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更新日:令和4(2022)年5月27日
ページ番号:7474
「さとのそら」は良品質かつ収量が高い品種ですが、他の麦類と同様に湿害に弱いため、排水不良のほ場では発芽不良や生育不良により収量・品質が大きく低下しますので、排水対策を徹底しましょう。
なお、排水性や排水性悪化の原因は個々のほ場によって異なるため、ほ場の状況に合わせて対策を行いましょう。
排水対策のポイントは「滞水したときに早く水が引けるようにすること」と「地下水位を下げること」です。目安は1日以内に滞水した水が引けること、ほ場内に部分的な滞水がおきないこと、地下水位が25センチメートル以下であることです。これらは排水路の水位と土壌中の水の浸透しやすさに大きく左右されます。地下水位が高いほ場では地表からの排水に重点を置くか、ポンプ排水によって地下水位を低下させます。一方、土壌中の水が浸透しにくい場合は、土づくりや耕盤破砕、ほ場の再整備などによって排水性を改善する必要があります。
土壌表面からの排水は土壌中における水の移動よりも早いため、地表水を速やかに排水することが排水対策の基本となります。
溝掘機等を用いて、ほ場周囲に深さ30センチメートル程度の明渠を設けます。排水性が悪いほ場では、ほ場内にも管理機や作溝ロータリー等を使用して5から10メートル間隔で明渠を設けます。この際、明渠は必ずほ場外の排水路へ繋ぎましょう。排水口が高い位置にある場合は排水路側の明渠を深くし、別の排水口を作る必要があります。
ほ場に凹凸がある場合や、ほ場中央部や用水路側のほ場面が排水路側よりも低くなっているとほ場内に滞水箇所ができてしまいます。このような場合、できるだけほ場を均平に耕うんします。レーザーレベラーを用いると、より精密に均平にすることができます。このとき、排水路側に向かって傾斜をつけると排水効果が高くなります。
地下水の排水には本暗渠と補助暗渠がありますが、補助暗渠は本暗渠と組み合わせることで威力を発揮します。弾丸暗渠の施工はサブソイラ等を用いて本暗渠に交差するように、深さ30センチメートルから40センチメートル、2から3メートル間隔で施工します。施工は、ほ場表層が乾燥している時に行いましょう。本暗渠自体が経年変化等により機能が低下している場合は、本暗渠の更新や新たな暗渠の施工など、ほ場の再整備が必要になります。長生農業事務所管内で耕作条件改善事業を活用して暗渠の再整備を行ったところ、写真のように生育が改善されています。
写真1暗渠の機能が低下し、降雨後に滞水して湿害が見られる麦ほ場
写真2事業を活用し、暗渠の再整備を行った麦ほ場。降雨後も滞水せず、順調に生育している
作土が浅く、耕盤ができてしまっている場合は、そこで水分が滞留してしまうため湿害を受けやすくなります。サブソイラ等で耕盤の破砕を行い、透水性、通気性を高めましょう。
麦の作付け予定地の前作に水稲を作付けている場合は、溝切りと中干しを必ず行い、ほ場の排水性を改善しましょう。収穫後のほ場が乾きにくい場合は水稲の作付けを早生品種やWCS用イネを作付し、収穫から麦の播種までの期間を長くとり、ほ場を十分に乾かしましょう。
地下水位を下げることを目標とすると、1枚ごとのほ場の排水対策だけでは限界があります。地域ぐるみで土地利用計画を定め、水系別に集団化を図るなど、隣接ほ場からの漏水対策を行いましょう。またブロックローテーションを行うことでブロック全体の地下水位を下げることができます。
初掲載:令和元年6月
長生農業事務所改良普及課
西部グループ
普及指導員
小宮良美
電話:0475-22-1771
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