本文へスキップします

センター紹介

前立腺センターの概要

前立腺がんは、食事の欧米化、高齢化の進行、前立腺特異抗原(PSA)検診の普及による発見の増加などから、近年増加の著しい癌です。増加する前立腺がん患者さんに対応し質の高い医療を提供するために、平成23年4月に前立腺センターが開設されました。前立腺センターでは、泌尿器科、放射線治療部、画像診断部、臨床病理部との連携により総合的・集学的な前立腺がん治療を行っています。

転移のない局所前立腺がんの治療は、PSA監視療法から手術療法、放射線療法、内分泌療法など多岐に渡ります。骨転移を伴うような進行期の前立腺がんには、LH-RH アゴニスト療法や抗アンドロゲン剤を中心とした内分泌療法のほかに、化学療法、骨転移に対する薬物療法・放射線療法、治験段階の薬剤などの治療があります。病状と治療法選択肢を丁寧に説明した後に、患者さんご自身の意思に沿った治療が受けられるように心がけております。

特色

前立腺がんの診断と治療

前立腺針生検

血液検査の前立腺特異抗原(PSA)値などから前立腺がんが疑われる場合、診断のために前立腺針生検を行います。当センターでは腰椎麻酔で前立腺針生検(直腸診、超音波検査を含む)を行っています。1泊2日の入院検査となります。

当センターにおけるPSA値別前立腺がん陽性率

(平成29年4月~令和4年3月:前立腺針生検1634件の検討)

PSA値別前立腺がん陽性率のグラフ

MRI撮影および超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検

従来の前立腺針生検は、超音波を観察しながら前立腺全体を均等に穿刺して組織を採取する検査法でしたが、近年機器の進歩により術中超音波と事前に撮影したMRI画像を融合し、がんが疑われる部位を標的して穿刺することが可能となりました。この技術により超音波ガイド単独以上の高い感度および特異度でがんを診断できるようになり、より正確な前立腺癌局在診断が可能となります。当センターでも令和2年度よりこの「MRI-超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検」を導入し、現在健康保険診療として実施しています。

前立腺がんカンファレンス

前立腺がんと診断された場合、治療法の選択にあたっては、泌尿器科・放射線治療部・画像診断部との合同カンファレンスで個々の患者さんの病状評価を行い、丁寧な説明をもとに推奨できる治療法の選択肢を提示して、個々の患者さんの病状にあった治療を行っていきます。

 

当センターで対応している治療法

手術療法(ロボット支援前立腺全摘術)、放射線療法(強度変調放射線治療:IMRT)、内分泌療法、化学療法、PSA監視療法、がんゲノム診療、治験

ロボット支援手術(ダ・ビンチサージカルシステム)

当センターでは最新医療機器であるda Vinciサージカルシステムを導入し、平成23年9月からロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術(ロボット支援手術)を開始いたしました。

平成 24 年 4 月以降は健康保険適応となり、これまで2000例を超える件数の手術を行っています。全国有数の経験があり、当センターはda Vinciサージカルシステムの製造元であるIntuitive Surgical社より、手術見学施設として公認されています。ロボット支援手術をこれから習得する術者を対象に、全国の他施設からの見学を受け入れており、ロボット支援手術の教育施設としての役割も果たしています。

強度変調放射線治療(IMRT)

IMRTは最新技術を用いた照射方法です。前立腺の形状をCTやMRIの画像で立体的に捉え、これに合わせて放射線の強度をコンピュータで最適化して照射します。さらに、直腸や膀胱などの正常組織の線量をできるだけ減少させるため、副作用も大幅に抑えることができます。当センターは2000年に国内で初めてこの治療を開始し、これまで1500名を超える患者さんの治療を行ってきました。そして2020年新病院にIMRT専用新型放射線治療機Halcyonが導入され、より多くの患者さんの治療を行えるようになりました。

 

地域医療連携について

千葉県がんセンターではがん患者さんを地域で支える診療体制の構築を推進しています。

地域内の医療機関と協力しながら診療機能の分担と有機的連携を行う「地域チーム医療」を展開しております。当センターで治療後、病状が安定された後には、ご自宅近くの連携医療機関での経過観察を受けていただくことが可能です。