝瑳グループ
普及技術員 熱田 麻衣
電話番号:0479-62-0334
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