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更新日:令和6(2024)年1月4日
ページ番号:401350
千葉県の県南地域では、大豆在来種を活用したエダマメ産地が新たに形成され、秋に出荷する濃厚な味わいのエダマメとして高い評価を得ています。しかし、大豆在来種は、露地栽培では栽培適期が限定され、出荷期間が10月から11月にかけての数週間です。
そこで、大豆在来種の出荷期間を12月まで延長するための無加温ハウス栽培や、大豆在来種が出荷困難な4~9月の出荷に適した市販エダマメ品種を紹介します。
大豆在来種と市販品種を組み合わせることで、4月下旬から12月中旬までのエダマメの長期連続出荷が可能になります(図1)。
図1.大豆在来種と市販品種を組み合わせたエダマメの長期連続出荷体系 |
注1)大豆在来種の露地栽培作型を除き、全てマルチ栽培
2)「安房在来」は安房地域の在来種の総称を示す
大豆在来種「小糸在来®」の無加温ハウス栽培に適した播種期は、9月上旬から9月下旬であり11月中下旬から12月中旬までの出荷が可能です。9月上旬から9月中旬播種はマルチ栽培のみで、9月下旬に播種する場合は、マルチ栽培と併せてPOフィルムの二重被覆又は穴あきPOフィルムのトンネル被覆とします(図2)。
図2.無加温ハウスの被覆方法 |
これらの被覆は、約2℃の保温効果があり、可販莢が多くなり、収量が向上します(表1、写真1)。なお、無加温ハウス栽培は大豆在来種「小糸在来®」を対象としており、他の在来種では生育特性が異なることがあります。
表1.大豆在来種エダマメの無加温ハウス栽培における保温方法別の収量(平成30年度) |
注1)晩生系統「小糸在来®」を128穴セルトレイに播種し8日又は9日後に定植
2)ベッド幅1.3m、株間15cm、条間30cmの4条植えとし、ベッドは黒色ポリマルチで被覆
3)ハウスは全ての区で10月18日以降夜間締切
4)二重被覆は、11月1日以降POフィルムの内張りを夜間のみ締切、日中は開放
5)トンネル被覆は10月18日以降穴空きPOフィルム(ユーラックカンキ3号)を設置
6)試験地:館山市
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写真1.無加温ハウス栽培における収穫時の莢付の様子
無加温ハウス栽培に適した播種期は、1月中旬から4月上旬であり、4月下旬から6月中旬までの出荷が可能です。1月中旬から2月中旬播種の場合、保温のためPOフィルムの二重被覆及び穴あきPOフィルムのトンネル被覆を行います。「福だるま」、「初だるま」(いずれもカネコ種苗(株))及び「とびきり」((株)サカタのタネ)は低温着莢性が良く、2月中旬までの播種でも高い収量が得られます(表2)。
表2.無加温ハウス栽培における品種及び播種日別の収量(平成30年) |
注1)128穴セルトレイに播種し初生葉展開時にハウス内に定植
2)ベッド幅1.3m、株間15cm、条間30cmの4条植えとし、ベッドは黒色ポリマルチで被覆
3)平成30年1月16日、2月9日、2月19日播種のみPOフィルムの二重被覆と穴あきPOフィルムのトンネル被覆を設置、2月27日以降の播種はハウス内の被覆はなし
4)2月27日播種は「初だるま」のみ5月12日収穫
5)試験地:館山市
露地栽培に適した播種期は、4月下旬から7月上旬であり、7月から9月中旬までの出荷が可能です。露地栽培で収量が多い品種は、「湯あがり娘®」、「ゆかた娘」(いずれもカネコ種苗(株))、「味風香®」(雪印種苗(株))、「いきなまる」((株)サカタのタネ)です(表3)。
表3.露地栽培における品種及び播種日別の収量(平成30年) |
注1)各播種日に黒色ポリマルチで被覆したベッドに直播
2)ベッド幅1.3m、株間30cm(7月10日播種のみ株間15cm)、条間30cmの4条
3)「ゆかた娘」は5月17日播種、6月8日播種及び6月26日播種の収穫日がそれぞれ7月25日、8月24日及び8月30日
4)試験地:館山市
初掲載:令和2年12月
農林総合研究センター
暖地園芸研究所野菜・花き研究室
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