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更新日:令和6(2024)年4月24日

ページ番号:4643

千葉県感染症情報センター

千葉県感染症情報センターとは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」による施策として位置づけられた感染症発生動向調査により得られた情報を集計・分析するとともに、情報提供・開示するため、千葉県衛生研究所に設置されています。

週報月報新型コロナウイルス感染症梅毒腸管出血性大腸菌感染症インフルエンザ感染性胃腸炎麻しん風しんリンク

週報

2024年第16週(2024年4月15日~2024年4月21日)(PDF:944.9KB)

2024年4月15日から2024年4月21日までの期間(2024年第16週)の千葉県結核・感染症週報を掲載しています。

※過去の注目疾患:2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年2024年

※過去の週報:2012年~2016年週報2017年週報2018年週報2019年週報2020年週報2021年週報2022年週報

       2023年週報2024年週報

今週の注目疾患

A型肝炎

2024年第16週に県内医療機関からA型肝炎の届出が1例あり、2024年の累計届出数は2例となった。2例とも性別は女性で、年齢はともに80歳以上であった。

2015年から2024年第16週までの期間において、県内医療機関から合計117例のA型肝炎の届出があった。過去10年間では最多であった2018年をピークに、2020年以降は届出数が大きく減少している(図1)。性別では男性が82例(70%)、女性が35例(30%)で男性が多く、年齢群別で見ると20代~50代の男性が多かった(図2)。

 

図1:A型肝炎図2:A型肝炎

A型肝炎は、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)へパトウイルス属(Hepatovirus)の A型肝炎ウイルス(hepatitis A virus : HAV)感染による急性感染症である。HAVは、汚染された食物や水の摂取によって、または感染者との直接的な接触によって伝播する。上下水道等、衛生環境が整備された先進国においては、A型肝炎の大規模な集団感染は稀になったが、男性間性交渉者(men who have sex with men : MSM)や注射薬物使用者(persons who inject drugs : PWID)の間で発生があることが知られている1)

A型肝炎の潜伏期間は2~6週間(平均4週間)で臨床症状は38℃以上の発熱、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、筋肉痛、腹痛などの症状に続き、黄疸、肝腫大などの肝症状が出現する。患者は加齢とともに重症化の割合が増える。ウイルス特異的な治療法はないが、一般に予後良好で(致命率<0.5%)、2~3ヵ月で自然治癒し、慢性化することはない。5歳以下の小児では約90%が不顕性感染であり、成人では90%が顕性感染である。一度感染すると終生免疫が得られる。HAVは発症前約2週間~発症後数カ月まで長期に便中に排出されるため、感染者は発症前から感染源となり得る1)

感染対策としては、患者の排泄物や汚染食品等の適切な処理、手洗いを始めとする衛生管理の徹底、十分な加熱処理(85℃、1分以上)、塩素剤による消毒などにより、感染源・感染経路対策を行う。症状消失後についても約1~2ヵ月の間はウイルスの排出が続くことから、手洗い等の対策を継続することが重要であるとされている。なお、HAVはアルコール耐性があるので消毒の際は注意が必要である。感染予防には、国内で承認済みのワクチン接種により長期間の発症予防が期待できる。接種者の抗体獲得率はほぼ100%であり、流行地域への渡航者、医療従事者、慢性肝疾患患者、MSM等の高リスク者にあっては接種が推奨される。また、ウイルスに曝露された後でも、ウイルスとの接触機会から2週間以内に1回接種を受けることができれば感染予防効果もあるため、曝露後接種も有効である1,2,3,4,5)

■参考・引用

1)国立感染症研究所:IASR Vol.40 p147-148 : 2019年9月号外部サイトへのリンク

2)厚生労働省:A型肝炎患者の報告数増加に伴う注意喚起について(協力依頼)(PDF:129.5KB)

3)食品安全委員会:ファクトシート A型肝炎(Hepatitis A)(PDF:250.5KB)

4)一般社団法人日本感染症学会:A型肝炎(Hepatitis A)外部サイトへのリンク

5)厚生労働省検疫所FORTH:A型肝炎について(ファクトシート)外部サイトへのリンク

 

【Topics】

≪ゴールデンウィークに海外へ渡航される皆様へ≫

海外においては、国内では見られない感染症が流行していることがあり、海外滞在中に感染する可能性があります。海外へ渡航する際には、事前に渡航先における感染症の流行状況、現地滞在中の注意点、海外渡航に際し推奨されている予防接種をご確認ください。

また、感染症には、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が数日から1週間以上と長いものもあり、渡航中や帰国直後に症状がなくても、しばらくしてから具合が悪くなる場合があります。その場合は、医療機関に事前に電話連絡して海外渡航歴があることを伝えた上で受診し、渡航先、滞在期間、現地での飲食状況、渡航先での活動内容、動物との接触の有無、ワクチン接種歴等についてお伝えください1)

〇食べ物や水を介した消化器系の感染(A型肝炎、腸チフス、細菌性赤痢、コレラなど)

