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更新日:令和6(2024)年9月2日
ページ番号:688349
昨年、収穫した米に茶色い米が混じっているという声が多く聞かれました。玄米全体が茶褐色で、精米しても色がとれない米を「茶米」または「錆米(さびまい)」と呼びます。
この茶米は、農産物検査では着色粒として分類されます。着色粒は茶米のほか、カメムシの吸汁によって発生する斑点米など、精米しても着色のとれないものを指します。それらの着色粒が0.1パーセント以下であれば一等ですが、0.1パーセント超含まれると二等以下に等級が落ちてしまいます。
※農産物検査の検査規格では、着色粒以外の規程もあり、他の原因で等級を落とすこともあります。
写真1左:正常な米、中央・右:褐色米(肌につやがなく、茶色にくすんでいる)
茶米は、出穂期ごろの風で籾に傷がつき、そこから菌が入ることで発生します。
茶米の原因となる菌の胞子形成は、枯死したイネ科雑草や、イネの枯死した下葉に多く、重大な伝染源になります。
また、高温や干ばつにより登熟期に根が切れてしまうなど、稲体にストレスがかかったり、倒伏や刈遅れによって発生が多くなることが確認されています。
畦畔雑草の管理、稲の下葉枯れをおこさないよう、健全な稲体作りをすることで菌の増殖を防ぐとともにストレスに強いイネを作ります。また、生育後半もイネを健全に保ち、適期に収穫することで、茶米の発生を軽度に抑えます。
過繁茂にならないよう管理することで下葉枯れを防ぎ、茶米の原因となる菌の増殖を防ぎます。
また、早期落水により根が切れたり弱ることで茶米の発生が多くなるため、収穫前の落水は出穂期 25 日後以降とします。それまでは間断かんがいを続け、田面が湿った状態を保ちます。これにより、茶米以外にも白未熟粒の発生を減らすことができ、品質向上が期待できます。
出穂期から収穫適期までの日数の目安は図1のとおりです。
図1出穂期から収穫適期までの日数の目安
品種 | ふさおとめ | ふさこがね | コシヒカリ | 粒すけ |
---|---|---|---|---|
出穂期から収穫適期までの日数 | 33日 | 37日 | 38日 | 38日 |
ただし、高温・多照により収穫適期が早まることがあります。そのため、図1の収穫適期目安の5日程度前に帯緑色籾歩合を調べ、15パーセント程度となっているか確認して収穫日程を決めます。帯緑色籾とは、少しでも緑色の部分がある籾のことを言い(写真2)、帯緑色籾歩合とは、穂についている籾のうち、帯緑色籾の割合を言います。このときに、不稔籾は分母から外します。
簡易的に帯緑色籾歩合を調べる方法としては、そのほ場で平均的な生育をしている場所から、平均的な穂数の株を選び、株の中で一番長い穂(主茎と思われる茎の穂)を抜き取って観察します。
写真2左から4粒は帯緑色籾、右端が黄熟籾(完熟)
倒伏すると籾の黄化が進みにくくなります。倒伏したほ場では、帯緑色籾歩合15パーセントにこだわらずに収穫しましょう。
収穫が遅れると更に着色が進む可能性があるため、適期に収穫し、収穫後は早急に乾燥調製を行う必要があります。
初掲載:令和6年7月
安房農業事務所
改良普及課 鴨川グループ
普及指導員 小山ほなみ
電話番号:0470-22-8132
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