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更新日:令和4(2022)年11月25日
ページ番号:354434
山武地域のイチゴ栽培では観光・直売を中心に、天敵放飼によるハダニ類の防除が行われています。その技術は、本圃(収穫期)で広く定着していますが、育苗圃(育苗期)におけるハダニ類の防除には主に化学合成農薬が使用され、多数回の農薬散布や薬剤抵抗性の発達、小苗に残存したハダニ類の本圃への持ち込みが問題となっています。そこで、育苗期からの天敵導入によるハダニ類の防除体系の現地実証に取り組みました。
天敵には長期間の定着が期待されるミヤコカブリダニのパック製剤(スパイカルプラス)を使用し、育苗開始間もない4月中旬に放飼を行いました。育苗期には炭そ病対策のため殺菌剤の定期的な散布が不可欠であり、慣行では天敵に対して影響のある剤も広く使用されています。今回の実証においては、天敵の効果を期待する期間には、炭そ病の発病が見られない限り、天敵への影響の少ない殺菌剤を中心に使用しました。
写真1.親株へのスパイカルプラスの放飼
写真2.天敵放飼時の育苗圃の様子
平成30年の実証試験では、4月13日にマイトコーネフロアブルを散布し、ハダニの密度を低下させてから、4月17日に天敵の放飼を行いました。天敵放飼後は、ハダニの発生は見られず、定植直前まで殺ダニ剤を使用することなく、防除することができました。また、炭そ病の発生は認められず、ランナー切り離し後期の7月下旬まで、天敵に影響のある殺菌剤の使用を控えることができました。
本圃においても天敵放飼による効果の検証を行いましたが、育苗時に天敵放飼を行った苗を定植した圃場においては、3月中旬までハダニ類の発生はほとんどありませんでした。このことから育苗期から天敵を利用することにより、イチゴの全栽培期間においてハダニ類の発生を最小限に抑えることが期待できます。
図1.育苗期におけるハダニ類及び天敵の発生推移
図2.本圃におけるハダニ類及び天敵の発生推移
※黒い矢印は殺ダニ剤の散布、白い矢印は天敵製剤の放飼を表す
育苗期に天敵を利用する場合、天敵に影響の少ない薬剤を選択し、薬剤ローテーションをしっかりと考えて防除を行う必要があります。近年、ハダニ類の薬剤抵抗性は発達しており、育苗期の天敵利用が地域に広まることで被害拡大防止に繋がると期待できます。
初掲載:令和元年12月
山武農業事務所
改良普及課
普及指導員武内理香
電話:0475-54-0226
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