食事は十分に火の通った信頼できるものを食べるようにし、生水・氷・カットフルーツの入ったものを食べることは避けましょう。手洗い等の手指衛生をこまめに行ってください。

また、A型肝炎については国内で承認済みのワクチン接種で予防することができます。

〇蚊を介した感染症(マラリア、デング熱、日本脳炎、黄熱、ジカウイルス感染症など)

蚊が生息する熱帯・亜熱帯地域などでは、できるだけ肌を露出せず、虫除け剤を使用するなど、蚊に刺されないよう注意してください。

〇ダニを介した感染症(リケッチア症、ライム病、回帰熱、ダニ媒介脳炎、重症熱性血小板減少症候群(SFTS))

ダニが生息する地域で、草むら、ヤブなどに入る場合は、肌の露出を少なくし、虫除け剤も必要に応じて使用してください。 

◯動物を介した感染症(狂犬病、鳥インフルエンザ、中東呼吸器症候群(MERS)など)

動物は重篤な感染症の原因となる病原体を持っている可能性がありますので、むやみに動物に近づかない、動物に触れないことが大切です。動物に触れた場合、手洗い等の手指衛生を行ってください。

〇人から人に広がる感染力の強い感染症(麻しん、風しんなど)

咳や発熱、発疹など、なんらかの症状がある方との濃厚な接触は避けるようにしましょう1,2)

 

その他詳細は下記をご参照ください。

■参考・引用

1)厚生労働省検疫所FORTH:海外へ渡航される皆さまへ!外部サイトへのリンク

2)【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.510(2024年4月15日)外部サイトへのリンク

 

疾患別・保健所別5週グラフ

RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、ヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎の5週間分の保健所別の定点当たり報告数のグラフを掲載しています。

月報

2024年3月の千葉県結核・感染症月報(2024年14週週報)を掲載しています。

新型コロナウイルス感染症

《発生状況について》

2024年16週の県全体の定点当たり報告数は、前週(4.07)から減少し、3.99であった。

2024年16週までの県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況について掲載しています。過去の発生状況については以下に掲載しています。

《新型コロナウイルス変異状況について》

県衛生研究所は、国立感染症研究所と協働で、県健康福祉センター(保健所)(千葉市・船橋市・柏市除く)等から収集した検体について新型コロナウイルスのゲノム解析を行い、ウイルスの変異状況を調べています。

その状況についてお知らせします。

 

インフルエンザ/COVID-19定点医療機関から保健所への報告様式

保健所への報告は、報告様式1(小児科定点・インフルエンザ/COVID-19定点用)又は報告様式2(インフルエンザ/COVID-19定点用)をお使いください。なお、集計様式2は、保健所への送付は不要です。

オンライン報告を希望される場合、ちば電子申請サービスから手続きをお願いします(県庁疾病対策課ホームページへ)

梅毒が増加しています!

千葉県では2024年16週に4例届出があり、累計は132例となった。

昨年2023年は1999年の現行感染症サーベイランス開始以降最多となる472例の届出があり、注意が必要です。

2024年16週までの県内の梅毒発生状況について掲載しています。2021年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

腸管出血性大腸菌感染症情報

千葉県では、2024年16週に2例届出があり、2024年の累計は10例となった。

2024年16週までの県内の腸管出血性大腸菌感染症発生状況について掲載しています。2010年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

インフルエンザ情報

2024年16週の県全体の定点当たり報告数は、前週(3.24)から減少し、2.24であった。

2023/24シーズンの県内のインフルエンザ発生状況について掲載しています。2015/16シーズンから2022/23シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。

※県内の迅速診断の結果がとりまとめられています。

感染性胃腸炎情報

2024年16週の県全体の定点当たり報告数は、前週(3.68)から増加し、4.21となった。

2023/24シーズンの県内の感染性胃腸炎の発生状況について掲載しています。2016/17シーズンから2022/23シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。

麻しん情報

千葉県では、2024年16週に届出はなかった(2024年4月24日現在)。2024年の累計は0例である。

2024年16週までの県内の麻しんの発生状況について掲載しています。2008年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

国内で麻しん(はしか)の感染事例が報告されています。麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんの罹患歴がなく、2回の予防接種歴が明らかでない場合は予防接種をご検討ください。

また、発疹、発熱などの麻しんのような症状がある場合は、麻しんの疑いがあることを事前にかかりつけ医または医療機関に電話等で伝え、受診の要否や注意点を確認してください。医療機関へ移動される際は周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関の利用は可能な限り避けてください。詳細については、下記ホームページをご参照ください。

風しん情報

千葉県では、2024年16週に届出はなかった(2024年4月24日現在)。2024年の累計は0例である。

2024年16週までの県内の風しんの発生状況について掲載しています。2008年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

リンク

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部千葉県衛生研究所感染疫学研究室

電話番号:043-266-6723

ファックス番号:043-265-5544

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