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更新日:令和5(2023)年11月6日
ページ番号:389597
海匝地域は県内有数の畜産地域であり、酪農、肉用牛、養豚、養鶏の各畜種で家畜ふん堆肥が生産されています。酪農及び肉用牛農家が生産する牛ふん堆肥は、生産が拡大してきた稲WCSや従来から取り組まれてきた飼料用トウモロコシを中心とした自給飼料生産に利用されています。一方で、養豚及び養鶏農家では、基本的に自給飼料を生産しないため、豚ぷん及び鶏ふん堆肥は、主に耕種農家に譲渡して畑作や水田作で利用されています。
そのような中、地域内で生まれた新しい豚ぷん堆肥の利用事例を紹介します。
本事例の市では、飼料用米生産者協議会(会員は稲作農家)と飼料用米利用者協議会(会員は畜産農家)が設立されており、地域内における飼料用米の円滑な生産流通体制が構築されています。
本事例は、両協議会の会員である稲作農家と養豚農家が協力した循環型農業の取組で、養豚農家が水田に堆肥を散布し、生産された飼料用米を飼料として利用しています。堆肥散布後の耕うんは稲作農家が担当し、散布と同日に耕うんすることで臭気の拡散防止など周辺環境に配慮して実施しています。
水稲は畑作物と違い、堆肥の散布ムラがはっきりと表れるので、散布作業には技術が必要です。また、比較的大型のマニアスプレッダ(写真1)という機械で散布するため、機械が入れるほ場条件が求められます。
写真1.搭載マニアスプレッダ
地域では、酪農及び肉用牛農家が設立した飼料生産作業受託組織(以下、「コントラクター」という。)が、組合員の牛ふん堆肥を利用し、飼料用トウモロコシの生産を行っています。コントラクターは、生産面積拡大を図るため、耕作放棄地の再生利用を行っていましたが、更なる拡大は困難となっていました。
本事例は、コントラクターの生産面積拡大と、豚ぷん堆肥の利用拡大、利用度の低かった農地の有効活用を目的に、コントラクターと養豚農家が協力して課題解決を図った取組です。養豚農家の農地で豚ぷん堆肥を利用した飼料用トウモロコシを生産し、コントラクターの構成員である酪農及び肉用牛農家が飼料として利用します。
お互いの課題解決につながったことに加え、飼料用トウモロコシを生産することで、農地の土壌改良につながり、野菜生産に転換されるなど、新たな取組も見られています。
写真2.自走マニアスプレッダ
写真3.飼料用トウモロコシの収穫
家畜ふん堆肥の流通先の確保は、畜産農家の経営継続に重要な課題です。
堆肥は、マニアスプレッダがないと散布できない、粉状だと舞ってしまい散布ムラや臭気の拡散が懸念されるなどの取扱性に問題があります。地域では畜産農家がマニアスプレッダを整備し、散布まで請け負うことが多くなりました。しかし、耕種農家からの散布依頼が多い時期だと労力不足により、依頼に応えられないことがあります。それらの課題解決のため、今後、堆肥散布を請け負う外部組織の設立や、耕種農家でも散布しやすいペレット堆肥の生産など、新たな対策を考えていく必要があります。
初掲載:令和2年9月
海匝農業事務所
改良普及課
旭グループ
普及指導員小池広明
電話:0479-62-0334
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