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更新日:令和5(2023)年12月7日

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水稲新品種「粒すけ」の栽培法

1.「粒すけ」の特性

「粒すけ」は「コシヒカリ」を母、「ふさおとめ」を祖父に持ち、農林総合研究センターが13年の歳月をかけて開発した水稲の新品種で、令和2年度から一般栽培が開始されました。「粒すけ」は「コシヒカリ」と同じ栽培・収穫時期で、大粒で収量が多く、倒伏に強いため、栽培しやすい特徴があります。また、食味は「コシヒカリ」と同等以上で、程良い粘りと弾力があり、様々な料理に合うオールマイティーな食感となっています

2.「粒すけ」の目標生育量

良質で良食味な特性を維持しつつ、多収性を発揮させるための生育目標と目標収量は表1のとおりです。目標とする生育となるように、以下のポイントに注意して栽培しましょう。

表1.「粒すけ」の目標生育量粒すけ表1

表1の拡大画像はこちら(PNG:13KB)

3.「粒すけ」の特性を発揮させるための栽培法

(1)基肥の施用方法

「粒すけ」の多収性を発揮させるためには、「コシヒカリ」より基肥窒素を多く施用し、生育初期の分げつを促進し、幼穂形成期の目標生育量を確保することが重要です。土性・移植時期別の基肥施用量は表2のとおりです。圃場ごとに窒素肥沃度は異なるので、土性ごとの「コシヒカリ」の標準窒素施用量を参考に、施肥設計を行ってください。なお、5月中旬移植では、4月下旬~5月上旬移植と比較して、窒素で10アール当たり1キログラム程度減らして栽培します。

表2.土性及び移植時期別の基肥施用量(kg/10a)

粒すけ表2-2

表2の拡大画像はこちら(PNG:6.5KB)

(2)穂肥の施用方法

穂肥は、窒素で砂質土と壌質土は10アール当たり3キログラム、粘質土は10アール当たり2キログラムを、加里は10アール当たり3キログラムを、出穂期前18日(幼穂長平均1センチメートル、幼穂形成期から約1週間後)に施用します。基肥や穂肥の窒素不足による葉色の低下は、収量や玄米品質の低下を招くので、適切な肥培管理を心がけましょう。

(3)全量基肥栽培における注意点

使用する肥料は、80%溶出期間が90~100日タイプの被覆肥料を含む「コシヒカリ専用」等の全量基肥肥料(一発肥料)とします。なお、同肥料の窒素成分割合は速効性(基肥)50%:緩効性(穂肥)50%であるため、砂質土等の窒素肥沃度の低い圃場などで、施肥量を穂肥の窒素量3キログラム(砂質土、壌質土)に合わせると、基肥の窒素量が不足するため、不足分の基肥の窒素量を植え代までに高度化成肥料等で補う必要があります。

(4)育苗における注意点

「粒すけ」の種籾は「コシヒカリ」より大きいので、1箱当たりの播種粒数が「コシヒカリ」と同じになるように、1箱当たりの播種量を「コシヒカリ」より1割程度多い150グラム(乾籾重)とします。このとき、種籾袋1袋(4キログラム)で育苗箱26~27枚の播種が可能です。

(5)栽植密度

疎植栽培を行うと、穂が大きくなり、一穂籾数が増加します。しかし、大粒や良好な玄米品質といった「粒すけ」の特徴が発揮しにくくなる場合があるので、極端な疎植を避け、坪あたり55~60株で移植しましょう。

(6)収穫・乾燥・調製

収穫適期は穂全体の85%が黄化した時で、4月下旬移植では出穂期から数えて38日前後、5月中旬移植では40日前後で収穫適期となります。刈り遅れは、胴割れ等の玄米品質の低下を引き起こすので、適期に収穫し、良質で良食味な「粒すけ」を生産しましょう。

4.おわりに

近年、本県の主力品種である「コシヒカリ」は、登熟期後半から収穫期にかけての台風や長雨による倒伏の発生が著しく、収穫作業効率の低下、更には収穫不能となる事例も見られ、生産において大きな問題となっています。「コシヒカリ」より倒伏に強く、収量性に優れ、栽培しやすい「粒すけ」を作付体系に導入いただき、天候不良による倒伏のリスクを軽減して稲作経営の安定にご活用ください。

初掲載:令和2年10月
農林総合研究センター
水稲・畑地園芸研究所
水田利用研究室
研究員西川英輝
電話:0478-56-0002

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

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