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更新日:令和6(2024)年1月4日
ページ番号:404249
アルファルファは粗タンパク質やミネラル成分が多く含まれており、乳牛の飼養には不可欠と言っていいほど身近な牧草です。酪農現場では乾草やペレットとして使用されており、ほぼ100%が輸入飼料ですが、県内でも栽培が可能です。そこで、アルファルファのロールベールサイレージを安定して生産する技術について、紹介します。
市原乳牛研究所で実施した、アルファルファの品種比較試験を表1に示しました。年5回刈りでの乾物収量を4年間比較した結果、本県に適した品種はネオタチワカバでした。
表1.4年間の乾物収量(kg/a) |
アルファルファは排水が良い、pH6.5~7.5の中性土壌を好み、雑草種子の少ない圃場で栽培します。そのため、草地造成の際には「排水対策」、「土壌改良」、「雑草対策」の実施が成功のポイントになります。
「排水対策」
アルファルファは湿害に弱いので、湿害の懸念のある圃場では必ずプラウやサブソイラで排水対策を行います。排水良好な圃場でも長期間の草地利用で作土直下に硬く緻密な「耕盤」が形成されると、水を通しにくくなるため排水不良となります。
「土壌改良」
アルファルファ栽培では欠かせない根粒菌の活性化のために苦土石灰等の土壌改良材を施用し、土壌pH6.5~7.0へ矯正をします。
「雑草対策」
アルファルファは播種直後から生育初期段階では雑草との競合に弱く、生育期処理可能なイネ科雑草に効果のある除草剤の登録が無いことから、播種前までにグリホサート等の非選択性茎葉処理型除草剤を散布し、雑草を枯らし草地造成します。
アルファルファの播種は秋播きとします。アルファルファは雑草との競合に弱いため、春先の気温が高く、雑草の初期生育が旺盛な本県では、春播きは避けた方が良いでしょう。秋播きは日平均気温が20℃前後(本県では9月下旬に該当)に行うことにより、越冬前までに株が充実され、翌春の収量が確保できます。
アルファルファ栽培ではあらかじめ土壌pHを測定し中性(土壌pH6.5~7.0)にするための「土壌pHの矯正」と「根粒菌が未接種の種子には根粒菌の接種」を行うことにより、根粒菌の活性化と根粒菌による遊離窒素の固定がおこるため生産性(収量)と永続性が高まります(図1)。
図1.pHの矯正、根粒菌接種の有無と乾物収量(試験地:千葉県八街市) |
アルファルファは再生力が旺盛で、本県での年間刈取り回数は4~5回になります。刈取適期は開花始頃ですが、茎葉構成や成分変化が緩慢なので、刈取り時期にある程度の幅を持たせることができます。刈取り回数が多いので無理のない収穫作業を行うために気象条件や他の作業とのバランスを考慮しましょう。
アルファルファタコゾウムシは栄養価の高い「葉」を顕著に食害します(図2)。アルファルファタコゾウムシの防除にはMEP(スミチオン乳剤)が有効です。防除の適期は中齢幼虫の個体密度が増加し、上位葉の被害が目立ち始める頃です。これは、八街市の圃場では3月下旬から4月中旬にかけてとなります。一番草生育時はMEPで防除し、二番草以降は早めの刈取りで対応してください。
図2.食害された葉とアルファルファタコゾウムシの幼虫 |
アルファルファはロールベールサイレージとして調製します。収穫作業はイネ科牧草と変わりませんが、アルファルファならではの注意点があります。
アルファルファのタンパク質含量は特に「葉」で高くなっています。しかし収穫方法が適切でないと葉が脱落してしまい、高タンパク質のサイレージになりません。そのため収穫はイネ科牧草に比べて「ゆっくり、丁寧に」作業を行うことを心掛け、刈り倒したら、直ちに集草し、反転は行わずに予乾してください。また、刈遅れ、乾きすぎは茎が硬化しラップフィルムにピンホールが出来やすく、発酵品質が低下する可能性があるので、注意してください。
本県において、アルファルファ栽培を行っている事例は少なく、また新たな機械装備が求められるなど、かなり敷居が高いかもしれません。しかし、アルファルファの特長である粗タンパク質、ミネラルの成分組成による、トウモロコシとの組み合わせ給与の相性の良さは非常に魅力的です。
本県でアルファルファを栽培する際には参考にしていただければと思います。
※本資料は【イノベーション創出強化研究推進事業】粗飼料自給率100%を目指すアルファルファ単播草地の造成・管理法と省力的な収穫・調製技術の確立で得られた知見を活用しています。
初掲載:令和3年1月
畜産総合研究センター
企画環境研究室
上席研究員青木大輔
電話:043-445-4511
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