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更新日:令和4(2022)年9月1日
ページ番号:7482
千葉県育成のイチゴ新品種「チーバベリー」は、大粒で形が良く、うどんこ病に強い品種で、平成27年8月に「千葉S4号」として品種登録されました。大粒果実の「チーバベリー」を安定生産するためには充実した苗を作ることが重要になります。そこで、ポット育苗における栽培のポイントについて紹介します。
親株からの採苗株数を25株程度と見込み、10アール当たり350から400株の親株を用意します。
ランナーの発生を促すため、3月上旬までに親株をプランターに定植します。初期のランナーの発生は「とちおとめ」と比べて緩やかなので、親株からの採苗株数を増やしたい場合は、前年度秋に定植して、初期のランナーの発生を多くします。秋定植の場合はプランターに2株植え、3月上旬の場合は3株植えとします。寡日照の環境では、ランナーの発生が遅くなり増殖率が下がるため、親株の数は余裕をもって準備します。
定植時にクラウン径9ミリメートル以上の充実した苗を用いることで初期から収量を確保できます(図1)。このような苗をつくるために7月中旬までに鉢受けします。鉢受けから3週間程度で切り離し、切り離しから定植までの育苗日数は50から70日を目安とします(写真1)。
図1.苗の大きさが収量に及ぼす影響
注)平成25年9月24日定植
写真1.育苗日数が異なる定植時の苗姿(左から育苗日数10日、30日、50日、70日、クラウン径は7ミリメートル、8ミリメートル、9ミリメートル、10ミリメートル)
7月上旬までは、苗の老化を防ぐために9から10.5センチメートルポットに鉢受けし、7月中旬は7.5から9センチメートルポットに鉢受けします。7月中旬に鉢受けした場合、7.5から9センチメートルポットではポットサイズが大きいほどクラウン径は太くなりますが、定植時には、ポットサイズにかかわらずクラウン径は9ミリメートル以上となり、収量差は見られません。
「チーバベリー」は育苗後半に肥料切れが生じても心止まりしにくい特徴がありますが、肥料が少なすぎて苗の生育を十分に確保できないと、頂花房開花数が少なくなります(図2)。肥料過多では花芽分化が遅れるので、9センチメートルポット(培土由来の窒素成分45ミリグラム程度)を利用する場合、育苗中の施肥は株当たり窒素成分量100ミリグラム(IB化成S1号中粒2粒程度)を標準とします(表1)。
図2.育苗中の窒素施肥量が頂花房開花数に及ぼす影響
注1)平成26年9月24日定植、平成27年1月26日調査
2)頻度は調査対象各区54株中の該当株数を示す
表1.育苗中の施肥量が収量に及ぼす影響
「チーバベリー」は、うどんこ病に強い特徴がありますが、炭そ病、萎黄病には抵抗性がないので、育苗期の防除、苗床の土壌消毒を徹底してください。
千葉県内の生産者に限り、各JAで種苗の購入が可能です。詳しくは(千葉県いちご新品種「チーバベリー」)をご覧ください。
初掲載:令和元年9月
農林総合研究センター
野菜研究室
上席研究員
前田ふみ
電話:043-291-0151
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