泌尿器科
診療科の紹介
千葉県がんセンター泌尿器科では、腎臓、膀胱、前立腺、腎盂、尿管、精巣などのがんを対象に専門的な診断と治療を行っています。科学的根拠に基づいた標準治療を質高く行うことを基本方針としています。各疾患共に手術療法を中心に化学療法、放射線治療など集学的治療をきめ細かく行い、また、生活の質(QOL)を考え治療しています。治療開始に当たっては、SDM(Shared Decision Making:患者さんと医療者がお互いの情報を共有しながら一緒に治療方針を決定していくアプローチ)をご本人・ご家族と共に行い、信頼関係を築きたいと思います。
診療科の特徴
診療方針について
泌尿器がんを対象に、各種ガイドライン、科学的根拠に基づいた質の高い診療を心がけています。病状の説明と治療内容を患者さん・ご家族に十分相談いただいた上で、個々の状況に応じた最適な治療方法を選択してもらうよう努めています。患者さん自身とご家族に納得していただいてから治療を開始します。提案する治療方針は原則すべての患者さんにおいて泌尿器科内の医師全員および画像診断部の医師、放射線治療部、病理医、及び患者さんの病状により必要に応じて他科の医師も交えたキャンサーボードにて討議を行っています。すなわち多くの泌尿器科医師がいますが誰が担当することになっても担当医師により治療方針が変わることのない、一貫した質の高い医療を提供するよう心がけています。2011年度より前立腺がんに対するロボット支援手術を開始しており、ロボット手術に強みがあります。
2020年5月よりダヴィンチXiサージカルシステム(図4)を導入しており現在、従来のSiサージカルシステムとの2台体制でロボット手術を行なっています。
診療方針
前立腺がん
腎がん
薬物治療や放射線治療での根治は難しいため、手術の適応のある患者さんに対しては個々の状況に応じて開腹腎摘除術、ロボット支援根治的腎摘除術(腹腔鏡下腎摘除術)、ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術のいずれかを選択します。手術のみで根治が難しい患者さん、すなわち再発、転移を有する患者さんに対しては分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤を使用して治療を行います。個々の状況に応じて手術による転移・再発巣の摘除を提案する場合もあります。
腹腔鏡下腎摘除術
ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を行なうには難しいですが、開腹手術の選択までには至らない患者さんに対して提案しています。開腹手術に比べて傷が小さく、入院期間もやや短くなります。
ロボット支援根治的腎摘除術
本邦においても2022年4月より保険適用となりました。当センターにおいても2023年4月より開始しています。
ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術
保険適用があり、当科では2016年9月から治療を開始しました。2024年3月までに161例に対して行っています。ロボット手術の指導医であるプロクター認定と泌尿器腹腔鏡技術認定をともに取得している医師による手術を行っています。
薬物治療について
保険適用で使用できる分子標的薬、および免疫チェックポイント阻害剤において、治験段階から携わっている薬剤も多く、個々の状況に応じて最適と考えられる薬剤をカンファレンスにて検討の上で提案しています。また積極的に治験も行っていますので適応のある患者さんに対しては提案しています。
膀胱がん・腎盂尿管がん
手術・薬物治療両面で積極的な治療を行っています。膀胱がんの場合、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT:内視鏡手術)をまず行います。患者さんによりアラグリオを用いて、腫瘍の状況をよくわかるようにした手術を行います。この手術のみで終わる場合もあれば、その結果により、再発リスクが高い場合やTUR-BTでの根治が難しいと判断される場合BCG膀胱内注入療法や、膀胱全摘+尿路変更術などの追加の治療を提案する場合があります。
膀胱がん、腎盂尿管がんともに転移がある患者さんでもリンパ節転移のみであれば抗がん剤治療GC(ゲムシタビン+シスプラチン)療法を行い、十分な効果を認めるようでしたら膀胱全摘+尿路変更術による根治的手術を積極的に提案しています。手術後、再発リスクの高い患者さんには免疫チェックポイント阻害薬などによる再発予防の追加治療を提案する場合があります。
ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘
