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センター紹介

ロボット支援手術について

Da Vinci Surgical System
(ダヴィンチXi及びSiサージカルシステム2台体制)

ロボット支援手術は、従来の腹腔鏡下手術が持つ、出血量の減少、手術創の小ささ、疼痛の軽減といった利点に加え、3次元HD画像による10~15倍の拡大視野のもとで、より精密な手術操作が可能です。また、ロボット鉗子の先端には関節があり、直観的で繊細な操作が可能であることや、手ぶれを抑えた安定した操作ができることも特徴です。

ロボット支援手術は医師が執刀するのであり、ロボットが医師に代わって手術を行うわけではありません。ダヴィンチサージカルシステムは、ペイシェントカート(図1)に装備された4本のアームを使用して内視鏡と手術鉗子を操作しますが、その操作を行うのはあくまで執刀する医師です。
執刀医は手術台の脇に設置したサージョンコンソール(図2,3)から内視鏡を介した3D画像を見ながら、マスター(図4)を操作することによって手術鉗子を操作します。

当院では、2020年5月よりダヴィンチXiサージカルシステム(図1)を導入しており、2025年度よりXi2台体制となっております。

ダヴィンチXiサージカルシステム

図1

ダヴィンチXi及びSiサージカルシステム2台体制

図2

サージョンコンソール操作時

図3

サージョンコンソール操作手元拡大写真

図4

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術では、前立腺摘出後の尿道と膀胱の吻合や勃起神経の温存など、従来の開腹手術や腹腔鏡手術では難易度が高いとされていた操作を、より精密かつ安定して行うことが可能です。患者さんの状態にもよりますが、術後尿失禁や性機能障害の早期回復が期待できます。

【腹腔鏡手術の利点】

・出血の減少(輸血のリスクを回避)

・手術創が小さい(美容上も良好)

・疼痛の軽減(早期の社会復帰が可能)

【ロボット支援手術の利点】

・術野を10倍に拡大。3次元画像で拡大視野のため精密な手術が可能

・直観的かつ繊細な手術操作が可能

・鉗子に7つの可動域があり人間の手よりも可動域が広い

・手ぶれが少ない

手術創の比較

<ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術>

5ミリメートル1ヶ所、8ミリメートル3ヶ所、12ミリメートル2ヶ所

合計6ヶ所の手術用の操作孔をあけて内視鏡用の手術機器を挿入

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術創

1, ダビンチカメラ用  3センチメートル

2,3,4, ダビンチ操作用    8ミリメートル

5, 助手操作用     5ミリメートル

6, 助手操作用     12ミリメートル

<開腹下前立腺全摘術>

下腹部正中切開:臍下から恥骨の上まで大きく切開

開腹下前立腺全摘術創

1,2, ドレーン(排液管)の傷

3, 開腹手術の傷      13から15センチメートル

 

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術は、平成22年11月に薬事承認を受け、平成24年より保健診療が可能となりました。

千葉県がんセンターでは、2011年度に千葉県内の病院および全国の自治体病院として初めて、手術支援ロボットを導入しました。2012年4月以降保険診療として開腹手術の多くがロボット支援手術へ移行しており、現在までにロボット支援前立腺全摘除術を2,500例以上行ってきました。当院は新たにダヴィンチ手術を開始する医師を対象とした認定見学施設でもあります。

前立腺がんの手術について

前立腺がんに対する前立腺全摘除術は、転移のない早期前立腺がんに対する、有効性が確立された治療方法の1つです。手術方法としては、1)開腹手術、2)腹腔鏡手術、3)手術用ロボットを用いる手術があります。

腹腔鏡による手術は開腹術に比べて出血量が少なく、手術創が小さい、手術後の痛みが少ないなどの多くの利点があります。しかし、前立腺手術の場合は手術鉗子に可動制限が生じるため、膀胱と尿道の縫合操作に技術的困難さがあります。そのため、腹腔鏡下に前立腺全摘除術を施行できる医師は本邦でも少数であり、本術式は普及が進んでいない現状です。

