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更新日:令和5(2023)年8月17日
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千葉県における大豆生産は、在来品種の作付のほか、基盤整備事業で乾田化したほ場においてフクユタカ等の品種が作付されています。基盤整備により乾田化した水田では、大豆が作付できるように改善されたものの、場所によっては排水が十分機能せず、湿害による出芽不良による減収を招くことが問題となっています(写真1)。
写真1.排水不良ほ場の湿害による出芽不良
大豆の多収を達成するためには「出芽苗立ちの確保」と「生育期間中の水管理」の2点がポイントとなります。これら2つのポイントについて紹介します。
多収に向け、まず出芽を揃えることが重要です(どの作物でも共通ですが)。大豆の芽を出させるためには以下がポイントとなります。
播種適期が梅雨時期と重なり、出芽苗立ちを安定させることが難しいため、出芽が揃えば大豆生産の半分は成功です。
大豆の芽を出させるためには、「土壌を柔らかくする」ことが重要になります。これは種子が土塊を押し分けて芽を出す時に、固まった土が多いと出芽が安定しないためです。土壌表面が固くなりやすいほ場では、過度の耕うんを避け、有機物を施用して物理性を改善するなどの対策が必要です。
大豆の種子は急激に吸水すると、膨張に耐え切れず崩壊してしまうため、常に水がある環境におかれると発芽する能力を失ってしまいます(2時間水に浸けていただけで種子が崩壊するデータがあります)。また、発芽直後も酸素欠乏による生育阻害が起こることから、ほ場に水が溜まるのを防ぐ、排水対策が必要です。
ほ場の排水対策は本暗渠の施工を前提とし、本暗渠と直交するように弾丸暗渠を施工します。また、表面排水を促すために畦畔に沿って明渠を掘り(額縁明渠)、ほ場が広い場合には、ほ場内部にも明渠を施工します(図1)(写真2)。
図1.ほ場の排水対策の施工方法
写真2.降雨後の額縁明渠の様子
出芽後の生育期間中は水管理が最も重要になります。大豆は根に根粒菌(図2)を着生させて、空気中の窒素を栄養分として取り込みますが、この栄養分が多収には必要です。根粒菌を活かすには以下の2点に気をつけます。
梅雨時期の湿害と梅雨明け後の干ばつが多収栽培の大きな阻害要因になりますので、
などの対策をとります。
図2.マメ科植物の根(矢印の先が根粒)
大豆は出芽時から生育期間中にかけて水に浸されることを嫌います。また、生育期間中は水が不足すると(干ばつ)収量が下がります。湿った状態の土を好むので、このような水管理をすることが多収への近道となります。水田ほ場での栽培は排水の観点から多くの工夫が必要になりますが、排水を良好にしながら適宜かんがいを行うことが重要です。
初掲載:令和2年4月
山武農業事務所
改良普及課
普及指導員水鳥希洋人
電話:0475-54-0226
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