保険適用があり、当科では2019年1月から治療を開始しました。2024年3月までに48例に対して行っています。
ロボット支援腎尿管全摘除術
本邦においても2022年4月より保険適用となりました。当センターにおいても2023年4月より開始しています。
薬物治療について
遠隔転移を認める患者様に対しては原則抗がん剤治療としてGC療法をまず行っています。効果が芳しくない場合には免疫チェックポイント阻害薬および抗体薬物複合体(パドセブ)の使用を提案しています。上記薬剤は当センターでは治験から携わっており、新しい治療選択肢を必要に応じて速やかに提供できる態勢を整備しています。
精巣がん
原則的に遠隔転移の有無に関わらず精巣局所の腫瘍は摘除します。鼠径部に切開を加えて腫瘍を切除します。遠隔転移がない場合は摘除後、再発予防の抗がん剤治療の選択肢を提示する場合がありますが、一般的に再発しても抗がん剤で治癒することが多く、再発予防の抗がん剤治療はあくまで再発のリスクを下げるのが目的となります。
遠隔転移を有する場合でも抗がん剤治療が効果を示すことが多く、治癒することの多い精巣がんですが、精巣局所の腫瘍自体は抗がん剤が効きにくいためがんのおおもとをたつ目的で全身状態が問題ない患者さんであれば、まず精巣局所の腫瘍を切除後に抗がん剤治療を行います。速やかに抗がん剤治療に移行できるように受診後できる限り早く手術を行えるよう、手術室とも相談して配慮しています。抗がん剤治療自体は当センターでは腫瘍・血液内科の医師が担当しています。追加の手術など集学的治療が必要な場合は合同カンファレンスを行い個々の患者さんの状況に応じて適切な治療を提案できるような体制を整えています。
その他
泌尿器科悪性腫瘍全般を取り扱っていますが、副腎腫瘍は代謝内分泌内科医師がいないため必要に応じて取り扱いのある病院に紹介しています。
治験について
おもに前立腺がん、腎がん、膀胱がん(腎盂・尿管がん)に対する治験を積極的に行っています。詳しくは治験実施状況のページをご覧ください。
医師のご紹介
泌尿器科部長・前立腺センター部長
小丸 淳(こまる あつし)
【指導医、専門医、認定医など】
- 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
- 日本泌尿器科学会 腹腔鏡技術認定医
- 日本内視鏡外科学会 腹腔鏡技術認定医
- 日本ロボット外科学会 Robo Doc 国内A認定医
- がん治療認定医 医学博士
- ダヴィンチコンソールサージョン
- ロボット支援手術プロクター(指導)認定医(膀胱・前立腺、副腎・腎(尿管))
【専門分野/得意分野】
- 専門は泌尿器悪性腫瘍
主任医長
小林 将行(こばやし まさゆき)
【指導医、専門医、認定医など】
- 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
- 日本泌尿器科学会 腹腔鏡技術認定医
- がん治療認定医 医学博士
- ダヴィンチコンソールサージョン
- ロボット支援手術プロクター(指導)認定医(膀胱・前立腺、副腎・腎(尿管))
【専門分野/得意分野】
- 専門は泌尿器悪性腫瘍
医長
萩原 和久(はぎわら かずひさ)
【指導医、専門医、認定医など】
- 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
- 日本泌尿器科学会 腹腔鏡技術認定医
- 日本透析医学会 専門医
- がん治療認定医 医学博士
- ダヴィンチコンソールサージョン
- ロボット支援手術プロクター(膀胱・前立腺)
【専門分野/得意分野】
- 専門は泌尿器悪性腫瘍
医長
米田 慧(よねだ けい)
【指導医、専門医、認定医など】
- 日本泌尿器科学会 専門医
- 日本泌尿器科学会 腹腔鏡技術認定医
- 医学博士
- ダヴィンチコンソールサージョン
- ロボット支援手術プロクター(指導)認定医(膀胱・前立腺)
【専門分野/得意分野】
- 専門は泌尿器悪性腫瘍
医員
鈴木 一弘(すずき かずひろ)
【指導医、専門医、認定医など】
- 日本泌尿器科学会 専門医
【専門分野/得意分野】
- 専門は泌尿器悪性腫瘍
医員
門野 洋大(かどの ようだい)
【指導医、専門医、認定医など】
- 日本泌尿器科学会 会員
- ダヴィンチコンソールサージョン
【専門分野/得意分野】
- 専門は泌尿器悪性腫瘍
医員
新井 裕太郎(あらい ゆうたろう)
【指導医、専門医、認定医など】
- 日本泌尿器科学会 会員
【専門分野/得意分野】
- 専門は泌尿器悪性腫瘍
医員
横地 郁哉(よこち ふみや)
【指導医、専門医、認定医など】
- 日本泌尿器科学会 会員
【専門分野/得意分野】
- 専門は泌尿器悪性腫瘍