一方でロボット支援手術には、開腹手術と腹腔鏡手術の両方の利点があります。医師はイスに座って自然な姿勢で10倍の拡大視野で3次元モニターをみながら手術操作を行います。このため、開腹手術に近い直感的な操作が可能です。ロボット支援手術では腹腔鏡手術の弱点である縫合操作をより安定して行うことができます。また腹腔鏡手術のように炭酸ガスで腹腔内に圧をかけて手術しますので出血も少なく、手術の傷も少なく、術後の痛みも少ないため体力の回復も開腹手術より早い傾向があります。

千葉県がんセンターでは、手術方法の工夫により腹部手術既往のある患者さんや緑内障のある患者さんに対してもロボット支援手術で施行可能となっていますので、現在では、特別な事情がない限り、前立腺全摘除術はロボット支援手術を基本としています。

前立腺センター

ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術

早期の腎がんは原則手術による摘除が推奨されています。ただし腎臓を全摘してしまうと、2個あった腎臓が1個になり予備力がなくなり、腎機能も低下します。早期の腎がんに対しては、腎臓を全摘しても部分切除でも治療成績(がんの治癒率)は変わらないといわれており、国内外のガイドラインにおいて、可能なかぎり腎部分切除術を行うことが推奨されています。

腎部分切除術のやり方には、1)開腹手術、2)腹腔鏡手術、3)手術用ロボットを用いる手術がありますが、通常は、いずれの方法でも腫瘍を含む腎組織を切除し、切除後の腎臓の切り口を縫合するやり方が一般的です。ロボット支援手術では、患者さんのお腹に開けた小さな孔より、内視鏡や手術器具をロボットのアームに接続して体内に挿入し、術者が内視鏡画像をみながらロボットアームを動かして手術を進めていきます。

開腹手術と比較すると、傷の小さく体への負担が少なく、開腹手術では筋肉を切らなければなりませんが、ロボット手術や腹腔鏡手術ではほとんど筋肉を切らずにすむため、疼痛が少なく、早期の社会復帰が期待できます。

腹腔鏡手術との比較では、腹腔鏡手術では縫合などの複雑な操作は難しく熟練した医師でないと遂行することが難しいため、多くの施設で普及が難しい技術でしたが、ロボット手術の場合、器具の先端には関節が付いており、手ぶれを抑えた、繊細で安定した操作が可能です。そのために理想的な方向で切開や縫合が可能となります。また内視鏡の画像が、3次元HD画像で10~15倍の拡大視野があるために細部までとても良く見ることができます。これらの特徴のため、細かい切開や縫合操作が容易となり、より精密な腎部分切除術につながります。

ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術

ロボット支援根治的腎摘除術

従来の腹腔鏡手術では行えず開腹手術となるような高難度症例においても施行可能な術式です。本邦においても2022年4月より保険適用となりました。当センターにおいても2023年4月より開始しました。現在では腎摘除術のほとんどをロボット手術で行っております。

ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術

2019年1月から開始し、同年9月からは保険診療での治療を行っています。開腹膀胱全摘は侵襲、出血が多く、また術後の合併症が多い手術でしたが、ロボット手術では、術中出血量の減少や体への負担の軽減が期待されます。現在では基本的に膀胱全摘はロボット支援による手術を行っています。

ロボット支援腎尿管全摘除術

海外では2010年頃からの症例が報告されており、従来の腹腔鏡手術と比べて出血量および術中合併症が少なく、入院期間の短縮、社会復帰の早期化などの利点があると報告されています。本邦においても2022年4月より保険適用となりました。当センターにおいても2023年4月より開始しています。2026年3月までに34例のロボット支援腎尿管全摘除術を行っています。

当センター泌尿器科のロボット手術件数の推移(年度別)

ロボット手術件数の推移(PNG:81.1KB)

ロボット手術の費用について

ロボット手術のうち、前立腺がんの全摘除術、腎がんの腎部分切除術、腎摘除術、膀胱がんに対する膀胱全摘除術、腎盂尿管がんに対する腎尿管全摘除術は保険適用です。

高額療養費制度により、年齢や所得区分に応じて自己負担額が軽減される場合があります。詳しくは医事課または担当窓口にお問い合わせください。