史跡の指定について(令和3年6月18日)
発表日:令和3年6月18日
教育庁教育振興部文化財課
国の文化審議会は、船橋市に所在する「取掛西貝塚」を国史跡に指定することを、令和3年6月18日(金曜日)に文部科学大臣に対し答申しました。
この結果、官報告示の後に、千葉県内の史跡(特別史跡1件を含む)は31件となる予定です。
「取掛西貝塚」の史跡の指定について
種別及び名称
- 史跡「取掛西貝塚」(とりかけにしかいづか)(船橋市)
所在地
概要
- 取掛西貝塚は、東京湾東岸の最奥部に位置する縄文時代早期前葉(そうきぜんよう)の貝塚を伴う集落である。船橋市教育委員会による発掘調査により東西約320m、南北約100mの範囲から早期前葉に属する竪穴建物(たてあなたてもの)58軒と、ヤマトシジミを主体とする貝層が検出されている。これらの調査で遺構の分布と変遷が明らかになっただけでなく、狩猟に用いられた石鏃(せきぞく)、堅果類(けんかるい)の加工に用いられた磨石(すりいし)・敲石(たたきいし)・石皿(いしざら)といった各種石器と、骨針(こつばり)や刺突具(しとつぐ)、貝刃(かいじん)などの骨角貝製品(こっかくかいせいひん)の内容から集落で行われた生業の様子が明らかとなった。また焼けたイノシシやシカの頭蓋骨(ずがいこつ)が並べられた状態で出土した竪穴建物跡からは当時の精神文化の様相をうかがい知ることができる。
- 縄文時代早期前葉の貝塚は全国的にも数が少なく、本遺跡は集落と貝塚の関係がわかる貴重な事例である。また、東京湾東岸は列島の中でも貝塚が多く密集する地域として知られ、早期から晩期まで、縄文時代各時期の貝塚が分布しているが、その中でも取掛西貝塚は最古段階の貝塚を伴う集落であり、本地域における貝塚形成の開始期の状況を知る上で欠くことのできない遺跡である。豊富な出土品から当時の生活の様子を復元することができ、また早期の精神文化にも迫ることのできる稀有(けう)な遺跡である。
航空写真(東方向から)
出土土器
※写真提供:船橋市教育委員会
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