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更新日:令和4(2022)年11月25日
ページ番号:354432
「乾田直播栽培」とは、畑状態の田んぼに種子をまき、出芽が揃った後に入水する栽培方法です。春作業において労力のネックとなる代かきや苗運びが不要となり、省力化が可能です。平成30年度に不耕起汎用ドリルを用いて、乾田直播栽培の機械化体系について検討を行いました。
播種機は不耕起汎用ドリル(写真1)を用い、播種前後にケンブリッジローラ(写真2)で鎮圧をしました。126アールの圃場で作業をおこなったところ、播種が10アール当たり11分、播種前後の鎮圧はそれぞれ10アール当たり4分で作業を行うことができました。
品種はふさこがね、播種量は10アール当たり4キログラム、5月1日に播種し、苗立数が平方メートル当たり87本、苗立率63パーセントとなり、穂数は平方メートル当たり402本となりました。成熟期は9月10日となり、9月16日に収穫を行いました。農家実収量は10アール当たり534キログラムとなり、移植(10アール当たり528キログラム)と同等の収量を得ることができました。苗立数がやや少ないので、1から2割程度播種量を多くすることで増収が見込めます。
実証試験の結果、耕耘から雑草防除までの作業時間を比較すると、図1のとおりとなり、51パーセント削減されることが分かりました。
写真1.不耕起汎用ドリル
写真2.ケンブリッジローラ
図1.移植栽培と乾田直播栽培の作業時間の比較
また、実証試験の結果、提案する乾田直播栽培の機械化体系は表1のとおりとなります。播種機はグレーンドリルや不耕起汎用ドリル等があります。不耕起汎用ドリルではバーチカルハロー等による播種床造成を省略できますが、実施した方が、雑草防除が容易になります。
No. |
作業 |
時期 |
機械 |
備考 |
---|---|---|---|---|
1 |
耕起 |
12月から2月 |
プラウ |
圃場を十分に乾かす |
2 |
均平 |
12月から2月 |
レーザーレベラー |
田面の高低差を減らす |
3 |
畦塗り |
3月 |
畦塗機 |
畦畔からの漏水防止 |
4 |
額縁明渠 |
3月 |
溝堀機 |
排水性を良くする |
5 |
基肥 |
3月 |
ブロードキャスタ |
緩効性肥料を散布する 播種同時施肥の機械を使用する場合は省略できる |
6 |
播種床造成 |
3月 |
バーチカルハロー等 |
砕土により播種精度を上げる |
7 |
播種床造成 鎮圧 |
播種時 |
ケンブリッジローラ |
砕土・鎮圧により播種精度を上げる |
8 |
播種 |
播種時 |
ドリルシーダー等 |
播種深度3センチメートルを目安とする |
9 |
鎮圧 |
播種時 |
ケンブリッジローラ |
出芽の安定と播種後の除草剤効果の安定を目的とする |
10 |
除草剤散布 |
播種30日前から出芽前 入水10から2日前 |
ブームスプレーヤー |
ラウンドアップマックスロードを散布 マーシェット乳剤を散布 |
11 |
入水 |
草丈10センチ程度(葉齢3葉から4葉) |
|
苗立ちが確保できたら、なるべく早く入水する |
12 |
除草剤散布 |
入水後 |
除草剤散布用ボート |
乾田直播栽培に登録のある初中期剤を散布する |
13 |
追肥 |
幼穂形成期 |
ブロードキャスタ |
葉色が低下した場合に実施する |
※追肥以降は稚苗移植栽培と同じ管理を行います。
※播種量や施肥量は、播種時期と品種に合わせた設定が必要です。
※マーシェット乳剤は水田一年生雑草とホタルイ、マツバイに効果がありますが、コウキヤガラ等の多年生雑草に効果が無いので注意が必要です。入水前に初中期剤で防除できる葉齢を超えてしまった場合は、乾田直播栽培に登録のある中後期剤を散布してから、入水を行います。
※農薬は令和4年4月時点の登録内容を基に作成しています。農薬の使用にあたっては、ラベル及び最新の登録内容を確認し、安全に使用してください。
現在、千葉県内の乾田直播栽培面積は116ヘクタールです。圃場条件や大型機械の導入など制約のある技術ではありますが、基盤整備事業実施後の大区画水田等で、育苗や移植作業の省力化、作期分散による規模拡大に大きな効果を発揮し、今後普及拡大することが期待されます。
初掲載:令和元年12月
香取農業事務所
改良普及課北部グループ
普及指導員川口真穂
電話:0478-52-9195
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